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I Love Me - 元インター職員のつぶやき⑭ 

思わずへえーという言葉が出てくる環境



インターナショナルスクールというユニークな環境にいると、へえーと言う言葉が思わず口から出てしまうことがよくあった。

わたしが働いていたインターの高等部の人種の割合として、白人の生徒3割、白人と日本人のダブルの生徒3割、日本人の生徒2割、残りは韓国、シンガポール、マレーシア、アジア系アメリカ人もしくはカナダ人、アジア人同士のダブル、南米系の生徒といったところだった。高等部全員(9年生から12年生)の生徒データで第1言語、第2言語も記載されているのを見た時は、思わずへえーと言ってしまった。

そこのインターは東京・横浜エリアで施設が整っていることで知られていて、高校生の部活動は運動部だけでなく文化部も盛んに活動していた。演劇、ジャズボーカル、合唱、軽音楽部は年に数回発表会があって、高いレベルを感じた。アニメ・マンガクラブ、フィリピンの孤児院を支援するクラブ、動物保護クラブといった部活動とは別に、週2・3回活動していたクラブもあって、顧問も生徒の関心事に対してきちんと対応している印象を受けた。

揺れ動く思春期の高校生であることに変わらない

これだけ部活動やクラブ活動がたくさんあるんだから、どれかひとつに入って学校生活を充実させているのかなと思いきや、どこか居心地の悪さを感じて、すぐ辞めてしまう生徒や幽霊部員のような生徒もいた。そういう生徒たちからは「自分のアイデンティティを丸ごと受け入れていない」、「自分に自信が持てない」という、どこかオドオドしているという印象を受けた。

外部の人から見たら、インターの高校生は大人っぽくて、みんな自分の意見をハキハキと言うイメージがあるだろうけど、毎日彼らと話していくうちに揺れ動く10代の思春期の高校生たちなんだなという印象があった。

友達に嫌われたくない。仲間外れにされたくない。本当はあんまり気が進まないんだけど、周りに合わせている。
友達との付き合いについて話している時に、日本の高校生と変わらない言葉を聞いた時は少し驚き、へえーと思ったことを覚えている。

自分のアイデンティティとは何か

インターの生徒が言っていた言葉で印象的な言葉のひとつに、’I love me'がある。「わたし、自分のことが好きなんだよ」「オレって良いヤツじゃん」という意味合いで使われる言葉だ。特に帰国子女や日本人と外国のダブルの生徒が、よく使っていた記憶がある。

インターに通っている彼らは「自分のアイデンティティとは何なのか?」ということを、小さい時から考え意見交換する場所がたくさんある。日本と外国の血が入り、両方の文化と言葉で生活しているダブルの生徒。外見は日本人でも、インターに通うことで言動はいわゆる「純ジャパ」とは違い、日本人としてのアイデンティティに揺れ動く日本人の生徒。駐在員の家族という立場で日本に住み、日本の文化に慣れてくることで、母国の親戚や友人とは考え方が違いに気づいていてくる外国人生徒。
他人との違い、他人との共通点を自分なりに深く掘り下げ葛藤を重ねて、唯一無二の自分と言うアイデンティティを受け入れた時に、'I love me'と楽しそうに言っている姿はある種の清々しさを感じた。

そうそう、'I love me'と言っていた生徒は男女に関わらず、相手が誰であれ自分の意見をしっかりと言っていた。例え自分の意見が理解されなくても、発言や態度の端々から「私は私。あなたはあなた。意見が違ってもお互いをリスペクトしようよ。」と表していた10代の彼らに、頼もしさを感じたことも素直に認めよう。



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