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3. 人材ローテーション(採用・異動・出向)を実施する

■Keynote
社内の各部署をローテーションして、多種多様な人と触れあう経験こそが、社員を大きく育てる。
 By 和久井康明 (株式会社クラレ 元取締役会長)

優秀な人材ほど幅広い仕事を経験してほしいので、特にローテーションは重要だと考えている。
 By 白井俊之 (株式会社ニトリホールディングス代表取締役社長COO)

■ローテーションで適材適所を実現する
企業活動の成果を最大化する施策の一つに、適材適所の実現がある。人材配置とは、企業活動に必要な個々の職務に、その遂行に必要な適性・能力を持つ従業員を割り当てることである。職務に最も適した従業員を配置し、能力を最大限に引き出すことが求められる。配置にあたり、育成的見地から個人の成長を配慮して行う異動を「ローテーション」といい、その重要性は三点あげられる。


■ローテーション実施の3つのポイント
第一に、従業員が最も活躍するのは、本人の適性にふさわしく、本人が希望し、やりがいがあると思える仕事に就いたときであるという点である。従業員を信頼し、会社からの期待を伝えた上でやりたい仕事に就かせるときに、従業員は会社からの信頼に応えようとして活躍することが期待できる。
第二に、複数の職務を経験することで、多面的に能力を開発できるという点である。人は新しい部門に移ることで、新しい知識を吸収し、新しい考え方を身につけ、新しい自分を発見する。
第三に、組織に刺激をもたらし、活性化することができる点である。どんな組織でも構成員が固定されてしまうと、考え方や仕事の進め方に偏りが生じ、独特の組織風土を形成してしまいがちである。そんな中、新規配属者の存在は、部門間のセクショナリズムを緩和する効果をもたらす。


■ローテーション実施の理由を、期待と配慮の点から直接語る
計画的なローテーションは有意義なものであるが、人を動かすことには負担と困難を伴うことへの配慮も重要である。ベテランが他部署へ異動し、新人が配属されることは一時的とはいえ業務品質に影響が生じる。また、転勤を伴う際には従業員のみならず、その家族にも負担が生じることまで想定することが必要だ。手当など金銭対応だけで済ませずに、経営陣からも期待を伝え、配慮を示し、将来を語る等を通じ納得感を引き出すことがローテーション成功の鍵となる。

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■参考図書



■let's Think!
 □ 既存社員の異動を検討する理由は複数あるが、どんなものがあるだろうか?
 □ 出向社員を受け入れる際に留意する点には、どんなものがあるだろうか?(第3章19を参照)

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