予想不能のママ

此処の所にママの反応が薄い、と書いた。
あのママの永遠の不在のタイトルでも書いた。

テレビを観ても、話をしても反応は微かでいよいよ私を判らなくなるその時も遠くないのかと切ない、では言い尽くせない気持ちになった。

閑話休題。

私は出掛ける前に幾つも細工をしてから玄関ドアを閉める。勿論、ママ対策。




トイレの灯りを点けて、便座の蓋を開け更にトイレのドアを少しだけ開け、玄関の鍵を締めたらドアストッパーを２つ並べる。

これで帰って来たら外に出たか、トイレに行ったか分かるというからくり。
ここ何ヵ月も外出の形跡は無く、トイレはここ3週間は私の不在時に行っていない。

更に反応は薄く食事量も減ってきている。
あれ程テレビに話し掛けていた、独り言というか独語というか本人には会話だろうか、話すことも激減していた。

もう外に出ることはないのかな。。
雨予報の空の顔色を伺いながら、トイレのからくりはそのまま、ドアストッパーをしないで今朝は出掛けた。

帰宅し２つの鍵を開け…？
一つ開いてる！！！

えっ？！

ドアを開けると私のスリッパが土間に下りている！
トイレのドアを見る。閉まっている。
リビングへ急いだ。
ママが椅子に座り、眼鏡を掛けてテレビを観ている。そして帰った私に驚いた。こっちがびっくりだ。

ママどっか行ったの？

　うん！

どこへ行ったの？

　うーんと。。。

エレベーター乗った？

　うううん、乗ってない

出ただけ？

　うん、出ただけ

誰かに会った？

　会ってない

パジャマで出たの？そんな格好で出たらおかしいよ？下着姿で歩いたらおかしいじゃん？

　あぁそうだよね

あれ…会話、成立してる。。？
してるなこれ。。

それからすぐにトイレへ連れていった。
ちゃんと用事を済ませて、自分で流した。
出てきて椅子に座った。
自分で流した？あれ。。。？

食事を用意した。
チキンステーキ、だし巻き、人参のしりしり、きのこソテー、鰹のふりかけ
出したら、わぁ！っと言っていただきますと食べだした。

あれ…
なんかママが戻ってる？
食事を出しても反応なく、何も言わずに食べたいものだけ食べてたのに。

思えば、また別にリスト化した内容を書きたいテーマに、おでかけという名の徘徊がある。

警察にもお世話になり、近所の方に部屋まで送って貰うこともあり、ドアストッパーを置くことにしたが、そうかまだ要るのね？

油断大敵、恐るべしママ！
試しにママに聞いてみた。
ママ、私、誰？




ママは馬鹿馬鹿しいって顔して吹き出して笑いながら

あんた！

と言った。
あぁそう。あんた、なのね？
にゃん太郎の名前は呼ぶくせに私はあんた



今日のママは録画したブラタモリの桜島を観ている。灰が降るを私も見たことがある。親戚がいたからこれをつけてみた。
この人分かる？

　うん、分かるよ！

誰？　

　タモリ！

と言った。



にゃん太郎とタモリは言えるのに、
娘の名前は出ないのか？なぜ？( ；∀；)


そっと足を踏んでみた。
あ、ごめんねというと嘘泣きの顔でイヤと言って私の足を踏み返して笑ってる。
やっぱり戻ってる気がする！





そんなママの下僕のような私の暮らしは
まだまだ続きそうな予感がする。

予想不能なママにびっくり仰天したが、
元気で居ることは
それでも私でも、嬉しい。

追伸　
たった今トイレから出たママは大変なの。。とズボンを濡らしてた。
ちゃんと用事は済ませたのに立ち上がる時にウォシュレットボタンを押したらしい。
やってくれるね、ママ。深夜だよ。。。






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