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NIH所長コリンズ博士の退任と、      コロナウイルス研究室流出説・隠蔽疑惑

コリンズ博士とは?

アメリカの国立衛生研究所(NIH)所長フランシス・コリンズ博士が年内に退任することを発表しました。コリンズ博士の任期は長く、今年で12年目でした。これはNIH所長としての最長記録です。最初はオバマ大統領に任命され、そのままトランプ大統領、バイデン大統領に続投を要請され、現在に至るようです。2代以上の大統領に仕えた所長も初めてだそうです。

コリンズ博士は、NIH所長就任前、アメリカ国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)の所長を務め、2003年4月にヒトゲノムプロジェクトを指揮したことでも知られます。

発表された退任理由

退任理由について、プレスリリースの中では、ご本人が「私は根本的に、一人の人間があまり長く役職に就くべきではないと考えており、NIHを未来に導くために新しい科学者を迎える時期だと思っています」と述べています

わかります、わかります。1人の人間が同じ役職(組織のトップ)に就いていると、良くないことが起こりますよね。NIHが医学研究にかける予算は年間約4兆6433億円(417億ドル)。プレスリリースによると、コリンズ博士の12年間のリーダーシップにより、NIHの予算は就任時の2009年に比べ、2021年までに38%増加したと言います。

NIHの予算                               NIHは、アメリカ国民のための医学研究に、年間約417億ドルを投じています。NIHの予算の80%以上は、各州の2,500以上の大学、医学部、その他の研究機関に所属する30万人以上の研究者を対象とした約5万件の競争的助成金を中心とした学外研究に充てられている。                       NIHの予算の約10%は、メリーランド州ベセスダにあるNIHのキャンパス内にある研究所で、約6,000人の科学者が行うプロジェクトに使われている。(NIHのサイトより)

このうち3兆7146億円がアメリカ内外の研究機関で競われるわけです。NIHの助成金は単なる”研究資金”として重要なだけではありません。(日本での研究機関の評価方法が分からないのですが)アメリカでは、NIHからの助成額が、その研究機関の評価にもつながります。”この研究機関(大学の学部)は、NIHの〜〜分野の助成金ランキングでNo.1です”のような感じです。

そんな強い力を持った組織のトップが”一人の人間があまり長く役職に就くべきではない”というコリンズ博士の考えに、大賛成です。で、あるならば、NIHの下位組織に当たる国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長をファウチ博士が36年務めていることについては、上位組織として何も言わないのでしょうか。

NIAID歴代所長の在籍年数(Wikipediaより)                1948–1957: Victor H. Haas 9年                    1957–1964: Justin M. Andrews 7年
1964–1975: Dorland J. Davis 11年
1975–1984: Richard M. Krause 9年
1984–present: Anthony Fauci 36年

コリンズ博士の3倍の長さ、同じポストに留まっているんですけどね、ファウチ博士。

■ファウチ博士とは?                                                                                                         *この下の章、「退任の真相は?」でも、ファウチ博士がどういう立場の人なのか、簡単に紹介してあります。                                                       【ファウチ研】”マスク着用は危険”発言と、イベルメクチン反対の謎     【ファウチ研】エイズとコロナ、人災による禍としての類似性                    【ファウチ研】世界が信じている”科学”というもの
【話題の英単語】something fishy(なんか臭う):米国のマスク・ポリシー  権威を利用した、科学者によるプロパガンダ                                                                 科学者の嘘がパンデミックに与えた影響                                                                                 暴くかれていく科学の権威の嘘(1)Fメール

退任の真相は?

実は現在、NIHは、”コロナ起源説をめぐる疑惑”への関与が疑われています。これも長い話をできるだけコンパクトにまとめると、下記の通りです。

1年前には、”コロナ研究室流出(人工ウイルス)説”は陰謀論であり、科学的には自然発生説しかあり得ないというのがコロナの起源説でした。ところが、コウモリのウイルスが人間に感染するという過程に必要とされる中間宿主が未だに見つかっていません。”自然発生説”の勢いが落ちてきたことに伴い、今年5月、「研究室流出説の可能性は否定できない」(ファウチ博士)とされ、その地位を回復してきました。これに対し、ビッグテックのSNSでも”研究所流出説”が削除対象から外す等の動きがありました(ご存知ない方:今のアメリカのビッグテックは、特定の考え以外の意見に対して検閲活動を行なっていることを公言しています)。中間宿主がいまだに分からないのは、事実ですが、陰謀論説から外れた要因としては、情報公開請求により、ファウチ博士のメールが明らかにされたことで、研究室漏洩説が否定しにくくなったことが大きいのではないかと思います。

ファウチ博士をはじめ、”自然発生説”をゴリ押ししていた人たちには、”研究室流出説”が正しいと言えない理由がありました。それは新型コロナウイルスの研究をし、流出させてしまった疑惑のある武漢研究所と共同研究を行ったり、助成金を与えていたからです。コロナがこの研究所から流出したものとなれば、この研究所では”機能獲得実験”(コウモリにあるウイルスの遺伝子を操作し、”機能”を拡大すること)が行われていたことになりますが、この機能獲得実験は、パンデミックを起こす危険があるため、アメリカでは助成が禁じられた研究です。

禁止されているはずの危険な研究に、NIHからエコ・アライアンスを通じて、武漢研究所(または武漢大学)に助成金が渡っていたのではないか?

研究所に助成自体が行われていたのは、疑いようのない事実です。問題は、そこでどんな研究が行われていたのか?そして、その研究がパンデミックを引き起こす原因になったのではないかということです。

アメリカ(世界?)のコロナ対策をリードするファウチ博士は、助成した研究内容が禁じられたもの(危険な研究)でないかの監査依頼(助言)をNIHに対して行う国立アレルギー感染研究所(NIAID)の所長。                         医学誌ランセットの編集者でもあり、同医学誌で展開された”研究室漏洩説は陰謀論”宣言の発起人のピーター・ダザック博士は、助成の仲介役だったエコヘルス・アライアンスの代表WHOの中国コロナ調査団のメンバーだった1人でもありました。ランセット誌やWHOに、研究所との利害関係があることを報告していなかったことも問題です。

この2つの組織、2人の人物については、すでに疑惑が報じられていたのですが、決定的な証拠に欠けていましたし、助成金の出どころであるNIHの立場も曖昧でした。

状況が進んだのは先月。2020年9月にNIHに対して行われた情報公開請求により、裁判を経て、機能獲得実験が疑われる研究報告書が明らかになりました(NIHが公開を拒否したため裁判が行われた)。この資料により、ファウチ博士とダザック博士は関与の否定ができない状況になっています。さらにファウチ博士は、上院の公聴会でランド・ポール上院議員とバトルになった際、関与を否定していますので、偽証罪が問われる可能性も出ています。

ただし、この情報公開で明らかにされた情報からは、あくまで”機能獲得実験への助成”の部分のみ。”この助成金がパンデミックを起こす原因になった”とまでは言い切れないものでした。

ところが、しかし、です。今月に入り、この情報公開された一部資料の中に、改竄疑惑が浮上しています。

助成を受けた研究に関する報告書ですが、本来の提出期限が2018年だったにも関わらず、提出されたのは昨年の9月。アップデート?した報告書の作成は、エコヘルス・アライアンスですが、NIHがその提出期限切れの書類をなぜか受け取っているのです。くしくも受け取りが行われたのは、情報公開請求が行われた後。しかも、その情報公開請求はNIHが2度にわたり拒否していたもの・・・ということで、穏やかではありません。

研究報告書の改竄があったのではないか?                  だとすれば、最初の報告書には何が書いてあった?(同研究が今回のパンデミックの原因になったことが証明されるような何かがあったのでは?)

この件、どうなるのかなと思っていたタイミングで、NIH所長の退任が発表されたのです。

もう一度、彼の言葉に戻ります。「私は根本的に、一人の人間があまり長く役職に就くべきではないと考えており、NIHを未来に導くために新しい科学者を迎える時期だと思っています」。そういうお考えであれば、バイデン 政権が発足した今年1月、続投を引き受けず、退任されたらよかったのではないかと思います。なぜ、今なのか?ちょっと不自然です。

ピーター・ダザック博士の誘いに乗り、”研究所流出説は陰謀論”というような宣言を科学紙にしていた、20人くらいの科学者たちは今年5月、研究所流出説の可能性が高まった際、いち早く宣言撤回(名前を削除する)していました。コリンズ博士が去る本当の理由については、今のところ、わかりませんが。

自然発生説サポート側にいた人々の駆け足の速さにびっくりします。”まずいことになる前に去る”、それが今時科学者の処世訓なのかもしれません。

余談

余談となりますが、エコヘルス・アライアンスの”機能獲得実験”への関与については、内部告発者によっても、明らかにされています。その1つ1つは小さな影響力しかないかもしれませんが、その積み重ねは、情報公開が認められるに至った(隠しきれなくなっている)要因になっているような気がします。

コロナ関連の記事は、私が感じてきた疑問点がベース=アメリカの暗部に焦点を当てていますが、厳しい状況の中、今のアメリカを正そうと努力しているアメリカ人がたくさんいることもぜひ知っていただけたらなと思います。個人的に、アメリカに対してキラキラしたものは感じていませんが、良い国です。今は混乱していますが。

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