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『終止符のない人生』を読んで

今日は読書感想文に挑戦です。
読書感想文というと、小中学生時代に夏休みの宿題として出され、休みが終わる直前に読みたくもない推薦図書を読み、いやいやながら書くという後ろ向きな思い出がありますが、もはや学生ではないので、好きなように書けるのがいいですね。

今回読んだ本はこちら。
反田恭平 著 『終止符のない人生』

半年以上の積読期間を経て、ようやく読むことができました。

著者の反田恭平さんはピアニストです。2012年高校在学中に日本音楽コンクールで第1位になり、その後2021年10月に行われた第18回ショパン国際ピアノコンクールで、第2位に輝きました。情熱大陸などメディアにも多数出演されているので、ご存じの方も多いかと思います。

ショパンコンクール(ポーランドのワルシャワで開催)の様子はYouTubeでも配信され、私も日本人演奏家を中心に、3次予選とファイナルを視聴しました。

実に51年ぶりに日本人として2位入賞という快挙をはたした反田さんですが、幼少期はプロのサッカー選手を目指すサッカー少年だったそうです。趣味がピアノで本業がサッカーという生活の中で転機となったのは11歳のとき。なんと試合中に右手首を骨折し、サッカーの道を断念したのです。

本書にはおよそ20日間にわたるショパンコンクール期間中のメンタルの動きやステージで感じたこと、またどんな準備をしたのか、更にはこれからの活動についても熱量高めに書かれています。

「誰がどこで聞いているかわからない。どんなに小さなコンサートであろうが、2000人が入る大ホールのコンサートであろうが、絶対に手を抜いてはならない」

本文より

これが、デビューリサイタル以降ずっと大事にしているモットーだというくだりを読み、2021年に行った反田さんのコンサートを思い出しました。

ショパンコンクールに出場する以前から既に人気があり、日本で一番チケットがとりにくいピアニストと言われていた反田さんですが、運よく松本市で開催されるコンサートに行くことができたのです。

指揮者:佐渡 裕
オーケストラ:ジャパン・ナショナル・オーケストラ特別編成
曲目は、ハイドンの交響曲、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲とピアノ協奏曲第3番。

なんとピアノ協奏曲の2本立て!普通はまずしないプログラム構成です。体力と気力に自信がないと無理でしょう。

演奏が始まってすぐに、いっさい手を抜いていないということがわかりました。コロナ禍でコンサートが次々と中止になり、活動の場を失った期間を経てということもあるでしょう、オーケストラからもピアノからも、音楽ができる喜びがあふれ、空気の振動である音として伝わってきました。

鳥肌が立ちました。心が震えました。
サイトウキネンオーケストラに勝るとも劣らない演奏だと感じました。
きっと同じように感じた方も多かったと思います。演奏終了後はほぼ満席の客席から拍手が鳴りやまず、私を含め多数の方がスタンディングオベーションをしていました。

その光景を思い出しながら、本を読み進めました。

現在反田さんが自ら座長を務めるジャパン・ナショナル・オーケストラは、奈良を拠点として活動しています。そして10数年後を目標に音楽の学校を設立し、全国、全世界から音楽家が奈良を目指す流れを作りたい、とありました。東京ではなく、奈良に。

楽しみです。その様子をぜひ見にいきたいです。
将来かなえたい夢がまたひとつ増えました。

人生とは、終止符のない音楽なのだ。

あとがきより


おわり

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