データ分析の力 因果関係に迫る思考法 (伊藤 公一朗)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
Twitterの投稿でお薦め本として紹介されていたので手に取ってみました。
ちょっと前に出版された本ですが、その時には「データ分析の入門書」としてかなり評判が良かったようです。
まずは、この手の入門書としては定番の「因果関係と相関関係とは違う」という点の解説から始まります。
このイントロダクションの後に、「因果関係の存在の有無」を確認するための分析手法の解説が続きます。
具体的には、ランダム化比較試験(RCT)、RDデザイン、集積分析、パネル・データ分析といった方法ですが、それらを用いた分析は、企業や行政機関でも「科学的エビデンス」として活用されています。
つまり「定量的な根拠」をベースとした政策効果の議論を可能にするのです。ともかく、こういったニュートラルな根拠(因果関係分析)に基づいた意思決定は当然のプロセスですし、もっとなされるべきですね。
ただ、その場合にも熟慮すべき課題があります。
ある調査の分析結果を活用する場合は、その分析自体の妥当性(方法・結果)に加え、その結果を一般化して適用できるか(他の環境下においても同様の結果となるか)という検証が必須になるという点です。
合理的な根拠にもとづく意思決定を進展させることは間違いなく望ましいことです。そのためにも、私たち一人ひとりが意思決定の適否を判断するうえで、示された数字に騙されない「統計リテラシー」をしっかりと高める必要があります。
数字は、正しい事実を示す証左であり、望ましい結論に導く標のはずですが、敵もさるもの、逆に尤もらしく見せて “判断をミスリードさせる手段” としても使われますから。
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