炎上社会を考える-自粛警察からキャンセルカルチャーまで (伊藤 昌亮)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
ネット社会の闇として「SNSでの炎上や誹謗中傷」が大きく問題視されています 私も、その発生の心理的要因には興味をいだいていたのですが、そのあたりのヒントが書かれているかと思い、手に取ってみました。
本書で扱っている事象は「自粛警察」「炎上」「ハッシュタグアクティヴィズム」「ヘイトスピーチ」「誹謗中傷」「キャンセルカルチャー」などです。
それぞれの解説では興味深い指摘がなされていましたが、そのうちのいくつかを覚えに書き留めておきます。
まずは、特に、新型コロナ禍の初期に登場した「自粛警察」の発生背景について。伊藤さんはこう考えています。
そして、伊藤さんは、この「自粛警察」という現象をこう総括しています。
次に、少し前からtwitterを中心に見られ始めた「ハッシュタグアクティヴィズム」について考察しているくだりです。
投稿内容のテーマづけや分類を目的とした単純なハッシュタグに止まらない、アピール内容そのものを “ワンフレーズ” のハッシュタグ化する手法の興隆はSNSの役割を大きく変えるものですね。
それだけに、そういった使われ方の良否を判断し、どう扱っていくのかが大きな課題になります。「誰(著名人)が」ではなく「何(主張内容)を」をしっかり見極めることですね。
そして、最後は「キャンセルカルチャー」の章で紹介されたオバマ前アメリカ大統領の興味深いコメント。
ある人物の過去の言動をネット上で糾弾することにより、その人物を社会から “キャンセル” してしまおうとする風潮ですが、その権力性や暴力性について、彼は懸念を抱いていました。
残念ながら、こういった「自己満足」を “匿名性” という自分だけは傷つかない隠れ蓑のもとで得られる世界が、今のネット空間の実相のひとつです。
本書で取り上げられた事象の多くに共通して思うことですが、解説されているような要因で主体的行動(ex.自粛警察活動やヘイトスピーチ etc.)を起こすコア層と、それを見て、また別の何らかの心理的要因で拡散させる層とがあるように思います。
そして、その拡散層にも2種類あって、ひとつは積極的同意で本人は良かれと思って拡散させているグループ、もうひとつは本人の精神的プレッシャー等からの解放や単なる心理的愉楽を得るがために(面白がって)拡散させているグループです。
何とか最後のグループによる “根拠のない誹謗中傷” だけでも止められたらと切望するのですが、“マイノリティーをエンパワーする場” としての健全なネット社会を実現するためには、ある程度の規制強化も必要なのでしょうか?
恣意的な “規制” がまかり通らないよう、なんとか “ネットの良心” に望みを託したいのですが・・・現実はなかなか難しそうです。
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