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蛍を見た

毎年、車でとある大阪府内の山奥の川辺に蛍を見に行くのだが、今年は、GRのカメラを手にやってきた。
2週連続の雨で延期していたため、6月も下旬となり、もう時期は過ぎたかなと思っていたが、20時を回った頃に、一斉に森の中から出てきた。

しばらく、一緒に見にきた人とぼーっと眺める。毎年恒例の行事。
毎年、この場所に来るようになってから10年は経つ。
初めて来た時は、都会っ子なので蛍が大阪市からすぐ近くの場所で見られるとは思ってなくてびっくりしたのを覚えている。
蛍も綺麗だが、陽が暮れる直前に見る流れる川の水も綺麗で驚いたものだ。

さて。
撮ってみるか。
シャッタースピードを20秒にして、ミニ三脚を出して河原大きめの石の上にセット。ガシャンと一度石にGRをぶつけて焦ったが、まだ大丈夫だと信じる。

撮ろうと思うと、蛍が森に引っ込んでいく気がする。気のせいだけど。

2匹くらい撮れた。


カメラの向きが、どの辺を向いてるか分からず勘でセット。

大きく動いて飛んだ蛍

飛んでいる道筋が写って嬉しいけど、目で見るよりも蛍が少ない気がする。

同じ場所をうろうろと飛ぶ蛍



シャッタースピードを30秒にしたらたくさん写ったが、あまり大きな動きはなかった。

GRで蛍が写るということは確認できた。
同じ位置で撮った何枚もの写真を合成すれば美しく飛び回る蛍の写真が出来上がるらしいが、GRはもう三脚を外してポケットにしまった。

蛍は、この目で見る方が楽しいし、美しいと思った。
いつ誰とどこで見るか。
それに意味がある気がした。
来年は一緒にこの場所に蛍を見に来れないから、今年はたっぷりこの目で見ておきたい。

これから年末に旅立つまでの間、全てのあらゆるイベントが、いつもの恒例行事でも「来年はできない」という意味が乗っかる。
写真に残しておきたい気持ちと、しっかりこの目で記憶に焼き付けたい気持ちと両方の気持ち。
いつも以上に強くある。

蛍の写真は、この3枚で十分。
そう思った。
自分のカメラ技術のなさの言い訳かも知れないが、蛍はこの目で見るに限る。
再来年までお預けになるから、しっかりとこの目に焼き付ける。
この場所も、この空気も、この夜の暗さも、蛍の明るさも、一緒に見ている人も。
そう思った夜だった。


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