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新型ジャーナリズムによる反省文っぽいもの:コロナファシズムの中のメディアの役割(3)

ファクト・チェック側の15カ月間の振り返り

新型コロナ起源説をめぐる論争の中で、メディアは何をしたか?

前回は、パンデミックから15ヶ月間、”ラボ流出(人工ウイルス)説”が陰謀論とするために、どうやって”新型コロナウイルス・自然発生説”が本当っぽく見える”ファクト”を作るのか?という一例をご紹介しました。

■ファクトっぽいものは作れる!:コロナファシズムの中のメディアの役割(2)

”事実”がなければ説得にかけてしまう論文と違い、メディアは事実っぽいものを演出できれば、ないことでもあるような印象操作ができてしまいます。

これはあくまで私の目に映った、コロナファシズムの中のメディアの役割です。
”彼ら”サイドは、”自分たちがは、なぜ間違えてしまったのか?”ということで、これを検証しています。

今回は、彼ら自身が考える、でっちあげ間違えてしまった反省文っぽいものをご紹介したいと思います。こちらもあくまで”っぽい”もので、実際にはもちろん反省なんてこれっぽちもされていらっしゃいません。それは反省文っぽいものの中に、”ファクトチェックといえば、あの人”もしっかり登場していることから明らかです。では、早速、みていきましょう。

ファクト・チェックのリーディングカンパニーであり、2009年にピューリッツァー賞を受賞したPolitiFact社の、親会社に当たるPoynterは昨年6月17日、同社サイトで”武漢研究所説を否定したマスコミから学ぶこと”を掲載しています。副題は・・・。

ラボ流出説の信憑性が高まったことで、メディア報道への批判が広がり、ジャーナリストの間で自問自答が起こっている。

パンデミック当初の、コロナ起源説に対するメディアの反応

新型コロナウイルス のパンデミックは、”2019年末、中国の武漢ウイルス研究所から未知のコロナウイルスが流出したことから始まった”という説(ラボ流出説)は、1年以上にわたって、多くの科学者やニュースメディアのほぼ全部から、声高に否定されていた。ニューヨーク・タイムズの報道では、陰謀論と呼ばれた。フェイスブックはそれを虚偽とみなし、その主張をする投稿を取り下げたポインターが所有するファクト・チェック・サイトPolitiFactは、「Pants on Fire!(不正確で馬鹿げている)」として却下した。

この結論は、ウイルスの起源がまだ確定していないにもかかわらず発表された。

リンク先記事の抄訳

ニューヨーク・タイムズやFacebookの対応もどうかと思います。ポインターのジャーナリスト自身が語るように、「この結論は、ウイルスの起源がまだ確定していないにもかかわらず発表された」からです。ただし、ここにあげられた組織の中で、最も批判されるべきは、PolitiFact(ポインター)自身だと思います。
私は間違った報道をしてしまうこと自体は、避けなければいけないものの、人間は誰でも間違えるものだと思います。新たな証拠が出てくれば、もしくは、新たな知識を身につければ、考えを改めるということはあるかと思います。
しかし、Politi Factは、自分たちが事実確認(ファクト・チェック)した結果、ファクトじゃないと断言しているわけです。自分たちには事実かどうか判断する能力があると高々と看板を上げている会社なのですから、他のジャーナリズムと同じ扱いで良いわけがありません。

”未確定の結論を元に、判定を下したファクト・チェック”

ご本人はさらっと流していますが、これは存在意義を問われても、仕方がないような致命的なミスです。それこそ、自身のファクト・チェック記事に対し、”Pants on Fire!(不正確で馬鹿げている)”評価をするべきではないでしょうか。

2021年4月〜6月の、起源説に対するメディアの動向

この2ヶ月の間に、実験室からの漏洩説は「論破された」(ワシントンポスト 紙)から「もっともらしい」(ウォールストリートジャーナル紙)へと変わった。

(*逃げ足の早い人たち*)
・5月5日の『Bulletin of Atomic Scientists』では、ベテランの科学ライターであるニコラス・ウェイド氏が、ラボ流出説は真剣に検討するに値すると主張した。
・その9日後、『サイエンス』誌は、18人の一流科学者が署名した独立調査を求める書簡を発表した。
・ウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月23日、米国の情報機関による情報として、武漢研究所の3人の従業者が2019年11月に "新型コロナと一般的な季節病の両方に一致する症状”で病院の診療を受けていたと報じた。

(*政権の反応*)
・バイデン政権は5月26日の声明で、初期分析の結果、米国の情報機関はウイルスの起源について、”種族ジャンプ(*自然発生説)”と”ラボ流出(*人工ウイルス説)”という”2つの可能性の高いシナリオにまとまった”と発表。さらに、90日以内に完了する2回目の情報分析を命じ、「決定的な結論に近づくことができる」とした。

(*しぶしぶ対応組*)
・その結果、一部の報道機関は事前の報道を修正・訂正した。
・フェイスブックは禁止令を撤回した。
・PolitiFactはそのファクトチェックをデータベースから削除したが、”透明性を維持するために”アーカイブし、編集者の注釈を加えた。

実験室流出説の信憑性が高まったことで、特に保守派からメディア報道への批判が広がり、巨大な利害関係を持つこの記事についてジャーナリスト自身が自問自答することになったのです。

リンク先の抄訳、*が付いた( )は私の注記で、本文にはありません。

(*)は私の言葉であり、本文にはありません。追記したのは、この件に関して、逃げ足が速い人たちってすごいなと思ったからです。

NIH所長コリンズ博士の退任と、コロナウイルス研究室流出説・隠蔽疑惑

私はパンデミック開始直後から、新型コロナウイルスは武漢製造の人工ウイルスだろうなと思っていましたので、長く陰謀論者扱いされてきました。まさに”転がるように”その扱いが変わった、この現象は本当に奇妙なことでした。

例えば、ウォールストリートジャーナルが新事実のように語る、”武漢研究所の3人の従業者が2019年11月に "新型コロナと一般的な季節病の両方に一致する症状”で病院の診療を受けていた”は、武漢ラボ流出(人工ウイルス)説をとなえるジャーナリストの間では、2020年代には既に言及されていたことです。こういった事実を元に、ラボ流出説をとなえていたわけで、何の根拠もなく、中国批判をしていたわけではありません。

「一部ジャーナリストが言うことは、事実確認する必要もなく虚偽だが、米国情報機関が言うのだから真実である」というならば、ジャーナリストって一体何なんでしょうか。私は彼らはどこかの組織の広報部なんだろうなと思っています。彼らが広報部だとすれば、ここで1つの邪推が浮かび上がってきます。

”ラボ従業員の感染話”を今さら出してきたのは、もっとまずい流出説を消すためではないか?

もっとまずい流出説とは、武漢で2020年11月頃に行われた軍のオリンピックで、ラボ従業員の感染と同時期に感染者が出たという説です。これは中国問題に強いジャーナリストは、イベント開催と、参加者の数人が後日症状がでたという事実に基づいた上で、その可能性について以前から言及していたことです。また、保守党議員が独自で行った起源説調査でも、この可能性について触れられていました。

これが事実だったとすれば、オリンピックを控えていた某国には、とてもまずい事実ですし、同じ”武漢での流出説”でも、こちらの説には”意図的にばらまかれた可能性”も説の1つとして付随します。

”ラボの従業員が不適切な対応によりうっかり”の場合、当局としては、該当の従業員とラボを処分すれば片付けられる話(実際には、そんなことでは済まされない話ですが)であるものの、軍のオリンピックが疑われれば国家レベルでの問題になってしまいます。

いずれにしても、”自然発生説”で取り急ぎ蓋をしたものの、どんどん吹き上げてきた事実に押さえつけきれなくなり、応急処置的に、一部事実を認めたのではないか?というのが私の邪推です。

ファクト・チェックが認識する、メディアの大失敗

新型コロナウイルスのパンデミックは、すでに世界中で1億7600万人以上の感染者と、380万人の死者を出し、壊滅的な経済的ダメージと混乱を引き起こしている。このウイルス(正式にはSARS-CoV-2)が研究室から逃げ出したことが確認されれば、中国の世界での地位は壊滅的なものになるだろう。また、武漢の研究所や世界中の同様の施設で行われている研究の種類や安全対策に重大な疑念を抱かせることになるだろう。
もし、研究所のリークが確認されれば、パンデミックに関する最初の報道はジャーナリズムの大失敗となる。
いずれにせよ、主要なニュースメディアは、常にもっともらしい説を否定したのは見当違いであった。拙速な判断を行ってしまったことは、ジャーナリズムを提供する側にとっても、彼らの”仕事”を読み、見、聞く人にとっても、教訓となる瞬間である。

リンク先の抄訳

一見、反省をしている風を演出していますが、すごい見解です。”最初の報道は、ジャーナリズムの大失敗”と言いますが、”最初”というのは、15カ月間も続いた状態のことを言うのでしょうか?彼らの見解だと、2019年11月〜2021年の5月くらいまでを、パンデミックの”最初”という風に言っているように聞こえますが、大丈夫でしょうか?

”主要なニュースメディアは〜”と、言っていますが、最も罪深いのは、ファクト・チェック組織です。ファクト・チェックをジャーナリズムだとしているピューリッツアー賞もどうかと思うのですが、ファクト・チェックは何が事実であるか、自分たちは判断できると、一段高いところからモノを言っているので、他のジャーナリズムとは別扱いだと思います。何しろ「ファクト・チェックした自分たちがいうのだから、これがファクトだ!」と言っているのですから、それがファクトではないというのは、神が神でなくなったくらいのインパクトです。

さらに、本心を書いてしまうと、「この人たち、どうしようもないな」と思ったのが、一番最後の文”彼らの”仕事”を読み、見、聞く人にとっても、教訓となる瞬間”です。いや、その通りです。あまりにも操作されたり、隠蔽された情報が多いため、情報を受け取る側のリテラシー教育はより重要になっていることは、事実です。・・・でも、それをあなたが言いますか? この点も、反省しているわけではないなと思うところ。所詮、一段高いところから、一般市民を見下ろし、ありがたい事実を与えてくださるポジショニングを変えようとはいないのです。

ファクト・チェック側の反省文っぽいものの概要

言い訳その1:共産党政府が悪い

武漢ウイルス研究所は、新型コロナウイルスが最初に出現した都市にあり、コロナウイルスに関する最先端の研究を行っている。しかし、パンデミック発生当初から、中国政府はほとんど情報を共有せず、発生源に関する独自の調査も妨害していた。
これに代わり、他のコロナウイルスによる疾病の発生状況に基づいて、この致命的な病原体は、生きた動物を販売する市場で動物から人へと飛び火した可能性が高いというのが、公衆衛生当局や報道機関の間での通説となっていたのである。
つい最近までは。

リンク先を抄訳

”パンデミック発生当初から、中国政府はほとんど情報を共有せず、発生源に関する独自の調査も妨害していた”

これは事実です。そもそもこれまで、共産党政府が出す情報の透明性が高かったことなどあったのでしょうか?

共産党がなぜ隠そうとするのか?この1点だけ見ても、武漢ラボ流出説を有力視するには十分です。なぜなら、中国で何が起こっているのか?を知るためには、彼らが言うことではなく、行動をみることが重要というのは定説だからです。中国にいる一般市民でさえ、自分たちの国の本当のコロナ状況の知るために、携帯電話の解約件数や、火葬場の稼働状況等から推察する等、情報集めに工夫を凝らしていました。潤沢な資金を有する巨大メディアが、当局が情報くれないから、苦戦したような言い訳は、本来成り立つわけがありません。

にも関わらず、この言い訳で”イケそう”なのは、多くのアメリカ人読者(アメリカ市民)が中国を知らないからです。なぜ知らないのか?といえば、アメリカのメディアが中国に関する適切な報道活動を行っていなかったからです。日本も同様です。

言い訳その2:発言力のある科学者を信じすぎたのが悪い

第一の教訓は、一般的なジャーナリスト、特に科学ジャーナリストは、発言力のある科学者を信用・信頼しすぎ、その潜在的な利益相反を調査することに失敗したことである。

例えば、2020年2月19日、有力な医学雑誌であるランセット誌は、27人の公衆衛生科学者の署名入りで、"新型コロナが自然起源ではないことを示唆する陰謀論を強く非難する ”との声明を発表した。この声明は、2021年6月3日に出版されたキャサリン・エバンによる『Vanity Fair』の調査によれば「新型コロナの起源に関する議論は始まる前に事実上終了した」のである。
しかし、この声明が発表されてから数ヵ月後、公文書公開請求により、この声明を組織し、起草し、署名した科学者が、武漢ウイルス研究所に、米国政府の補助金を再利用した資金提供などに関わっていたことが明らかになったのだ。「利益相反は、論争の的になるウイルス学研究を支援する大規模な政府補助金に由来するもので、新型コロナウイルスの起源に関する米国の調査をあらゆる段階で妨げている」とエバンは書いている。

わずか4カ月前、武漢での記者会見で、4週間の調査のために中国に入ったWHOチームのリーダーは、ラボ流出説を「極めてありえない」と言い放った。しかし、中国はWHOの有力メンバーであり、WHOチームは独立したデータと中国の施設への限られたアクセスしか与えられていなかった

リンク先の抄訳

”発言力のある科学者を信用・信頼しすぎ”と、ありますが、パンデミック当初から、ファウチ博士の発言をまじめにしっかり聞いていたら、マスクの着用1つとっても、彼の発言に一貫性がないこと、論理破綻は明らかでした。

【ファウチ研シリーズ】
”マスク着用は危険”発言と、イベルメクチン反対の謎     
エイズとコロナ、人災による禍としての類似性                    
世界が信じている”科学”というもの
something fishy(なんか臭う):米国のマスク・ポリシー     
権威を利用した、科学者によるプロパガンダ                                                           ■科学者の嘘がパンデミックに与えた影響                                                                   ■暴くかれていく科学の権威の嘘(1)Fメール                  ■起源説論争の教訓”権威主義こそ疑え”

”その潜在的な利益相反を調査することに失敗したこと”を認めたことは、勇気あることかもしれませんが、WHOと中国の利益相反は、調べる必要すらないほどわかりきっていたことです。テドロス事務局長の支援者は誰だったのか?考えたら、テドロス事務局長の発言のおかしい理由も、明らかでしたし、ファウチ博士・エコヘルスアライアンスと中国の利益相反関係も、パンデミック当初からいろいろな証拠が提示されていました。

「ランセット誌が〜」「WHOが〜」「発言力のある科学者が〜」、そして、それを信じすぎたことが失敗と、言われても、ジャーナリズムって何だろう?という疑問が生じます。

特にファクト・チェックをジャーナリズムだと言い張る人たちは、ファクト・チェッカーになるために必要なトレーニングを提供しているとのことでしたが、一般人でも知っている利益相反を調べずにファクト・チェックするような人材しか育ってない・・・・わけありませんから、明らかな事実をどうやったら隠蔽できるか?のトレーニングを行っているのではないかというのが私の邪推です。

言い訳その3【これが本命】:トランプ大統領が悪い

2つ目の教訓は、在任中の4年間に多くの虚偽を流したドナルド・トランプ大統領がラボ流出説を推進していたため、ジャーナリストがラボ説を否定する傾向があったというものだ。彼の発言は、「中国ウイルス」や「武漢インフルエンザ」という人種差別的な言及とともに、米国での大流行に対する政権の誤った対応から注意をそらそうとしたものと広く見なされている。

(ラボ流出説の初期の提唱者の1人で、アーカンソー州選出の共和党員でトランプの盟友であるトム・コットン上院議員も、2020年1月の上院軍事委員会の公聴会で、ウイルスは武漢のスーパーラボが起源である可能性を示唆し、嘲笑された)。

ポインター社のクレイグ・ニューマーク・リーダーシップセンターの会長であるケリー・マクブライドは、「"オオカミ少年"という比喩がこの核心にある」と私に話した。彼女によると、多数のジャーナリストが、ラボ流出説はトランプ大統領が唱えているため、また別の偽情報の一例と見て、無視してきたという。

リンク先の抄訳

来ました!これが言い訳の本命です。

どうして僕たちは間違いを犯してしまったのだろう?そうだトランプが悪いのだ。
(BGM:野島伸司ドラマかかってそうな曲)

冒頭で指摘した、反省していないと思う理由は、これです。”オオカミ少年”、つまり何度も嘘を繰り返していると、助けが必要な時に本当のことを言っても、もはや誰も信じなくなる・・・、そうです!トランプ大統領が悪いのです(笑)。

メディアも、ファクト・チェッカーも、重要なのは”誰が発言したか?”であり、”事実がどうか?”には全く関心がないのです。繰り返しになりますが、この点では、通常のジャーナリズムとファクト・チェックは分けて考えるべきだと思います。ファクトをチェックする組織の会長が”オオカミ少年”理論なんて、よく出せたものです。仮にトランプ大統領がオオカミ少年だったとしても、事実に基づいたファクト判定をすればよかっただけのことです。(実際には、トランプ大統領発フェイクニュースとされたいくつかの報道に対し、取り消しを行わないといけない事態に陥っているのはメディアの方)。

教訓っぽいもの1:レッテル貼りは慎重に

記事では、3つ目の教訓となっているものですが、先の2つがただの言い訳にしか聞こえせんでしたので、私が感じた、”彼らが教訓としたこと”の1つ目が下記になります。

3つ目の教訓は、何かを嘘や捏造とレッテルを貼って読者や視聴者、リスナーに考えを伝えるときは、慎重に行動することである。
”種飛ばし(自然発生)説”も”ラボ流出説”も決定的な証拠がないにもかかわらず、ジャーナリストたちは後者の可能性に懐疑的な態度を示すだけでなく、「論破された」と言ったり、「周辺理論」と呼んだりして完全に否定してしまった。
特にトランプ大統領の最後の2年間は、メディアは大胆に彼の偽情報を呼び出すようになった。今回の場合、この極端なステップを支える状況がなかったのです。

「気候変動のように決定的な証拠があるのに、結論が出せないこともある」とマクブライドは私に言った。「そして、武漢のように決定的な証拠がないのに、過剰に断定的になることもあるのです」。

パンデミックの初期には、少数の科学者やジャーナリストがラボ流出説をとなえたが、それは森の中で木が倒れるように、誰も耳を傾けなかった。その結果、ジャーナリストは共通のシナリオに陥り、反対意見を正当化することができなくなった。
武漢ラボ流出説に対する、自分勝手な情報源に過度に依存したメディアの反応は、ジョージ・W・ブッシュ政権がサダム・フセインがイラクに大量破壊兵器を隠し持っているという主張に対してジャーナリストが広く反論しなかったことを彷彿とさせるものであった。

「優れたジャーナリズムは、優れた科学と同様に、物語ではなく証拠に従うべきだ」と、オピニオンコラムニストのブレット・ステファンズは先月、ニューヨークタイムズに書いている。

「優れたジャーナリズムは、優れた科学と同様に、物語ではなく証拠に従うべきだ。そして、正直な意見の相違を道徳的な異端として扱ってはならない」。

リンク先の抄訳

証拠に基づいた報道をしましょうね。その辺に落ちているストーリーに乗っかってはダメですよ。意見の相違を道徳的な異端として扱わずに健康的な議論をしましょう。

パンデミックが始まって以来、アメリカの医療業界は、総体的に見ると、彼らが医療途上国と考える国よりも低いレベルであるということが明らかになってしまいました。なぜ、アメリカ(緑)での死亡者数(下のグラフ)が日本(赤)インド(濃い緑)よりも圧倒的に多いのでしょうか?特に、新規感染者数(上のグラフ)と死亡者数(下のグラフ)を比べると、アメリカの医療では、感染者を救えないと言うしかないのです。
(もちろん、おかしな科学権威者と闘う勇気ある医師も、アメリカにはたくさんいます。が、現状ではおかしなことが続いています。)

Our World in Data

アメリカのジャーナリズムも優れているのかと思っていましたが、総じてみれば、ジャーナリズム学部の1年生で習うような教訓を、ジャーナリストを職業とする人たちに与えているあたりが・・・。アメリカのジャーナリズムは、アメリカの医療業界よりももっと早い段階で、職業的な使命を放棄してしまっていたのかもしれません。

そんなアメリカメディアを翻訳しただけで、ほぼ垂れ流す形の日本メディア、本当に必要でしょうか?

教訓っぽいもの2:読者・視聴者よ、聞け。 健全な懐疑心と、幅広い情報源が重要

”ファクト・チェックの父”は、ありがたいことに読者、視聴者に対しても教訓を与えてくださっています。

ニュースを読んだり、見たり、聞いたりするわれわれ全員にとっての教訓は何だろうか?
従来の常識に挑戦する人たちを含め、幅広い情報源を求めること。
健全な懐疑心を持ち続けること。

最も信頼できる情報源でさえ、間違っていることがある。ほとんどの場合、信頼できるメディアや他の情報源(科学者を含む)の幅広いコンセンサスは信頼できるが、証拠が入手できない場合や隠されている場合は、その限りではない
特に、科学が関与し、証拠が決定的でない場合は、判断を急がないようにするべきだ。自分の中にあるバイアス(偏見)に気付いて:一般的に同意できない人の言うことを、すべて自動的に無視してはならない。

リンク先の抄訳

”幅広い情報源””健全な懐疑心”は、情報リテラリーとして最もなことですが、それならばファクト・チェックの役割は一体何なのでしょう?
一般的な理解として、健全な懐疑心を持ったファクト・チェッカーが幅広い情報源から、ある事柄が事実かどうか?判定する役割を担っている・・・・と、少なくともファクト・チャッカー自身と、一部の読者・視聴者が思い込んでいるのものではないでしょうか?

”ほとんどの場合、信頼できるメディアや他の情報源(科学者を含む)の幅広いコンセンサスは信頼できるが、証拠が入手できない場合や隠されている場合は、その限りではない”に至っては、言っている意味がわかりません。自分たちは大体信頼してもらっていい情報源なのだけど、証拠が入手できない場合にいは、間違った情報を流してしまうことも致し方がない・・・ということでしょうか。

これも一般のジャーナリズムとファクト・チェックは別に考えるべきです。証拠が入手できない/隠されていた場合というのは、事実が何かわからない状態です。繰り返しになりますが、証拠が不十分にも関わらず、事実認定を行ったと、ファクト・チェッカー側が認めているようなものです。

”自分の中にあるバイアス(偏見)に気付いて”ーーPolitiFactは、自分が中道だと思い込んでいるようですが、ミネソタ大学のエリック・オスターマイヤー教授による調査では、PolitiFactのファクト・チェックは、”共和党に狙いを定めた言葉狩りゲームのよう”と、評価されています。私も同意見です。自分の中にあるバイアスに気がつくことは、本当に大切ですよね。

教訓っぽいもの3:真実が明らかになるまで見守ること

最後に、ストーリーが進展するのを見守ること。真実が明らかになるまでには、時間がかかることがあります。この場合、ストーリーはまだ終わっていません。

リンク先の抄訳

ロシアゲート疑惑(からのオバマゲート疑惑)、大統領選挙不正疑惑、1月6日議事堂襲撃事件、ファイザーワクチンのFDA承認時のデータ開示、ファウチ博士のメール開示、ハンター・バイデン(バイデン大統領の息子)のウクライナ疑惑、 ・・・・等、すべて終わった話ではなく、”真実が明らかになるまで、時間がかかることがある”という件の一部です。

例えば、ロシアゲートは、重要参考資料とされた”スティール文書”が、信憑性の非常に低いものだったとして、ロシアゲートを煽りまくったワシントンポストでさえも過去記事の撤回しています。そんなロシアゲートを真実と判定したのがPolitiFactをはじめとするファクト・チェッカーたちです。PolitiFactは、2017年の今年の嘘つき大賞(Lie of the Year)に、”ロシアゲートをフェイクニュースとしたトランプ大統領”を選出しています。ご自身らが言うように、真実が明らかになるまでは、レッテル貼りをするのではなく、見守った方が良いのではないでしょうか?

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ファクト・チェックというのは、事実かどうかわからない段階で、誰の発言がフェイクかどうかという判定を下し、”Pants on Fire!(不正確であるだけでなく、馬鹿げている)”というレッテル貼りを行う組織です。ただのジャーナリズムではありません。神の声的な、一段も二段も高い位置から、事実が何かを教えてくれようとする組織です。ある意味、精神的に相当タフな人たちだと思います(褒め言葉)。その証拠にこの記事のラストは、下記のような宣伝で締め括られています。

超党派の全米教育NPOであるNews Literacy Projectは、教育者と一般市民が、賢く積極的にニュースや情報を活用し、平等でかつ積極的に民主主義に参加するために必要な能力を教え、学び、共有するためのプログラムとリソースを提供しています。

リンク先の抄訳

事実に基づいたファクト・チェックの素晴らしいクオリティと、道徳心の高さ。ジャーナリズムの先端を走り続けるPolitiFactの仕事ぶりを見ていたら、ぜひ同社傘下のプロジェクトに参加して、時代にあった情報リテラシーを学びたい!そう誰もが思うはずです。ーーPants on Fire!

この期に及んで、傘下のプロジェクトを宣伝できるメンタルの強さ・・・・これは学びたいものです。

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