ファクトっぽいものは作れる!:コロナファシズムの中のメディアの役割(2)
今どきジャーナリズム
ファクトチェク・フェイクニュースを流行らせたのは?
アメリカでは、著名人の発言やニュース記事の真偽を判定する”ファクトチェッカー”と名乗る人たち、組織があります。2008年の大統領選挙(バラク・オバマ氏が初めて大統領選に勝った)時には既に存在し、その中の1つ、PolitiFactは2009年、大統領選をめぐるファクトチェックを評価され、ピューリッツァー賞を受賞しています。
ファクトチェックが、さらに一般的になったのがおそらく2016年の大統領選挙。ヒラリー陣営が「トランプの嘘を暴くファクトチェックサイトを作ったから見てほしいー!」と、演説中に幾度となく繰り返していた記憶があります。とはいえヒラリー陣営にとっては残念なことに、その効果はあまりなかったようで、トランプ大統領が当選。その後、ファクトチェックという名のもとのトランプ叩きが始まりました。
さらに、フェイクニュースについては、トランプ大統領が「フェイクニュース!」と、吠えていた印象が強いですが、実は”フェイクニュース”を流行らせたのも、民主党陣営だといわれています。オバマがまだ大統領職についていた頃、「情報社会では、必要な情報にアクセスしやすい一方、フェイクニュースや価値のない情報も溢れている。混乱を避けるために、情報をキューレーションするような仕組みが必要だ」というようなことを発言。
この発言が形になったのかどうかわかりませんが、このような考え方がファクトチェックの進化形になり、それを効果的に行うためのツールが現在のSNSの言葉狩りシステムも導入され、現在のような極左への思想統制していくシステムとして発展を遂げてきました。
ファクト・チェッカーのファクトは、極左寄り
基本的にファクトチェッカーは、保守派の考えをフェイク判定します。たとえ、それが世の中で大論争となっているものであってもです。代表的なものが、2020年の大統領選に不正選挙があったかどうか、そして、コロナの起源が武漢ラボから流出したものであるということ等、極左が決めたファクト以外は全て”フェイクニュース”と認定されました。
下記がピューリッツァー賞受賞したPolitiFactを検索したときに表示される画面ですが、何よりも先に、トランプ大統領が出てきます。あれ?・・・昨年、バイデン政権になったと思うのですが・・・。トランプ大統領は上院議員でも下院議員でもない、いち政治家です。メディアは第3の権力として、政権や政策が適切であるかどうかみていく層だと思っていたのですが、彼らの関心事は現政権よりも、トランプ大統領。仮にトランプ大統領が誤った発言をしたとしても、現政権の運営には本来全く関係ないはずなんですけどね・・・。この辺りからも彼らがどういう人たちで、何を怖がっているのかがにじみ出ています。実際、現在のアメリカで、右左関係なく、最も人を動かせる政治家、それはいまだにトランプ大統領です。
ファクト・チェックの危険性
ファクトチェッカーになるには、一応、主宰する組織や団体の研修を受ける必要があるようです。しかし、ファクトチェッカーの問題点は、誰よりも科学を理解し、全ての人の不正行為を見逃さず、どの領域の学問にも精通した万能の神的な立ち位置から、民主主義の中の自由な議論を”ファクトチェック”という呪文で黙らせようとすることです。彼らから”フェイク”判定を受けると、どんなに事実を述べていてもフェイク扱いになりますから大変です。それでも事実を言い続けると、陰謀論者扱いになります。
そのように陰謀論扱いされていた事柄の1つ、コロナウイルスの武漢ラボ流出説が昨年5月、陰謀論判定が削除されました。今では様々な状況的証拠から、ラボ流出説を否定する方が難しくなっています。
なぜ、こんなことが起きてしまったのでしょうか?理由は簡単です。それはファクトっぽいものは、ゼロから作れてしまうからです。
”自然発生説”推しに必要なファクトを作ろう!
必要なストーリーライン
これから紹介する動画は、パンデミックが始まってまもない2020年4月30日、個人的に衝撃を受けたものです。タイトルは”コロナウイルスは事故的に武漢研究所から逃げ出した? あり得ない話:ザ・ファクトチェッカー”。
動画が投稿された当時は、”武漢研究所からの人工ウイルスの流出”説を必死に陰謀論扱いにする勢力がありました。リーダーはもちろんあのファウチ博士。ファウチ博士らがとなえる自然発生説を”ファクト”にするためには、コウモリから人間にウイルスをうつすための”中間宿主”が必要でした。候補には、センザンコウ等の動物の名前が出ていましたが、断定はされていませんでした。
自然発生説を推しに、中間宿主の存在は不可欠。そのことはファウチ博士らが、ラボ流出説の可能性を認めざるを得なくなった要因の1つが、1年半以上経っても、中間宿主について明らかにできなかったこと(さらにそこを追及し続けられ、答えられなくなったこと)からも明らかです。
存在しない中間宿主をどうしたら存在しているように見せかけるのか?
ここで彼らが利用したのがメディアではないかと思います。科学論文で主張するには、説得できるだけのデータが必要になりますが、実際には中間宿主がいないのだとすれば、正規の研究では、データやファクトを示せるわけがありません。
一方、メディアは、科学っぽいことを行っていれば、雰囲気でそれっぽい事実を演出することができます。
随分昔の話ですが、長野のサリン事件で住人が犯人と疑われてしまったり、ストーカー殺人事件の被害者の女子大生があたかも彼女に責任があったかのような印象操作されてしまったり・・・日本のメディアでもいろいろありましたよね。
ファウチ博士と中共がどんな口裏合わせを行なったのか、それとも阿吽の呼吸で、ラボ流出説を潰しにかかったのか・・・どちらだったのかは、わかりませんが、中共側も、武漢ラボ流出説を否定するために、武漢にある市場をウイルスの発生地とするストーリーを用意しました。
中国にある市場は、日本の市場に行く感覚でいくとかなりびっくりします。中国料理は、いろいろな種類の動物を使うからです。馬刺しを愛する私は、他人の食生活にはとやかく言わないことにしています。が、何度か行ったことのある私でも、やはり中国の市場に行くと、びっくりします。仮に”肉”になった姿で売られていても驚くような動物が”最も新鮮な状態(生きた状態)”で売られていたりします。そのような市場を使ったストーリーは、コウモリのウイルスが何らかの中間宿主を通して人間が感染したという自然発生説を推すのに、最適なものでした。
これを事実っぽくするために中共が行ったのは、この市場を直ちに閉鎖し、徹底的な消毒をするということ。証拠が全て流れてしまう!と言っても、コロナ対策と言われればどうにもできません。こうすると、存在しない証拠も流すことができます。市場で発生したかどうか、”今さら調べようがない”のです。
権威づけと余白
今回紹介する動画では、新型コロナウイルスがコウモリ由来のものであることも、武漢にある市場からの流出説も、断定はできないとしています。 その代わりに徹底的に叩き潰したのが、ラボ流出説と生物兵器説。とにかくこの2つの説を陰謀論として片付けてしまう狙いがあったのではないかと思います。
各場面で、それぞれの道の”専門家”を登場させ、自分たちの番組は科学の視点からファクトチェックしていますという演出をしています。実際のところ、科学者のコメントは部分的な使い方ですから、出演者が意図した発言かどうかということはわかりません。科学者に語らせる部分を作ることで、巷で言われる”ラボ流出説””生物兵器”が科学的な根拠のないことという印象付けができます。
実際には、ラボ流出(人工ウイルス)説はノーベル賞受賞科学者である、フランスのリュック・モンタニエ博士をはじめ、多くの科学者がその根拠を示していました。しかし、この番組では、そのようなことには触れられていません。もちろん、このこと自体がおかしいわけではありません。自分の中に、既に主張したい意見があり、それを裏付けしてくれる科学者の意見を使うということは普通にあることです。
問題は、これが”ファクトチェック”であるということです。科学者の意見を元にファクトかどうか判定する体をとっていますが、実際には、彼らが科学者を選別する時点で、既にファクトは決定されています。つまり、この番組の製作者は、何がファクトか、科学の答えを科学者よりも知っているーーと、彼らは思っているのです。
先ほど、”新型コロナウイルスがコウモリ由来のものであることも、武漢にある市場からの流出説も、断定はできないとしています”と述べました。なぜこの部分は断定せずに余白を残したのでしょうか?
ここからは事実(暴露されたファウチ・メール)を元にした、憶測の話になります。自然発生説を唱えていたファウチ博士を含む、科学者の多くがこのことが嘘であるということは、分かっていました。断言しなかったのには、彼らが考えたストーリーラインがどれくらい広く受け入れられるか、確信がなかったからではないでしょうか。例えば、”コウモリから自然変異したウイルスではない”ということを誰かが主張し始め、これが広く受け入れられそうになった際に、「いやいや、コウモリではなく、○○ですよ」と、すり替えができるような余白がある方が安全です。
この発言に余白をつけておいて、後から真逆のことを言い始めるというのは、ファウチ博士がよくやる手法です。
さらに、ファウチ博士がよく使う、もう1つの手法”専門用語で相手を圧倒し、専門家にしかわからないような演出をする”についても、この番組では用いられています。
”っぽい雰囲気”と、思考停止によるプロパガンダ
さて、個人的にはツッコミどころが満載だったワシントンポストの動画ですが、その中でも最もびっくりしたのが、コロナウイルス が人間に最初に感染したと疑われている市場がどのようなところか紹介された場面です。
このメニューらしきものは、”人気の家畜とジビエ”の一覧といった感じのものです。
”この市場では何でも売られています。蛇から鳥、キツネ、そしてウサギまで”
というナレーションとともに、画面では名前が挙げられた動物が赤枠で囲まれます。
ん?コウモリがいない?
鍵を握る動物はコウモリです。なぜコウモリを飛ばす?
気になって、動画を止め、メニュー表の中で、コウモリを探しました。中国語でコウモリは、蝙蝠。見当たらないのです。
なぜ、わざわざ動画を止めてまで確認したのか?、それは当時、武漢の人たちが「あの市場ではコウモリは売っていない」「自分たちはコウモリは食べない」と言っているという話を見たこと(読んだこと)があったからです。もちろん自分たちが”ゲテモノ喰い”のような扱いを受けたくないと思った人が嘘をつくということもあります。ただ、この市場で使っていたとされるメニュー表には、コウモリは掲載されていないのです。
コウモリは裏メニューだったという可能性もあります。裏メニューとは何かといえば、販売が禁止されている等の理由があって、公には販売ができないものの、それを確実に買ってくれる顧客にはこっそりと販売するというものです(*”裏メニュー”という言い方自体は、私が勝手に名付けたもので、一般的にこのように言われているわけではありません)。
だから、メニューにはないものを売るという可能性はゼロではありません。しかし、その場合、ワシントンポストも必ずそこまで取材しているはずですから、「このメニューにはないものの、ここでは裏メニューとして売られているのです」と、説明をしたはずです。なぜなら、この市場が怪しく見えるような編集をしているワシントンポストにとっては、こちらのストーリーの方がよりこの市場のいかがわしさが演出できるからです。そう考えると、コウモリはやはり売られてなかったのではないか?と思います。
コウモリが掲載されていないメニューを見せても、コウモリから中間宿主のウイルス感染が証明できないのではないか?
この点が論文にはできないが、メディアにはできることになります。
動画は英語ですので、想定視聴者は英語圏の人。本場の中華料理を食べたことがなく、中国語もわからないという人も少なくないかと思います(アメリカ人のよくいく中華は、西洋風に少しアレンジされています)。アメリカ人(英語圏の人々)を脅かすには、このメニュー表だけで十分だったのかもしれません。重要なのは”何でも売っている”という雰囲気です。”こんなものが売られている市場ですよ”感がたっぷり出されています。
中国語を見たことがないという人たちに対しては、知らない文字の羅列を見せるだけでも、”自分たちの知らない世界”感が出せるように思います。”自分たちの知らない世界”を理解が難しいと思えば、人は思考停止になります。
この”思考停止にさせる”というのは、ファクトを作り上げていく過程で、重要なポイントになります。”何でも売られた武漢の市場で、コウモリから中間宿主を通し、人間がコロナウイルスに感染した”というストーリーを信じ込ませるためには、思考を止めてもらった方が、疑われることがないからです。
余談ですが・・・中国の市場が怪しいかどうかと言えば・・・私は肉になった状態の、しかも、”家畜”しか食べないので、”ジビエ(野味)”がたくさん置いてある市場には・・・。ただ、「鯨は友達。友達を食べるなんて」と言われると「この偽善者が!」と言いたくなります。私は鯨も食べないのですが・・・。
15ヶ月後のワシントンポスト紙は?
ワシントンポスト紙は昨年6月、"トム・コットン議員は、すでに論破されたコロナウイルス陰謀説を繰り返し続けている "と題する15ヶ月前の報道を訂正しています。残念ながら、先程私が指摘した部分については、訂正文は出ないでしょう。というのも、嘘はついていないからです。市場で使われていたメニューを出して、メニューにある動物の名前を言ったに過ぎないからです。その動画を元に、”この市場が怪しい”と思ったのならば、それは視聴者の責任と言えてしまいます。
・・・ここが印象操作のいやらしいところでもあり、彼らが伝える情報に”余白”をつける理由かと思います。
次回は、ファクト・チェックを運営するメディア自体が「(自分たちは)なぜ間違ってしまったのか?」という反省文っぽいものを出していましたので、それを見ていきたいと思います。
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