第22話 社員に仕事を「教える」だけでは辞められてしまう現実
昨日は「ホワイト小企業の作り方」として、まずは根底にある考え方として、「一緒にいたいと思われること」ではないかとお伝えしました。
では一緒にいたいと思われるには?というなかに、「教えてもらえること」をあえて入れませんでした。
「転職当たり前」
「終身雇用は古い」
と言われて久しいですが、それは大企業や大きな中小企業では耐えられる話で、教育に年月がかかる職種の小企業は耐えられません。
なぜなら、教育期間中は当然、給料に見合う働きができません。なので、3年5年かけて育てたら、3年5年かけてその赤字を埋めていただかなければ、長い期間で見た場合、会社経営として採算が合わないからです。
大企業は100人採用して10人、20人辞めても、90人、80人残りますが、小企業は毎年2人採用して、もし、3年5年で2人とも退職されることが繰り返されたら。。
なので、教育に年月がかかる小企業は、「転職当たり前」を前提に会社設計図を描かない方がいいと思います。
【小企業経営者に必要な覚悟】
従業員に長く会社にいてもらうこと=「従業員が長く会社にいるにはどうすればいいか」とずっと向き合うこと
ここを覚悟するしかありません。
逆にここを覚悟できないなら、教育に年月がかかる小企業経営はやめた方がいいと思います。僕はそう思います。
さて、本題に戻ります。
長く会社にいていただくには、「一緒にいたいと思われること」でした。
そして、僕は、「教えてもらえること」が従業員がずっと会社にいてくれる理由ではいけないと思います。
それは何を隠そう、僕がそれで失敗してきたからです。
「教えてもらえること」が、会社にいる主たる理由だとしたら、「教えてもらうことがなくなったら辞める」ということになるからです。
会社は3年、5年、10年と教え続けることはできるのでしょうか?
小企業の経営者やリーダーは、目の前の仕事以外にも、いろいろやることがあります。集客、資金繰り、庶務。。
よって、部下の方が実務について、勉強する時間は経営者や上司よりあります。つまり、いつかは追いつかれ、抜かれてしまうということです。
なので、「その仕事を学びたくて。。」という方を採用してしまうと、学ぶことがなくなったら辞めてしまうという理屈になります。
もちろん、実務をやっていただくには、教えないとなりません。したがって、「教える」ということは当たり前のことであって、「ずっといてもらえる十分条件ではない」と心得ておくべきだと思っているのが現状の僕です。
「こんなに教えてもらえるところはないだろう!」「こんなに教えてあげているのに」と考えて、昨日申し上げた3点を軽んじてしまうのは危険だと思います。
経営者やリーダーは、「教えるのは当たり前。それに安住しない」ことが重要だと思います。
「勉強できる会社!」を一番の売りにするのは危険です。
<前回申し上げた3点>
【一緒にいたいと思われるリーダーの条件】
・自分(従業員)に関心を持ってくれる人
・向上心をもって実践している人
・働きに見合った報酬をくれる人