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「ただ絵が、好きで好きで」日本画家 池上秀畝展
きょうは、ふたたび「池上秀畝」の絵を味わう日。
前回訪れたのは高遠美術館。
今回は、伊那文化会館で開催されているこちらの美術展へ行ってきました。
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館内はやはり撮影不可でしたが、静かな展示室で見ることに集中できたので、むしろそれで良かったかもしれません。
「ただ絵が、好きで好きで」
秀畝の言葉です。
そんな気持ちで描かれた秀畝作品の数々。
今回の展示品は、そのほとんどが地元伊那で個人が所蔵しているもの。
正直、名のある美術館で味わうような”圧倒される感”はそれほど期待していなかったのですが(失礼)、その予想は大きく裏切られました。
うまく言葉にできないのがもどかしいくらい、心を動かされました。
どの作品も保存状態が良く、色鮮やかです。
きっと「家宝」として、とても大切にされてきたのでしょう。
秀畝は帰郷のたびに、揮毫の依頼があれば断らずに描いたといいます。
作品の素晴らしさのみならず、秀畝と地元との強い絆を感じ、胸が熱くなりました。
🌙
一周したところで、ひと息つこうとソファへ座りました。
ふと横を見ると、今回の秀畝展図録の見本が置いてあります。
手に取ってパラパラとページをめくってみると・・・
あの作品がのってる!
この作品ものってる!
お値段はそこそこ。
でもこの先、図録が出るかどうかもわからないし、
もっと秀畝のことが知りたいし、
これを見れば、今日の感動をすぐに思い出せそう
いろいろと理由をつけながら、はい!買いました!
せっかくなのでその中から、
今回とくに良かったなと思う作品をいくつか紹介します。
池上秀畝 高精細画人図録より
<湖舟清談図> 明治22年 15歳
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既にすごい!かわいい。
<魚籃観音> 大正8年 45歳
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<孔雀明王 下図> 大正9年 46歳
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<蜀桟道> 昭和3年 54歳
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気品があふれていました!
<露叢> 昭和6年 57歳
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何匹見つけられるかな?
<冬静> 昭和15年 66歳
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思わず触りたくなった
秀畝の描く動物は、とても生き生きとしています。
なかでもわたしは、昆虫と鳥が好き。
さてそれでは、
せっかくなので別会場の秀畝展もちらっと覗いてみましょう。
こちらは、同じく伊那市内にある「伊那市創造館」
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このフライヤーにある「富嶽と三保の松原」屏風は、上伊那図書館開館に際し秀畝から寄贈された作品で、その制作期間は2日間だそうです。
2日間!
そしてなんと、私の母校にも秀畝作品が寄贈されていたと知りました。
(実際に作品をみても、まったく思い出せませんでしたが・・)
変わり種でちょっとおもしろい展示品もありましたよ。
明治42年、秀畝は同郷の洋画家・書家「中村不折」ともに妙義山へ写生旅行に出かけました。
たくさんの写生画の中には、秀畝が不折を描いたもの、また逆に不折が秀畝を描いたものがあり、それらが今回展示されていました。
二人は仲が良かったようです。
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中央左上に座っているのが秀畝
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戦時中には、横山大観や山口蓬春らとならんで軍事郵便の画家にも選ばれた人気ぶりでしたが、終戦間際の昭和19年に亡くなったせいか、戦後は取り上げられる機会も随分と減ったようです。
🌙 🌙
池上秀畝展、高遠からはじまり、これで市内すべての施設を巡りました。
同時に、集めていた”秀畝カード”もコンプリートし、
長野県立美術館
「生誕150年池上秀畝ー高精細画人ー」入場券
という特典を手に入れたのです!
やった!
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外へ出ると、しだれ桜が風に揺れていました。
ただ絵が
好きで好きで
やっぱり、好きは最強ですね。
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