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緊急事態宣言前夜に映画を見た

今日からまた第3回目の緊急事態宣言。
昨日、明日から映画館も休業となると聞いて、滑り込みで慌てて「ノマドランド」を見に行った。
人の少ないレイトショーで見たいと思って探したら、万博エキスポシティしかやってなくて、自粛の巣ごもり前にちょっとだけららぽーとも覗こうと思い、わざわざ出向いてみた。
想像以上の人の多さにびっくりして、asokoとユニクロとH&Mにだけ寄ってモールの外へと退散した。
若い子たちが芝生の広場でお菓子を食べながら座り込んで喋っている。うわー近づかんとこうと思いつつ、10代や20代でこんな事態が繰り返されたらやってられへんわなと、少しの同情も浮かぶ。

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私は運動嫌いでスポーツにも興味がなく、国際的なスポーツのイベントに対しての思い入れが何もない。
サッカーのW杯で職場の人たちが寝不足続きだろうと、話題に入れなかろうと、至って普通の日々を過ごす人である。
もうすぐ終わるぞ、という段階で海外の選手に超タイプな顔の人を見つけてから急にハマり出して日本のチームと関係のないところで遅れて熱狂がやってきたことはあるが、スポーツへの熱ではなく邪な熱であった。
オリンピックもほとんど見ない。
だけど、オリンピックはもちろん全国民が見ているものとして、あちらこちらで会話はされるし、見てないと言いにくい圧力すら何年も感じてきた。
ロンドンオリンピックの開会式だけは好きで録画して今でも見返したりするが、それはショーとしての関心であり、スポーツ競技やメダル、選手の名前なんかは、ごめんなさいと一応謝りたくなるくらい、興味が湧かない。
池江璃花子選手のこないだの復活劇は感動したし、何ならニュースを見て泣いた人ではあるが、私自身は「努力は報われる」と思って生きていないし、スポーツのできる人というのは私にとっては同じ人間とは思えないくらい遠くて、人間とマーベルの映画のキャラクターくらいの距離感がある。

そういう観点から、オリンピックなんかやらなくてもいいと前から思っている派なんだけど、世界中のみんなにとってオリンピックは特別なイベントだと人々は思い込んでいるし、できなくなるのは残念だからやろうみたいな空気とか、何それと思っている。
それこそ、今、こんな事態になって、オリンピックは中止させるべきだという声が強まってきているけど、特段楽しみにしてきていない私にしてみれば、中止できることすらも、もう期待していない。

戦時中、勝ち目のない戦に「欲しがりません勝つまでは」と言って色んなことを我慢させた時代との違いは何だろうと最近考えたりする。
コロナが収まって生活が戻るまでは、海外に旅に出られるまでは。
そういうモチベーションで何とか我慢してきたが、「オリンピックを無事行えるように」という大義名分を日本人全員に背負わされるのは辛抱ならない。辛抱するけど。

映画館をなぜ休業させるのか。
一部のバカな人たちの振る舞いに制限をかけるために犠牲にしていいジャンルではないと思って悔しくなる。
昨日見たノマドランドは、レイトショーで、封切られてから割と経つ洋画なのに、映画館内は割と混んでいた。明日からの休業に滑り込んで見にきた人が多いのだと思う。
小さなシアターで、席が半分ほど埋まっていて密なのが少し気になったが、声を出さないから大丈夫だろうと冷静になればすぐ思えた。政府にも冷静になってほしいものである。



ノマドランドは、いかにもアカデミー賞が好きそうな映画という感じだった。
俳優が2人しか出ておらず、あとは全員本名で本物のノマドだったのをエンディングで知って驚いた。
しかしアメリカという国は本当に広いのだなぁと、色んな素晴らしい景色を見ながらそう感じた。
私も色んな場所へ旅したい。景色を見たい。自分だけのお気に入りポイントを求めて岩山をウロウロしたい。星を見上げたり、石を拾ったりしたい。外の景色を見ながら眠りたい。うずうずした。
だけど、頭は毎日洗いたいし、風呂にも浸かりたいし、ベッドで時々は眠りたいし、肉も食べたい。
ファーンのようにハウスレスで生き続けられるかという問いの前で、私は動けなくなってしまった。
旅をし続けて生きることは、要所要所でコミュニティに属したり、人の手を借りたり、関わり合ったりする場面に出くわす。そして別れの場面も多い。
私はノマドに憧れても、所詮、働かねば食べていけないし、大好きな大阪に帰る場所があって、しばしの逃避、なんちゃってノマドに憧れる人でしかないのだなぁと思った。それが今のところの浅い感想。



明日のアカデミー賞も楽しみだ。(私の大好きなスティーブン・ユアンのミナリを見損ねたのを今思い出して悔しい。)
俳優陣の衣装をチェックするのも毎年の楽しみで、どんなスピーチをするのかも注目していて、年に一度のビッグな私のエンタメである。
映画を見ることは楽しい。
映画の出来や好みは置いておいて、映画を見るということが好きだ。
音楽を聴いたり芸術に触れたりも好きだ。
芸術と言えば、京都でやっている鋤田正義のデヴィッドボウイと京都の展示会も行けなくなってしまったことも思い出した。がっかりだ。
そういった芸術は、オリンピックよりも軽んじられる存在ではないんだけど、私にとっては。



帰り道に見かけた太陽の塔は不気味だった。
岡本太郎が生きていたら生前の5倍くらい爆発してると思う。
私のような、スポーツに関心のない文化系人間から楽しみを全て取り上げてまで行うオリンピックなのだが、オリンピックのためではなく、感染者数が落ち着いて自粛自粛の日々を1日でも早くおさらばし、旅立つことのために私は辛抱しようと思う。やってられないから、そう思うしかない。

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