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体調の悪い日に考えた、旅でのモヤモヤ

心配しないでいただきたいのだが、1週間ほど前に滝に行った日あたりから体調がよろしくない日が続いた。


多分流行病のアレだと思う。
何故ならあちこちで旅人が咳き込んでいるから。そして私も咳き込んでいるし喉が痛い。
もう1週間近くになるが、熱はなくそれほどしんどくもなかったが、咳と喉の痛みだけが残っているから、まさにアレだと思っている。
検査はしてないし、葛根湯と咳止めを飲んでよく寝ているが、少しぶり返したのか、今日は一日中怠かった。
多分前日に砂埃を浴びながらバイクで1日走り回り、汗をかきながら1時間ほど岩山に登ったり、池で泳いだりしたせいだ。
こう書くと、誰だって次の日しんどいだろそりゃ、と今思った。40代後半の女にはハード過ぎた。ちなみに、この旅では基本的にはアクティブに動いた次の日は何もしない日を必ず設定している。時間はいくらでもあるから。

私がひどく咳き込んでいても、ここではほとんど誰も気にしていない。
咳をしている人に「大丈夫?」と聞くのは私くらいなもので、「アレルギーよ」と答える人が多い。
ほんまかいな、と思っていたが、別にアレルギーだと思っていればいいかという気が最近になってしてきた。

思えば私は数週間海外を旅するといつも熱を出したり風邪をひいたりしていた。
それはほぼ必ずで、風邪をひかない時は腰をいわしたり骨を折ったりしているから、どっちがマシかって言うと風邪の方がだいぶマシである。

昔、妹とベルギーに行った時に、私が雨の中ブルージュで船に乗って見事に風邪をひいて、朦朧としながらフラフラに宿のベッドに倒れ込んだ時、妹が私のおでこを触って「お姉ちゃん、これ、ヤバいやつやん!」と言って驚いたくらいの高熱が出た。
英語の話せない妹は1人で街に飛び出して、姉のおでこを冷やすために氷を買いに彷徨った。バーガーキングでコーラだけ買って、コーラを一気に飲み干して、氷をビニール袋に入れておでこを冷やしてくれたことを今でも時々思い出す。
私の妹は、なんだかんだとても優しいと思ってしまう。思ってしまうという表現は変だが、機転が効く奴であることは間違いない。
インドでも毎回喉をやられてから熱を出しがちだし、常にのど飴を求めて彷徨っている気がする。宿の部屋にご飯を運んでもらったり、ビタミン剤をもらったり、実は病弱で、いろんな人に迷惑をかけて旅をしてきたタイプだ。

流行病のアレが世に現れてからの3年間、しょっちゅう熱を出す私がほとんど風邪をひくことはなかったから、きっとマスクは役に立っていたのだと思う。マスクを外す生活をした途端に喉をやられているのだから。
それでもやっぱりマスクをしない生活というのはとても開放感があった。特に暑い国においては。
日焼け止めを鼻から上しか塗らない習慣がこのマスク生活でこびりついていて、いまだに顔の下の方に塗るのを忘れるけれど。
砂埃のひどい道をバイクで走る時もマスクは有効だった。あんなのをマスクなしで食らったら喉と鼻が死ぬ。
帰ってきてから、まっ茶色になったマスクを一番最初に手洗いして干したが、よく見れば着ている黒いTシャツもズボンも、顔でさえ泥だらけだったのことを、マスクを洗った後に気づいたりした。

いや別に、マスクの話を書きたいわけではなかった。
話を戻すけど、どこに戻すか自分自身、話の本筋が分からない。

日本で、電車の中で咳き込む人がいたら怪訝な顔をしてその場を離れたりしていた。
許容できなかったし、必死だった、この3年間。
旅の最初の頃は同じ宿に咳き込んでいる人がいると、やだなぁと思ったり、中国人かな?などと思ったりした。そんな自分が嫌だけど正直な気持ち。
欧米人の間では、中国人の旅行解禁日?(もしかするとラオスやタイの国境が中国人に対して開く日かも知れないけど)が1月8日だから、その日が来たら嫌だなぁという話をよくしていた。中国からの飛行機の乗客の半数がコロナ陽性だったとか、そういうニュースを見聞きして話題に上がっていた。

私はよく中国人に間違えられるので、いつもの旅以上に「I’m Japanese.」と積極的に伝えている。
人種差別にはもちろん反対だが、中国人に間違えられてあらぬ疑いをかけられたり、それだけで忌避されたり嫌がらせされたら嫌だからという思いはある。一人旅中は警戒心MAXにしているので、自己防衛のために必要な手段だと思ってしている。
日本人なら嫌われないはずという甘い考えは、私の思い上がりかも知れないが、それでも進んでJapaneseだと言うようにしていた。そうすると、「チャイニーズかと思った」と声を弾ませる人もいたりして、お互い安心するものの、正直複雑な思いにもなる。

今日は同じ部屋に中国人が3人もやってきて、唯一のフランス人の女性が少し嫌な顔をしたのを私は見逃さなかった。
だけど、私が日本人だと伝えていて昨日楽しく私とおしゃべりしていたのに、昨夜私が一晩中咳き込んでしまい迷惑をかけてから、唯一彼女だけは、何となく私とも話をしてくれなくなった。まあ当たり前か。私だって一晩中咳き込んでいる人間と話したくないし、むしろ安眠を脅かす奴は何人であれ出て行ってほしいと思う。
そう自分でも思うから、今日はあまり誰とも話したくない気分で極力咳き込まないように気をつけながらずっと寝込んでいたら、中国人の3人が無邪気にたくさん話しかけてくれて、日本の映画やドラマなどが好きだと言ってくれた。
「君の名は」が好きだと言うから、知ったかぶりで「前前前世」のサビを適当に歌ってマウントを取ってみたら、「じゃあこの曲は知ってる?」とVaundyの曲を聴かされて白旗を上げた。噂では聞いているが、若者に人気があるらしいVaundyについて中国人から学んだ。
「1月8日に国境が開いたから旅行に来たの」と明るく話すが、1人は咳き込んでいる。
自分がしんどかったせいもあるが、中国語でぺちゃくちゃお喋りする人と仲間だと思われたくないな、その咳はコロナちゃうの?と一瞬でも思った自分がまた少し嫌だった。

今回の旅で何人かのロシア人の旅人に出会ったが、彼らは皆堂々と「I’m Russian.」とハッキリ言う。
最初は信じられなかった。
何もロシア人てわざわざ自分から言わなくていいのに。
プーチンの国、戦争を仕掛けた国と思われるんだから黙っていればいいのにと思った。
自分の国がしていることをどう思っているんだろう。
どういう気持ちで今気楽にアジアを旅しているんだろう。
そんな風に思った。
でも一人一人はとてもいい人だった。
中国人だってそう。
私がジャパニーズだと宣言するのは別に愛国心からではなく、ただの危険回避の意味が大きい。だから自分がもしもロシア人や中国人だったら、名乗れないと思う。今は日本人だからそう思うだけだろうけど。

以前、スペインのカミーノを歩いていた時、ドイツ人の若い男性に自分が日本人だと伝えたら、原子力発電や放射能汚染のことをひどく責められたことがある。君は日本がしている事をどう考えているの?責任を感じないのか?と。
知らないよ、私、政治家じゃないし。
無責任にそう思ったし、うまく伝えられない英語力のなさに歯痒かったし、そもそも日本語でもうまく反論できたかどうかも自信はない。

先週はイギリス人の男の子に、「本当のところ、日本と韓国の関係ってどうなってるの?君の世代(私は若くはないけど若者対象だったように思う)の日本人は韓国が好きか嫌いかどっち?」という難しい質問をされた。
「あくまで私の周りの話にはなるけど、韓国の映画、ドラマ、BTSはものすごく日本で人気があるよ。」と言うと、「K-pop?」とイギリス人から返ってきて驚いた。
「K-pop」というワードは世界に広がっているのかと感心した。(J-popというワードは日本でしか通用しないと思う。)
「なら日本人はみんな韓国が好きなのか?」と聞かれて答えに困った。
韓国への旅行も手軽に行けたし、コリアンタウンも人気がある。だけど、向こうが日本をよく思っていないという報道をよく目にするとこっちだってよく思わないという悪循環はあるし、いつまで過去の戦争のことを言ってるのと思うこともあるし、学校教育で歴史の解釈がそれぞれ異なる点もあるし、親世代が韓国人に対して複雑なものがあるから、正直なところ、日本側もあまりよく思っていない人がいるにはいる。カルチャーと国や政治とは別物として分けて捉えてる気がする。
そんなような事をつたない英単語を並べて説明した。
彼は端的に「プロパガンダ」と言った。
ああ、私の言いたかったことはそんなに簡単なワードで説明できるのかと唸った。
余談だが、そういう単語がすぐ出てくるようになるには、こうして会話をして吸収していくしかないなと思ったり。

何が書きたいのかますます分からなくなってきたが、国のイメージでその人をジャッジするのはよくないし、そのイメージが間違っていることもあると思う。
プロパガンダ。
ロシア人にしろ、中国人にしろ、いい奴もいれば悪い奴もいる。日本人もそう。
国で個人を判断してはいけないし、個人で国を判断してはいけない。
この旅でしょっちゅうそう自分に言い聞かせている。
ただ、自分の振る舞い一つで日本のイメージが悪くなることだってあるから、そこは気をつけたいと、日々スマイルを心がけている。

旅で知り合った人についてnoteに書く時、どこの国の人かをわざわざ書く私は、まだ色メガネで見ているのかも知れない。
あくまで属性で、髪が長いとか背の高いとか面白いとかおとなしいとかの特徴と同じ扱いのつもりでどこの国の人かを書いているが、もしかすると、どこかで人種差別的な視点が入っているかも知れない。完全否定はできないけど、そんな意図はなく、属性の一つとして書いているだけのつもりだから、これからも書く。

今日のnoteの出だしは体調不良のことだったから、また最初に話題を戻す。

以前は、咳き込む人やしんどそうな人がいたら、「大丈夫?」と声をかけたりいたわったりしていた。薬をあげたり、水を買ってきてあげたり、何かできることはないか聞いたり。
コロナのせいで、咳き込む人やしんどそうな人がいると、まずはそういう人とディスタンスをとるのが最善策となった。
ラオスにおいては、マスクはほぼ誰も(特に欧米からのツーリストは)していない。そしてあちこちで誰かが咳き込んでいる。
「飴ちゃんいる?」とここでも私は飴ちゃん活動をしているが、ラオスにはキャンディーが薬局以外どこにも置いていないから、自分のためののど飴が不足してきて困っている。

今日はしんどくてずっと寝ていたら、仲良くなったイギリス人のガリーがちゃんと放っておいてくれたが、夕方4時頃になって「何か食べたか?眺めのいいレストランを見つけたし、遅いランチに行こう」とメールが来た。
日本から持ってきたポカリの粉を溶かして飲んで、遅めのランチを食べていたら夕陽が沈んで、その頃には元気になっていた。
そしてガリーは飴ちゃんが売っている薬局の場所を見つけてくれていて、教えてくれた。
だからってイギリス人が優しい訳じゃない。ガリーが気が利くいい奴なだけだ。
でもちょっぴりイギリスのことが、イギリス人が、マンチェスターという彼のいる町が、前より好きになる。
嫌いになるより好きになる方がいいから、いい印象になる積み重ねはウェルカムだと思う。

確かに眺めのいいレストランだった


宿に帰ってまた少し横になってたら、同じ部屋の中国人女子が、エクスキューズミー、とわざわざ私を起こして、「同じ宿にハンサムな日本人の男の子がいたけどあなた友達?私、彼と友達になりたいのよ」と言ってきた。
「友達じゃないし知らないけど、ハンサムな日本人はラオスで1人も見てないよ。明日の朝、もしその彼がいたら教えて。ハンサムかどうか見るわ。」と伝えた。
そんな人はいなかったと思うけど、そう言ってウキウキしているその女の子がかわいいなと思った。

そんなことを思ってダラダラ書いた、ただの今日の日記。
体調はかなり良くなった。


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