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第20話 「見よう見まね」が招いた会社の危機、社員に与えた選択肢は

何枚チラシを配れば何件電話がかかって来るかを計算できるようになっていたので、社員を5名、10名と増やし、やがて20名以上の社員数になっていった。

もともと、ひとりでも多くの方にこのやりがいのある仕事にチャレンジしてほしいと考えていたので、社員増員だけでなく、創業4年目には人材育成の講座を開講していた。僕が講師をさせていただき、合計100人以上の卒業生を輩出している。

ただ、会社経営は、そう易々と成功を持続させてもらえるものではない。

社員が増えていくにつれ、お客様からのクレームがじわじわと増えてくる。


原因は、冬場に植木職人が施工した工事についてだ。

剪定の仕事は、5月から12月までの8ヶ月間は猛烈に忙しい。一方で、1月から4月の4ヶ月間は逆にほとんどご依頼がない。植物が成長を休んでおり、剪定の必要がないからだ。

なので、変形労働制といってカレンダーで休日を組み、忙しいときに多めに働いていただき、閑散期は多めに休んでいただいている。

とはいえ、まったく仕事をしないでいいわけがなく、閑散期の4ヶ月間は、竹垣を作り直したり、砂利を敷いたりして、お庭の造作作業で仕事を捻出している。

その閑散期が発生することは、起業当初から計算済みで、逆に剪定の仕事は、造作のご依頼をいただく営業の入口と考えていた。

お庭の営業は、お庭に入らせていただくまでが大変。お庭も家の一部ですからね。なので、剪定は造園の営業としては最高の糸口だった。

「ここにフェンスを立ててほしい」「潅水装置をつけてほしい」という簡易なご依頼から始まり、だんだん、「ウッドデッキもやられている?」「タイルは敷けるのかしら?」とご依頼も高額化していった。

実際の工事は、最初は専門の業者さんにお願いして一緒に作業させていただいていたが、自分たちで出来そうな作業は自分たちでやっていった。

今となれば、僕自身がすべての工種をそのころ実際にやれたのは、今の営業の仕事をするうえで、大変貴重な財産になっているが、その授業料は大変高くつく。

それは「ホームページの施工事例とは出来栄えば違う!」というクレームだった。

当時の施工事例は、専門の業者さんにやっていただいたものを中心に載せていたので、当然お客様もその写真レベルのものをご期待される。

ところが実際の多くは、僕をはじめ植木職人が見よう見まねで閑散期に作っているので、同じように出来るわけがない。

僕の目論見では、植木職人でも専門レベルまで早期にキャッチアップできると考えていたが、やはり、餅屋は餅屋である。本物の専門職というのは、やっぱりすごい。

これ以上お客様にご迷惑をかけてクレームを増やすことは出来ないと考え、植木職人に、「見よう見まね」の工事をさせないようにした。

とはいえ、閑散期に植木職人が間違いなくやれる仕事だけでは、20人の社員を養っていけない。

人数が多いだけに、閑散期は赤字になり、銀行からの借入も増えていった。

数年は、繁忙期に大幅な黒字化を目論んだりしたが、基本は人が動いて売上が上がるビジネスモデルなので、閑散期の赤字を埋めるほど稼ぐことはできなかった。人材育成の講座もその穴埋めにはならなかった。

「もう植木職人を会社員として抱えるビジネスモデルは成り立たない」と判断し、自分の強みである「営業」を武器にした「造園の提案会社」に絞ろう!と決心した。

苦渋の選択だった。

植木職人に3つの選択肢を案内することになる。

1つ目は、ガーデンプランナーに転向して会社に残る

2つ目は、お客様を譲るので独立を支援する

3つ目は、他の仕事を探していただく


その結果、半分の植木職人が退職することになった。今も消息はこっそり気にしている。路頭に迷うことなく、ちゃんと生活していただけているのは、心の救いである。

こうして、会社はガーデンデザインを主業として営んでいくことになり、第1話(『ベテラン営業職員の大量退職、倒産の危機!?』)につながっていく。

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さて、当初は、もう少し簡単に僕と会社の軌跡を振り返るつもりでしたが、長くなってしまいました。

僕は、会社員、役員としてこれほど成功したんだから、経営者も簡単に出来るくらいに思っていましたが、とんでもありませんでした。

ナンバー2と、ナンバー1では、抱える仕事の「しんどさ」は、天と地ほど違うというのが実感です。

それは逆に、経営者ほど、自分を鍛え磨いてくれるものはないと思います。

僕が社会人になるときに心に決めていた想いがあります。

「学生時代は、空手を通じて自分を鍛え磨いてきた。社会に出たら、今度は仕事を通じて、自分を鍛え磨いていきたい」という想いです。

改めて振り返ると、本当に実現できていると思います。

今度こそ「今残ってくれている従業員や、親密な取引先、そしてこれからご縁がある方とともに、一緒に幸せになりたい」と強く思っています。

というか、「僕と出会っている今が幸せ、楽しい、ワクワクする」と周りの人から思っていただけるように、自分磨きを続けていきたい所存です。

僕は営業として実績をあげてきたために、自分はコミュニケーション能力は高いと思っていましたが、それは大きな勘違いでした。それは、のちのち、お伝えしていきたいですが、それに気がついたので、日々改善努力中です。

あなたの強みは?と問われれば、

「良くなることをあきらめないこと」

だと思っています。

人はいくつになっても、自分がその気になれば、変われると信じています。

54歳で何を青臭いこと言っているのかと思われるかもしれませんが、この部分はピュアです。


さて、今後のnoteを綴らせていただくにあたり、今後の抱負をお伝えさせていただきます。

もし、ご興味、ご関心があれば、是非、フォローをお願いします!!


<今後のブログの抱負>

時代の流れに加え、このコロナ渦を経て、会社の経営も、働き方も新たな変革を求められていると思います。

そんな新たな変革の時代に、次回からは、時間軸を現在に戻し、本題である「ホワイト小企業の作り方」に挑戦し続ける、僕のリアルな思いや姿をお伝えしていければと思っています。

長文に最後までお付き合いいただきありがとうございました!











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