世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史 (茂木 誠)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
いつも聞いているpodcastの番組に著者の茂木誠さんが登場したとき話題になった本なので、気になって手に取ってみました。
茂木さんは、駿台予備校の人気講師とのこと、その切り口と語り口には期待大です。
ですが、第一章の「そもそも日本人はどこから来たのか?」の解説はちょっとくどかったですね。
DNAの分析からの説き起こしは珍しくはありません。ただ “縄文人と弥生人の平和的共存” という指摘は興味を惹きました。
また「第7章」での “「武士」の意味づけ” は、なるほどと首肯できましたね。
そして、戦国時代から、織田・豊臣・徳川の時代になると、大航海時代のヨーロッパの国々との関わりが生まれてきます。
端緒は、ポルトガル・スペインによるキリスト教布教とセットになった征服活動です。
イエズス会やフランシスコ会の宣教師によりキリスト教に改宗したいわゆる “キリシタン大名” は、戦での捕虜や改宗を拒む領民たちを対象にした「奴隷貿易」に加担していたとのことです。
これは、本書で初めて知りました。驚きですね。
さて、本書を読み通しての感想ですが、世界史との連関のなかで日本史を読み解くとの視点はとても意義深いもので、私にとってもいくつもの新たな気づきがありました。
とはいえ、はるか昔(今から40年以上前)の私が高校生だったころにも、日本史と世界史が合体した「年表」がありましたし、「世界史地図」を広げると、同時代のヨーロッパ・アジア・日本の様子が一覧できていました。
なので、私の感覚では、日本と世界を “時間軸と空間軸の二軸” で理解することは、むしろ普通であり当然でしたね。
ただ、確かに、そういった俯瞰的な視点に立った教材は世界史の授業での必需品であって、日本史の授業ではあまりお目にかからなかったかもしれません。
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