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土砂降り、ありがとう、ソロキャンプ。

変な空だなぁと、薄々気がついてはいた。
でもこの不穏な雲の感じが格好良く感じていて見惚れていたのである。
相変わらず、スピードが上がらない撤収とパッキング。
設営はあんなにも速くやれるのに、「片付け」となると一気に苦手意識が出るのか、面倒くさくなる。
そもそも、神経質な一面がこういう時に出没してしまうせいで、出したり入れたり、しっくりくる形やパッキングをああでもないこうでもないと模索しまくるから時間がかかるのである。
でも、今回の荷物はかなり少なめで、コットも持たず、着替えも持たずに来たから、折りたたみチェアとゴミだけIKEAのトートバッグに入れることで無事なんとか新入りのチャチャパックに詰め込むことができた。
荷物が少ないのは正義だ。
世界多分一周旅でもできるだけ荷物は少なくしようと思ったし、今日の荷物の中で1番かさばる重いテントは、海外旅には持って行かない訳だから、その分色々と詰め込めるなぁなどとも思ったりした。

最近の生活の色んなことは、世界多分一周旅のデモンストレーションになっている気がする。
これを持って行くといいなとか、これはなくても生きていけるなとか、常にそういうことを考えている。
気温が12℃だとこんな感じの服装で凌げるなぁとか、温かい緑茶は異国でもやっぱり飲みたいなあとか。
そういうのを考える時間が増えてきているから、もはや旅は始まっている。
楽しい。

ソロキャンプだと自然の風景を1人で見る時間がゆっくりとれるのが良かったし、それが私がハマった理由の一つであるが(もう一つの理由としてはキャンプ飯=肉料理)、長旅でもこういう時間をたくさん持てるのが何より楽しみである。

そんなことを思いながら琵琶湖を見ていたのだが、何か不思議な風景だなあと気づいた。

何だろう、変な感じ。
空から何か縦線のようなものがたくさん出ているように見える。
変だなぁ。
そして気がついた。

琵琶湖の真ん中の一部だけに雨が降っていたのである。

雨と晴れの境目をまたこの目で見つけてしまった。
昔、恋人と高知をレンタサイクルで爆走していた時に、雨と晴れの境目が私たちの頭上を通り過ぎていったことがあった。
とても不思議な体験。
あの時見た景色に似ていて懐かしいなぁとのんきに思っていたが、縦線ゾーンが何だか近づいてきている気がする。

これは、捕まってしまう。

慌てて逃げるように自転車に乗って琵琶湖を背に駅へと走り出した。
20分くらいは雨雲に捕まらずに逃げてこられたのだが、雨雲には捕まらなかったのに土砂降りに捕まった。
空はすごく晴れているのに土砂降り。
一体どういう現象なのか。
晴れているし、という油断で雨宿りの判断が遅れて、ずぶ濡れになってから雨宿りをすることとなった。
判断ミスではあったが、とても楽しかった。
自転車を止めて、チャチャを地面に放り投げて濡れた上着を脱いだ。
全く、やってくれるねぇ。
もう少しで駅に着くところで土砂降りにあってずぶ濡れになってしまい、楽しくて仕方ない私であった。

これ、琵琶湖の真ん中が雨です。


土砂降りずぶ濡れのフィナーレではあったが、日本でのソロキャンプはこれでしばらくお預けである。

12月から私は日本を離れて旅に出る。
海外を旅することができなくなったコロナ禍の期間、私を救ってくれたのは2020年の夏から新しく始めたソロキャンプだった。
自然の中に1人身を置いて過ごすのが楽しくて夢中になったが、正直、私が一番好きなライフワークとも言える海外旅の代わりとまではいかなかったし、旅への思いが余計に募るばかりではあった。
一番に取って代われなかったものの、それでも、ソロキャンプはまだ見ぬ新しい世界を私に見せてくれた。
海外に行けない、映画館に映画も見に行けない、ライブにも行けない、外食もできない、友達とも会えない。
私の好きなものたち全てを奪われ、どこにも行けずしんどくて辛い期間を、ひっそりとソロキャンプの時間を持てたことで、私は私を保てた気がしている。
コロナ禍でどんどんと世界が狭く苦しくなっていく中ですら、私の知らない新しい楽しい世界がまだまだ広がっていることを教えてくれたのがソロキャンプだった。



海外の旅の中でも、機会があれば異国のどこかで、この琵琶湖を思い出しながらソロキャンプをしたい。
朝起きたらハローって言いたいし、不思議な空を見つけてのんきに時間を忘れて眺めていたいし、風邪をひかない程度に土砂降りにあって笑いたい。

きっとまた、どこにでも新しい世界が広がっているのだと思うとワクワクする。
その日までは、とりあえず、私のソロキャンプの活動は一旦終了。
2代目のテントの新幹線くんにも、
モンベルの寝袋にも、
フランス歩き旅のルピュイで買ったナイフにも、
ゲバラのマグやポン子さんのふきん、
全ての私のお気に入りキャンプギアに「ありがとう」と言いたい。
そして、もうすぐ、私が一番したかった長旅に出るから、ギアたちはおとなしく待っていてほしい。
海外の長旅を終えて帰ってきたら、必ずまたお気に入りメンバーのギアたちを連れてソロキャンプに行こう。
長旅での思い出、異国でのキャンプの思い出に浸っているかもしれない。どこかの国で見つけたかわいい小物やギアが仲間入りしているかも知れない。
その時はまたガチャガチャした世界観を一緒に作ろう。

八方塞がりの私を救い出してくれて、守ってくれて、旅へと背中を押してくれた時間。
ありがとう、ソロキャンプ。
また必ず帰ってきます。

終わり


#史上最高キャンプ2022  でまとめています。

そして、2020年夏から始めたソロキャンプ過去12回分(とデュオキャンプと立山縦走など)をこちらのマガジンでまとめています。135本もあることに驚いた自分。


さて、来月から長旅に出ます。
そろそろ、本腰を入れねば。

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