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コロナ禍で広報はどう変わるか、2020年5月における個人的予想

コロナ禍が襲ってきてから、社会の変化や自分ができることを案じながら記事やウェビナーで情報収集し、近い人々とも意見交換したり、自社内の広報活動も優先順位を常に組み替えたりしてきた。

あまりに大きなテーマで、コロナがもたらす影響力は計り知れず、場所により見える景色も違うので、私のような末端の者が安易に語るものでもないという自覚はあるのだが。自戒を込めた覚え書きがてら、多少の貢献にもなればと思い書き置く。

2020年5月末現在で見えていて、こうなるかな? と思える景色なので、今後刻一刻と変化があるだろうことはおことわりしておきたい。

変化予想1:広報には、よりマーケティングの知識が求められてくるだろう

広報は投資要素の強い仕事である。すなわち、すぐに結果は出にくいし、売上にもつながりにくい。
しかも人がいないうちは社内広報もそこまで要らないし、事業の実績もないうちは「どう見せるか」より「どう(実績=中身を)作るか」の方が大事である。

広報職は、ある程度中身がないと必要性が薄い仕事になる。だからこそ、今多くの企業が向き合っているだろう中身の不安定さを立て直す局面では「いらない」とすらなってしまう可能性がある(中身がないとそもそも上手く活かせないのに、広報担当を抱えるコストだけかかるから)。

それに比べると、マーケティングは売上を上げるなど中身につながる要素がある。ので、不安定な状況においては安定するまで短期的に、マーケティング役割の方が求められるようになるだろう。

広報とマーケティングの違いや差については、以前記載したnoteをご参照いただきたい。

変化予想2:バズる・マスメディアに載せるプロはひとつの職種のようになり、アウトソースされるだろう

広報職に求められることが多い、バズやマスメディア掲載。確かに大事なことである。ただ、体制が整っていないと効果は最大化できないし、やりすぎると色がつきすぎて、ネガティブ要素も広げかねない危ういものでもある。これらは、情報発信においてはカンフル剤のように感じている。

バズを狙えたり、マスメディアに取材を誘致できるような人は、広報というよりはむしろプランナー職に近いのではと思っている(私は苦手分野なので余計にそう思う)。おもしろいと思う気持ち、シェアする気持ちを最大限にするよう、プランニングする仕事に見えている。

事業会社広報はせっかく社内の中にいるのだから、もっと企業全体の情報流通設計に携わるべきではないか(中の事情も、外の流行や期待値も知っているから)。先に申し上げた通り、企業も大半は苦しい戦いをしているので、これから広報に求められることは高度になっていくはずだ。
カンフル剤は施策なので、情報流通の設計の中で、カンフル剤を打つ場所が明確であれば良い。

おもしろい、変わっていることをやる期待値(イメージ・ブランド)の会社ももちろんあるし、そういう会社は自社で抱えておく必要はあるだろうが、大概の場合はどこかタイミング狙ってバズればよいので、外部の会社にアウトソースする方がいいのではないかな、と感じる次第である。

アウトソース先となるであろうPR会社の動きを見ていると、「バズ・マスメディア掲載」だけでなく「情報流通設計」のアウトソースに対応できるように進めているところも多い。広報PRがやるべきは「バズ・マスメディア掲載だけではない」という考え方があるからだ。なので、バズ・マスメディア掲載はむしろ別職種のようになるのではないかと考えてみた。

変化予想3:企業には、情報の蓄積と一貫性がますます求められるようになるだろう

コロナで移動制限や「場」に集まる制限がかかり、オフラインで情報を伝える手段が絶たれたたことから、オンラインでの情報発信やコミュニケーションに注目が集まっている。
その中で、(新しい出会いが減りリード獲得手法が減ったこともあって)ウェビナーも増えたし、SNSの活用やコンテンツの発信に注力する人も増えている体感がある。

オンライン発信といえば、先程申し上げたバズや、テレビで放送されたことがインターネット上で盛り上がるなどはあった。
また、会社サイトは大概の場合設置はされており、オンライン発信に力を入れていなくとも最低限の情報だけ書いてある状態にはなっていた。

ただ、業界によってはオンラインへの抵抗もあり、中小企業を中心に、情報発信としてオンラインに注力していなかった会社も多くあったように思う。

それがいきなり、企業規模や業界を超えて「オンライン中心」になってしまった。バズとか関係なく、会社の情報の参照先がオンラインに一気に集約されたのである。

オンラインの情報が様々行き交うようになり、情報量が増えた結果、「それらしい言葉一言では差別化ができない」「情報発信をやらないことで土俵に立てない」状況になってしまっている。

そのため、差別化として、情報の蓄積とその一貫性を、オンライン発信で今以上に見せることが必要になってくる。
情報の蓄積とは、その会社に関わることがそこを見れば全部分かる状態である。すなわち、メンバー、できごと、考え方、ナレッジ、定型情報全てである。

また、他社との差別化として蓄積と一貫性が求められるということは、導線の設計(検索性含む)や、倫理観、軸を保ち続ける胆力のようなものもあわせて求められるということである。差別化した結果支持されることが目的なのであり、支持されるにはやり遂げる軸や信念、ずるいことをしない倫理観などは必須だ。

変化予想4:インターネット上で、自己ブランディングが活発化するだろう

変化予想3で書いたことと根拠は近い。
再掲となるが前提として、コロナ禍によって情報量が増えるため、差別化できるような情報発信・蓄積が求められるようになっている。

それは、企業だけでなく個人においても同じような起こるだろうと考えている。

まずは、オンラインによって新しい出会いが減ったこと。マーケティングにおいてリード獲得が減るのと同じだ。新しい出会いを起こすために、知られるきっかけとして、実名Twitterや実名活動などの、自己ブランディングをやり始める人はいるのではないか。

さらに、企業の名前を直接知るより、そこにいる人から企業を知る方が一般的には受け入れやすいし、応援されるに至りやすい。そのロジックで言うと、企業の広報という仕事においては、これをある程度戦略的にやる人は増えるのではないかと思う。

これらが極まると、企業と同じで「情報量が増える」→「差別化ができない、情報発信をやらないことで土俵に立てない」が起こる。そしてますます皆、やらざるを得なくなるような気がしている。
加えて、「こんな世の中で企業に頼らず、自分で稼ぐ力をつける」という意味でも、これらの自己ブランディング手法に必要性を見出す人は多くなるようにも感じる。

変化予想5:自分のスタイルをある程度変えていく覚悟のある人が支持されるようになるだろう

変化予想1にも書いた通り、広報職は投資要素が強いので「これまでの仕事」にこだわっているうちは役に立っていけない可能性が高い。
(もちろんいろんな仕事に変化は訪れているので、広報職に限らずどの仕事にも言えるはずだが)

それは「アンラーニング」と呼ばれるものであり、これまで培ってきたものを一時的にでも捨てる必要がある。ある程度の年齢や経験、しかもそれでうまくいっている人にとってはきっと、つらいことでもあるだろう。

要は、今までのルールが変わり、誰もが答えを持っていない世界になってしまった以上、これまでの経験を捨てるくらい泥臭いことをせざるを得ないし、そうしないと生きていけない局面がどの人にも確率高く訪れるということだ。

だからこそ、これまでよりは泥臭いストーリーがもっと支持を得られるようになるのではないか、とも読んでいる。
どん底経験した後のサクセスストーリーなどはこれまでもあったが、そういう起承転結の内容や描き方にも少なからず変化が出てくるように思う。すなわち、企業のどういうストーリーに共感するか、はこれから変化が出てくるのではないだろうか。

まとめ:広報は変わらないと、きっと残っていけない

これまで書いてきたようなことは、コロナ禍の前からすでに起こりつつあることではあった。しかし、コロナによっていろんな制限が現れ、ものの価値観が変わり、ビジネスセオリーも覆った今、変化が加速しているように見えている。

スタートアップが広報職を置くブームがここ数年あったが、それも少なくなるだろうし、広報という仕事の本質が問われてくるだろう。どの企業も余裕がなかろう今は、「本当に」経営に役に立っている人以外は残っていけない。

正直なところ私自身、今のままだと残っていけない焦燥感がある。積極的に行くことがなかなか(恥ずかしいし、不安だし)できなかったのだが、それを突破しないとコロナの状況で自分を伸ばし、自分の知識をちゃんと役立たせていけないと思う。
今回書いたことは私にも当てはまる。自戒込めて、自分の業務や動きに活かしていきたい。

(いろいろ迷っているのですがなにか仕掛けたく、近しい方にはご相談させていただきたいのでよろしくお願い申し上げます、、🙇‍♂️)

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