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先生という人財ー元インター職員のつぶやき⑬

人財を活かせる教育環境

インターでの勤務経験があるとわかると、色んな質問が飛んでくる。その中のひとつで、「インターと日本の学校の違いは何ですか?」という質問がある。生徒の個性を尊重するとか、カリキュラムの違いもあるけど、先生の個性が活かせる教育環境かどうかという違いがある。

日本の先生はモンスターペアレント対策なのか、「出る釘は打たれる」で個性を出せないのかなという印象を受ける。先生たちも今の学校で教鞭を取るまでに、さまざまな経験をしてきているし、バックグラウンドの違いもある。その経験やバックグランドは、先生たちひとりひとりの特徴や個性に繋がっている。

「人財の育成」とか「人財を活かす」という理念を掲げている企業があるように、日本の学校には先生という人財を活かす発想が必要だと思う。校長や副校長といった管理職や教育委員会が、学校の特色を出したいと案を練っているなら、まず先生という人財を活かすことが大切という発想が必要だと思う。

バックグランドを活かせる教育環境

インターの先生なかにも、日本の先生のように学生時代の恩師との巡り合いがきっかけで教師のキャリアを選んだ人もいる。意外と多いのがボランティア活動やバックパッカー経験、家庭教師以外のアルバイト経験、留学といった「外の世界に飛び込んだ経験をきっかけに教師というキャリアを選んだ」という人が多いのだ。家族、友達、学校という普段慣れ親しんだ人や環境から離れて、違う価値観や環境を体得したことで、今まで気づけなかったことに気づき視野が広くなる。視野が広くなったことで、人間としてもっと成長したいという気持ちが強くなり、「この経験を活かして、次世代の子供たちに視野を広げる大切さを伝えたい。そのためにも教育はとても大事なんだ」という理由で先生になった人が多い。そして教師というキャリアの一部として、言葉や文化が違う海外のインターで働くことで、自らの価値観や視野を広げている人が多い。現役の先生のなかには、親が南米、アジア、ヨーロッパのインターの先生で親の背中を見て、教えることの大切さを肌で感じた人もいる。それから移民の子供として英語圏に住むようになり英語を学んだことから、勉強の大切さを伝えたいという先生もいる。そして大学卒業後、金融関係やエンジニアというキャリアを選んだ後に教育関係に興味を持ち、働きながら教員免許を取ったという先生もいる。そういうエピソードを聞いていると、先生たちのバックグランドを活かすことで人財を活かしているように思う。そういう教育環境だから、日本人の保護者もインターに魅力を感じるんだと思う。

学校の特色は人財の活かし方次第

先日我が家の思春期の息子の進路先として、某校の学校見学会に足を運んだ。息子の受験まで一年以上あるけど、のんびり屋の息子に進路に対する明確なビジョンを持ってほしいと思い参加した。カリキュラム云々は学校のホームページを熟読していたからなんとなく頭に入っていたけど、足を運び学校をこの目で見たことは本当に良かったと思う。そして何よりもわたしが「学校見学会に足を運んだ甲斐があった」と感じたのは、普段教鞭を取り生徒と接している先生方と話が出来たことだった。展示されている卒業生や在校生の作品を丁寧に説明してくださる姿に、生徒と真摯に向き合っていることを感じた。先生たちの真摯な態度が学校の特色を引き立たせていることが伝わった。

「本校の特色」という文字は、各校のホームページで必ず見かける。その特色を際立たせるのは、先生という人財をどう活かすかだと思う。

今夏の第104回高校野球選手権大会で優勝した、仙台育英高校野球部の須江航監督のスピーチを拝聴して感動したと同時に、須江監督の個性や特色をなんとなく感じ取った。そして部員100人以上という大所帯チームを、30代という若い須江監督に任せていることで、仙台育英高校が自校の人財を活かすことを実践しているようにも感じる。もっと先生という人財を活かした学校が増えることで、もっと特色がある学校が増えるはずだし、そうであってほしいと一保護者として期待したい。





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