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短歌 夏の音楽

立秋を過ぎ処暑が近づいてもなお、暑い日が続いています。

天気予報に並ぶ最高気温の数字をみるたびに、「あつい・・」という言葉がこぼれますが、それでも吹く風は大暑のころにくらべると明らかにカラリと爽やかで、強烈な西日があたる時間も短くなりました。

少しずつ、秋の気配を感じます。


カブトムシいたよ




42.

しとしとと 雨降るおとに 涼む朝
蝉の音はきょう 夏休みかも


こんな日があるとホッとする。
たまには暑さも夏休みしてほしいな。




43.

隔てなく 平らにひびく
うぐいすと ニイ蝉の声 真夏の森に


意外に思われるかもしれませんが、うぐいすは夏も鳴いています。
あちらではうぐいす、こちらではニイニイゼミの声が聴こえる森のなか。春だから夏だからと決めつけることなく、あるがまま自然体で共存しているようすが、わたしは好きです。




44.

茜さす 昼は蝉の音
ぬばたまの 夜は秋虫 涼やかに鳴く


夏と秋の音が入り乱れるこの時季。
どれだけ昼のあいだ暑くても、夜が近づくとちゃんと秋の虫たちが声をあげ始める。「虫の声」を聴ける日本人でよかったと、しみじみ思う時間。

ウマオイ、コオロギ、松虫、鈴虫、
立秋前、か細かった彼らの声は日を追うごとに大きくなり、このごろでは窓を閉めていても聞こえてくるほどです。

その音を聞きながら、本を読み、眠る夜。
いましかない時間。




さいごは、恋の歌。


45.

草陰の 秋をささやく 鈴虫の
夜毎にさる 我が恋ごころ



ギボウシ


残暑厳しい折、どうかみなさんご自愛くださいね。
秋はそこまで来ています。




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