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7. 選考=候補者の”動機付け”と”見極め”を実行する

■Keynote
いい人材が採用できないと嘆く経営者がいるが、すべて自分を反映している鏡だと考えた方がいい。
 By 小林雅(インフィニティ・ベンチャー・パートナーズ 元共同代表)

■人材獲得競争は苛烈を極めている
世界有数のコンサルティング会社マッキンゼーが“The War For Talent” (人材をめぐる採用・育成競争調査) を発表したのが2000年。日本においても景気変動の影響を受けたとはいえ、人材獲得競争は苛烈を極めている。厚生労働省発表の2016年5月の有効求人倍率(季節調整値)は0.02ポイント上昇の1.36倍。1991年10月(1.36倍)以来、24年7カ月ぶりの高水準になった。企業の求人数が引き続き伸びる一方で、求職者数が減ったことで求人倍率が上昇している。
この競争のさなか、自社に適した人材を獲得するために欠かせない2つの要素が“動機付け”と“見極め”である。

“動機付け”は応募者に自社の魅力を語り「この会社で働きたい」と思ってもらうことである。
具体的には社風や経営理念、実際の仕事内容とそのやりがい、将来の展望を語り、応募者に「頭での理解」と「心での魅了」を果たすことだ。社長が採用選考に加わる場合は、その多くが最終選考であろう。優秀人材を自社に引き込む最後の決め手が社長の魅力となることもある。

“見極め”は自社の人材要件・ポジションの採用基準に沿って判断することである。
「職務に必要な能力、知識、スキル、適性などを備えているか」「自社のビジョンや経営理念、社風・風土に適しているか」「自社にふさわしい人柄・性格か」などを自社の人材要件・採用基準に沿って判断していく。
その際、事実と意見を分けて判断することが重要だ。事実の見極めは、過去の経歴や実績、応募者の提出物(応募書類や作品集)、応募者の発言によって行なう。ここに面接官の主観=意見(応募者の言動に対し面接官がどう感じたか)が混ざらないように気をつけたい。応募者の事実とご自身の意見を混ぜ合わせて判断してしまうと、応募者のポテンシャルを見誤ってしまうことがある。特に、面接官ご自身が過去に著効な実績を上げている方に多い傾向として、ご自身と比較しポジションに必要な能力よりも高いものを求めてしまい、採用基準が上振れすることが見受けられる。社長は特に留意が必要だ。

■最終選考の鉄則
最終選考には鉄則がある。「悩んだら採らない」ことだ。

選考フェーズ序盤は「合否を悩んだら次のステップで見極める」ことが出来るが、最終選考ではそうはいかない。例えば「スキルは申し分ないが、キャラクターが組織の文化を乱しそうだ」というケース。合否を悩んだ時の判断の仕方として、グーグル社の採用手法「エアポートテスト」が活用できる。これは「空港で乗る予定の便が欠航になった時、その応募者は同僚として共に一晩過ごすことがイメージできるか」を判断基準にする方法である。これにより相性(ケミストリー)を判断する手法である。

■「応募者から見られている緊張感」を正しく持つ
一方で、面接官も応募者から「見極められている」ことを肝に銘じたい。
もしも応募者とは採用選考では縁がなく入社しなかったとしても、その応募者が将来、自社の顧客になる可能性もある。縁がなくても丁寧に印象良く対応したい。一般消費材メーカーやサービス業ではすべての人を客様として扱う傾向があるが、「自社が応募者から見極められている」という視点は業種を問わず意識したい点だ。

■Let's Think!
 □ 自社採用活動での“動機付け”は機能しているだろうか?
 □ 自社採用活動での“見極め”は機能しているだろうか?
 □ 自社は、応募者にどのような印象をもたらしているだろうか?

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