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正気の人間で幸福だなんてことはありえないんだよ。つまり正気の人間にとっては、人生は現実なんだ。現実である以上どんなに恐ろしいものであるかはいやでも分かる。狂人だけが幸福になれるのさ。

マーク・トウェイン著「不思議な少年」の
主人公・サタンのこの言葉を
中島歩さんが紹介していた
(先週の『ACROSS THE SKY』)。

それを読んだとき大学生だった中島さんは
「俺、狂ってる? と思った」と笑ったが、
これを書いた当時、ペシミズムと人間不信に陥っていたという
この作家の心がより痛切に胸に迫る。

サタン自身の狂気は置いておいて、
「狂気」という言葉を、
正常とは思えない精神状態(『新明解国語辞典」(第三版)』)
と捉えるとしても、
多かれ少なかれ人間は、
自分が勝手に考えたストーリーのなかで
生きているのだし、
傍からみればそれはときに
常軌を逸した行動に映らなくもないだろう。
まして「普通」や「正常」や「当たり前」の定義を
定められなくなったいま、

世の中は、そんな「狂気」と「狂気」の
ぶつかり合いのなかで回っている、
と解釈することもできるのだ。

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