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「好きです、好きなんです」と言われて考えた

昨夜、とある人に「好きです、好きなんです」とまっすぐ目を見て言われた。
いわゆる「THE告白」という感じの少女マンガで見たようなシチュエーションとセリフだった。どちらも40代の男女なのでおそらくそんな少女マンガはないだろうけど。男性に告白されるのは久しぶりで驚いた。仕事柄、女性は時々あるのだけど(どんな仕事やねんだが)。
相手は勇気がいったことだろうなと思ったけど、すぐに断った。我ながらあっさりと。まあ、そういう私のキャラクターも彼は分かってくれているだろうけれど。
仕事がらみの相手で、本当はそういう気持ちを持たせてはいけない人だったし、私がちゃんと距離を保てていなかったのだろう。好意を持ってくれていることは以前から気づいていたから、言われないように、口に出させないように気をつけていたのに、昨夜は忙しすぎて油断していたし、言わせてしまったと反省した。
しかし、「好きやで」と言われたことはなくもないそこそこモテた時期もある私だが(自称)、この大阪の地で、大阪弁バリバリの女に「好きです」なんて丁寧な日本語で紳士的に伝えてきた男性は、これまで一人もいなかったのでとても貴重な経験としてありがたくお言葉とお気持ちは頂戴することにする。ありがとう。

そういえば。
私が「好きです」というそのままの言葉で、はっきりと恋愛感情を持った相手に伝えたのはいつだろうと考えた。
大人になってから「好きやで」くらいは言ったことはあるし、「好きやねん」はあったかな、どうだったかな。
「やっぱ、好っきゃねん」とたかじんばりに歌うことはあるが、やっぱ好っきゃねん、悔しいけどあかん♪なんて、相手に気持ちを込めてクセ強めに伝えたことは多分ない。


私が口にする「好きです、好きなんです」は、上司に仕事中に杏仁豆腐を食べているところを見られて、ついつい言い訳として口走る使い方ぐらいだ。

「好きです」を目の前の相手に発して思いをぶつけたのは、結局、中学3年生まで遡ってしまった。
四半世紀以上前である。
と書いてとても恐ろしくなったが続ける。
ちょっぴり不良だったAくんが、いじめられている男子を一人でかばって、怒って教室のドアを蹴飛ばした姿を見てときめいてしまい、また当時のヤンキー特有の後ろ髪だけちょろっと伸ばす謎のヘアスタイルさえも格好よく見えたし、短ランも彼を異常な足長スタイルに見せていた。
告白しようと思い、放課後に「好きです」とはっきりと敬語で伝えた記憶。
ろくに喋ったこともなかったのに無事なぜかOKをもらって付き合うことになった(その時は付き合うのが流行っていたのだと思う、言われたら付き合うみたいな)。
それを知った担任の教師から、当時まだ成績優秀な優等生だった私に、「あいつと付き合って成績が下がったらどうするんや」と注意をされた。
その時に、私はその先生にも
「Aくんのことが好きです、好きなんです!」と怒って言ったのを覚えている。
ああ、なんてまっすぐな青春だ。
結局、割とすぐに振られちゃったのだけど、中学を卒業後、Aくんは高校に落ちてプラプラしていた。
私はというと、進学校の高校に進み、一気に勉強についていけずにポン子さんとともに落ちこぼれていき(ポン子さんにとばっちりですまん)、モテない女子高生となり下がった。もともとモテていたわけでもないが。

ある日、むちゃくちゃ派手なヤンキー女子高生とAくんが地元をバイクで走っていたところを、偶然発見して胸が痛んだ。初めてに近い失恋の痛みだった。
私は優等生でもヤンキーでもない、何にもない、ただのさえないモテない女子高生になっていて、そんな自分がなぜか切なかった。

そして、それからずっと、恋愛感情を抱いた人に対して、まっすぐに恋心を持って「好きです」なんて言葉を口にせずに生きてきてしまった。
今後、口にすることはあるのだろうか。
口に出さなくても何となく分かるよね?
何となくの流れでいつの間にやら…という恋愛ばかりでいいのだろうか。
というか、これからも、いくつもの恋愛をまだまだする気なのかお前は。
ちょっと「好きです」と久しぶりに男性に告白されたからって、かなり調子に乗っているのか。
そんな自分にびっくりである。
やだやだ。
「好きです」爆弾のせいで、そんなことまで思ったりした本日は、地元のAくんのこともよく知る友達のしめちゃんと、GO TO イートのチケットを持ってたんまりと肉を食べに行く。
なので肉にかぶりつきながら、ゆっくりとしめちゃんに、恋についてのお考えを聞いてみようと思う。



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