伝言 (永 六輔)
(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です)
先日、たまたまつけたテレビに黒柳徹子さんが出演していて、60年来の友人だったという永六輔さんの思い出を話されていました。
永さんの著作としては、ちょっと前にも「芸人」というタイトルの本を読んでいるので、今年になって本書で2冊目です。こちらでも永さんのテンポのいい語り口は健在でした。
その中から私の関心を惹いたところを書き留めておきます。
まずは、幸田露伴の「五重塔」を取り上げて、“ルビ”の振り方の妙を語っているくだりです。
「言葉使いの知恵」ですね。
もうひとつ、永さんがラジオの仕事を始め、続けるにあたってとても大きな影響を受けた民俗学者宮本常一さんの言葉。
本書では、永さんの言葉、永さんが親しくされている方々の言葉のほかに、極々普通の市井の人々による語り合いの中からの言葉も紹介されているのですが、その中にもこれはというピリッとスパイスの効いた名言が山盛りにあります。
例えば・・・
であるとか、
とか、このあたりは、昨今の “テレビ番組の劣化” を取り上げたものが多いですね。
さて、本書のテーマは「語り伝え」です。
今、この瞬間にも消え失せつつある “人々が依然に辿った貴重な記憶や経験” を、これからの人たちに “心に留め置いて欲しい教訓” として伝えていくこと。
自らの体験を自らの口で語ることのできる人々が年を経るに連れ数少なくなっていく今、永さんは、語り部の一人として改めて「語り伝え」の大切さを訴えています。
昨年(注:2016年)、その永さんも「記憶の中」の語り部として語り伝えられることとなりました。
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