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日本人が「世界で戦う」ために必要な話し方 (北山 公一)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 レビュープラスというブックレビューサイト(当時)から献本されたので読んでみました。

 これもビジネス・コミュニケーションをテーマにした実践的How to本です。

 著者の北山公一氏は日本の金融機関を経て、ヨーロッパ系のグローバル企業で15年間マネジャーとして従事。本書では、その実体験に基づいた価値観の異なる相手に対するコミュニケーション・ルールを紹介していきます。

 たとえば、“ルール4:「なぜ」好きか、「なぜ」嫌いかをはっきりさせる→「理由」があるから共感できる”という章ではこんな具合です。

(p32より引用) グローバルな話し方としては、たとえカジュアルな会話でも、自分がそう思う「理由」を入れます。なぜそう思うのか、という理由の部分にその人らしさ(価値観)が一番出るからです。
 逆に、理由がない場合、世界では共感されません。自分が共感できるかどうか判断するだけの情報(理由)がないからです。

 「人はそれぞれ違っている」ということを前提として、そういった関係下において「理解し合う」ための基本的な作法ですね。

 多様な価値観をもった人たちの中で個人の存在を示すためには、「自分なりの論点」を持つことが重要になります。
 会議の資料を事前に読み込むときにも、その内容を「受け身」の姿勢で「理解」するだけでは不十分です。その資料のメッセージに対して、自分の「立ち位置」を定め、自分としてはどう考えるかという「意見」を整理して会議に臨まなくてはなりません。

(p129より引用) 資料に対する立場(賛成、反対など)を固めるには、自分なりの論点を設定することが大切です。これはあくまで自分が重要であると考える論点です。相手側の論点と違って全然構いません。
 ・・・他にもっと重要な点があるかもしれないという観点で、自分なりの視点と質問を準備します。

 著者は本書で紹介されているコミュニケーション・ルールの適用シーンとして「グローバル企業」を想定していますが、これらのルールはダイバーシティの重要性が高まりつつある現在、いわゆる普通の「日本企業」においてもそのまま活用できるものです。

 「多様性」のベースには「個の尊重」があります。
 自己と同じく、他者を認めること。「自己と異なる他の存在」を前提としたコミュニケーションは、“ドメスティック・スタンダード” にもなるのです。



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