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もしも「空間」に記憶能力があれば、それは久しぶりの再会だった。

いまはカフェになった昔のオフィスと

2010年代に数年間、オフィスとして借りていた部屋が、いま実は
カフェとして使われている。先日、近くで打合せがあったので久しぶりに
ランチに訪れた(写真)。

JR山手線「五反田」駅西口を出て、桜田通りを真っすぐ歩き、
日本生命五反田ビルを左に入った右手のビルの2階に、
その「Forest Café」はある。そして、ここに私のオフィスもあった。
BLTサンドを頼んだが、これにスープと珈琲、プチデザートが付いて
1,000円(おトク感あり)。Forest=森を感じさせるナチュラルな
インテリアが心を落ち着かせてくれて、明るい接客も心地よい。

見出し画像はサンドイッチが出される前に撮った12時前の店内だが、
10年近く前は、一番奥に私の席がこちら(入口側)を向いてあった。
ちょうどカウンターが続く辺りに、壁に向かうようにスタッフのデスクを
並べ、いくつかの書棚を並べていた。
すっかりカフェになった空間を眺めながら、そこに約10年前の日々を
重ね合わせた。この空間は、1週間の半分は社長が泊まっていた
コピーライター事務所の記憶を残しているのだろうか。そんなことを
思っていたら、この長細い間取りが過去に戻ろうとしているような
錯覚を覚えた。
ちなみにこのビルは、元人気レスラーがオーナーだったので、
賃貸契約の際にその名前の下に自分の名前が置かれるのを不思議に感じた、そんな思い出もある。

空間がもたらすマジック

空間は、もちろん、そこに置かれる家具やインテリアグッズによって
ガラリと変わる。当然のことなのに、私はいつも不思議な気分に誘われる。それは移転のために抜け殻になった床と壁だけの空間を見ても思うので
ある。全く同じスペースのはずなのに360度、別世界になる展開は、
マジックにさえ近い。

食事を終えた私は、店長に向かって「2010年頃にこの部屋を使っていた
者です。あまり来られませんが、お店を続けてもらえるとまた来られ
ますので、頑張ってください」と伝えた。
数年に一度しか来ない客である私に向かって、私のことを思い出してくれた風に、笑顔で腰を折りながら「ありがとうございます」と言った店長の姿を見て、「まだまだ再会の機会はある」と思いながら私は、
空間との、そして店長との再会のよろこびを胸に、次の打合せへ向かった。

カフェについて、もう一つ書いています。お時間あれば。

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