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やりたいことを仕事にしていないが、仕事の中でやりたいことをしている

以前、大雨の中、山で遭難しかけた時に写真を撮り損ねたことで、直筆の絵で伝えたい!と思って、noteでわたしの落書きを披露した。
はっきり言って下手くそであるが、そこそこ受けたようで嬉しかった。


「何か好きなことを見つけなさい」と呪いのように言われたり、「好きなこと、やりたいことを仕事に」と言ってそれ以外は価値がないかのような社会で、あのような落書きが私の好きなことであり、やりたいことだと言っても、「あれで食べていけ」とアドバイスする人はいないと思う。
私は文章を書くことも好きだが、書きたいことを書きたいようにこうやって書いているだけなので、これで食べていけるような甘っちょろい世界だなんて思っていないし、これまで数回、ギャランティー的なものをもらってちょっとした紀行文を書いたこともあるにはあるが、読み手のことを考えたり、伝えるべき情報についてきっちり書かないといけなかったりして、窮屈だったからあまり向いていない。
写真を撮るのも好きだし、編み物も洋裁などのモノづくりも好きだし、音楽も映画も好きだが、それを仕事にしようと思ったことはないし、できるとも思っていない。
やりたいことを仕事にできる人っていうのは本当に僅かな人で、諦めない限り夢は叶う系のJPOPソングは、40代の私にとっては口からみかん色のヘドが出るくらいに気持ちが悪いと思うし、私はきっとそういう運を持って今世に生まれてきていないと思っている。だから好きなことを仕事にして食べていくことはできない。

今、私は、いくつかある自分の好きなこととは全く関係のないジャンルの仕事を本業としていて、その仕事は、やりたいことというわけでも好きなわけでもない。せめて、仕事でやりたくないことを出来る限り最小限にして、やりたくないことをやらないようにして、なんとか「やりたくねー」濃度を薄めに維持してはいるが。
今の仕事は生活のためであり、長めの休みを取って旅に出やすい職場であり、専門職であるため辞めても潰しのきく仕事であるのが、今の仕事と今の職場を選んで働き続けている大きな理由である。
私は仕事を目的にしておらず手段にしているわけであり、今の仕事をしているおかげで、仕事以外の時間で好きなことがやれているのである。

と思って割り切って働いてきたが、それだけでもないなぁという部分が最近見えてきた。

例えば、仕事で使う資料なんかに、わざわざ書かなくてもいいのに自分でイラストをちょこっと端っこに書くこともある。いらすとやさんに頼ればいいのに、自分で書いてわざわざPCに取り込むという凝りようである。
会社のホームページ制作もしており、自分で撮った写真を使っているし、よその会社の広報誌にコラムなんかも書くことがある。音楽や映画の話も仕事で活かせる時もあるし、手作りで何でも作りたい人なので職場で使うフェイスシールドやマスクを手作りしてみたり(今はさすがに既製品を使用している)、インドで買ってきたスパイスでチャイの作り方講座を開いたり、もうやりたい放題である。
好きなことを仕事に無理やりねじ込んでいることはまだまだあるけど、あまり書くと身バレする恐れがあるから少しぼやかしているし、そろそろこの辺にしておくとして。

どれも私の本来の業務ではなく、業務内容の10番目にも上がってこない業務だ。いや、業務なのかも謎だが、一応勤務時間にカウントはされている。
別にやらなくていいことだし求められていることでもないが、ねじ込んで絡めてぶちこんでいる私の好きなことは、まるでそれが仕事かのような顔つきをしている。
「やりたいことを仕事にしてるわけじゃないし」と言って働いてきたが、「意外と仕事の中で、仕事と関係のない自分のやりたいことを取り入れているなぁ」ということに今更気づいたし、ここまでやっちゃうとやり過ぎかも知れないが、そういう働き方もあるよなと思う。
「置かれた場所で咲きなさい」という本があったが、置かれた場所がコンクリートで固められていて全然そういう場所じゃないのに、好き勝手にお花畑を作っちゃってる人なのではないか、私。
そう考えると、仕事は好きじゃないと思っていたが、時々楽しい時間もあるな程度には思える。
自分の好きなことをどう絡めていけるか、どうねじ込めるかが大事だ。
諦めないとか夢を叶えるとかそういう次元の話ではなく、人生において、いかに自分の好きなことをねじ込む隙を見つけるかという冷静かつ現実的な視点である。
有給休暇を隙を見つけてサクサク取得すること、有給休暇を使って仕事を辞めずに3週間の旅に出ること、そして有給休暇を毎年100%消化し続けていることもそれと同じことだと気づいて、つくづく自分の好きなことを実践するのが私は上手だなぁと我ながら惚れ惚れした。
これからも好きでもない仕事の中で、どうにかして、出来る限り人に迷惑をかけずに人にも押し付けずに、自分の好きなことをねじ込んでいきたいと思うし、休みもねじ込みたい。それが、好きなことを仕事にできなかった私のベストな働き方だと思う。


写真は台湾、台中にある彩虹眷村。
都市開発で立ち退きを求められていた村に、そこに住んでいた一人のおじいさんが、その村に趣味で好き勝手に絵を描きまくっていたら、名所になった場所。こういう村のようなものを作りたい、例えだけど。

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