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本当は恐ろしいアメリカの真実 反面教師・アメリカから何を学ぶか (エリコ・ロウ)

佐々田 法男

 「現代アメリカのレポート」としては、このところ、小林由美氏の「超・格差社会アメリカの真実」堤未果氏の「ルポ 貧困大国アメリカ」等を読んでいますが、本書もその流れで手に取った一冊です。

 著者のエリコ・ロウ氏は、カナダ在住のジャーナリストで、「天下り」「愛国主義」「人種差別」「キリスト教」「政治と大企業」「ウォルマート」「ニュース・メディア」といったキーワードを挙げて、現代アメリカの実態を次々に指摘していきます。

 たとえば、「ニュース・メディア」についてはこんな感じです。

(p169より引用) 元CBSのプロデューサーのクリスティーナ・ボルジェソンによれば、企業や国が世間に知れてはまずいと考える事件を取材したり報道すれば、自分が職を追われることになることは、もはやアメリカの大手メディアのジャーナリストの間では常識とされている。

 日本のメディアの実態はどこまでアメリカナイズしているのでしょうか。

(p174より引用) ニュース番組はスタジオ討論番組と化し、しかも番組が替わっても、キャスターが替わるだけで、識者や解説役は相も変わらぬ局お抱えの評論家筋ばかりだ。
 視聴者層が高齢化したネットワーク・ニュースでは、・・・自局の他の番組や系列出版社の雑誌の宣伝が目的としか思えないようなニュースも少なくない。

 著者は、カナダのニュース番組と比較して、「アメリカのニュースは総じて怠惰で無責任で低俗志向なのだ」と指摘しています。ただ、このあたりのくだりは、残念ながら、昨今の日本の様子を思い浮かべても首肯できるところがありますね。メディアの劣化傾向は共通です。

 さて、本書ですが、「超・格差社会アメリカの真実」「ルポ 貧困大国アメリカ」等と比較すると、ルポルタージュとしての色合いが少々薄い印象です。語られている内容は現代アメリカ社会の実態なのでしょうが、対象に対する肉薄感があまり感じられません。

 著者の政治的な立ち位置があまりにも明白なことも、この類のテーマを多角的に掘り下げていくうえでは、必ずしもプラスの影響を残しているとは言えませんね。



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