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「中小企業の広報立ち上げ」を志して10年で感じた変化

この8月末で、社員数30人ほどの所属先に広報立ち上げで入って10年が経つ(明日から所属11年目)。こんなに長くなるとはまったく思っていなかったから、自分が1番驚いている。

広報の立ち上げ経験、中小企業の広報に求められていることはもちろん、toB企業だからこそのマーケティングとの融合、中小企業だからこその人事との融合、10年間の広報の変化など、様々体感してきたことは本当に自分の糧になった。これをやりたかった(知りたかった)んだな、というのをやれたと思うし、関わった方々からそれらを深めるための知識や学びをたくさんたくさんいただく10年間だった。

その一部分を、まる10年の節目に、ひっそり書き散らかす。

ちなみに広報トレンドの言語化や予測は、ここ数年「変わってきた気がするなあ」と思ったタイミングで何回か書いてきているのでリンクを貼っておく。


※おことわり※

SNSやコミュニティ、私自身の周りの方の動きや社会の動きなどを鑑みた完全なる私見です。あくまで肌感覚なので、ひとつの見解としてご覧いただければ幸いです。なお、私はPR会社やPR代理店にほとんどネットワークがないので、そのあたりもご容赦ください。


時代の変化、広報の変化

長く広報をされている方でみなさんおそらく感じられている大きい変化は、「情報を直接届ける時代に」なったことだと思う。

メディアリレーションなどは相も変わらず広報にとって悩ましく感じるポイントなので話題が尽きないが、「広報業務といえばメディアリレーション」しかないのかと感じるくらいそればかりの会話に感じていたのが、最近は自社発信の手法論などの話題がかなり増えたと思う。
オウンドメディアやSNSは、広報がまず取り組む施策のひとつとして完全に定着した感覚。トヨタイムズはじめとした成功事例の増加なども大きく影響していそう。

その「自社発信」ともつながるが、プレスリリースの在り方にも変化を感じる。最近、いくつかのプレスリリース配信ツールの考え方の変化をキャッチアップすることになり、目の当たりにして驚いたところ。今年に入って、場合により複数ツールを使うというシチュエーションになって、こんなに変わっているのかとびっくりした。
配信ツール運営会社にとってはビジネスのひとつなので、当然ではあるのだが。サービスや機能のアップデートももちろんだが、親会社が変わったりなどは顕著な変化だと思っている。

ビジネスであるという意味ではSNSプラットフォームの変化も激しい。
マネタイズ観点からか機能やルールが変わり、ツールによってはオーナーも変わってしまい思想の大きな変化がみられる。そのことにより「知られる」ためのゲームルールが変わってしまった。

これら発信プラットフォームが一般に浸透し、皆気軽にアプリとかでコンテンツを作れるようになってきている。それに加え、生成AI等によるコンテンツづくりが浸透してきたので発信するものの量産が容易になった。
「発信において、質と量どちらが重要か」の話はあるものの、広報活動初期はどちらかというと量が大事になるので、量産に対してのソリューションがあるのはとても良い傾向だし、誰でも取り組みやすくもなったと感じる。


コロナ禍の影響範囲

コロナ禍は大きなターニングポイントにはなったが、広報業務自体の在り方に激しく影響したようには個人的にはあまり思えていない。
「働き方として、リアルとリモートでやれることをわけて対応するようになった(リモートリテラシーの向上)」「ネットワークの大切さが再確認された」くらいか。それくらい、最近の「コロナ禍明け」の広報活動自体は元に戻ったなという感覚が強い。

それよりも、コロナ禍そのもの、そしてコロナ禍最中にあった世界の状況(円安、エネルギー危機など)に加え、より顕在化した人材不足や、期間中に法律改正などが行われた部分なども影響し、多くの会社において経営の舵取り難易度がさらに上がったはず。それによって広報活動が事業貢献するかどうかの重要性や期待値が高まったように思う。

この辺があるので、「ひとり広報」の人数も設置会社数も増加しているのだろうし、広報とマーケティングと人事の融合なども起こっていると考える。
あわせて「経営に資する広報」というキーワードがここ数年で増えたのも、背景はこの辺りにあるのであろう。

事業によって、広報の目的や得たいものによってやれる施策やとるべき施策はそれぞれ違う。そして事業フェーズや広報フェーズでも変わってくる。
すなわち、施策単位で「成功のセオリー」を言い切れないし、それぞれの広報担当が見ている世界が違うとも言える。
映えやキャッチーさが大事な時もあるし、発信量が大事な時もあるし、とにかく発信内容が一貫していることが大事な時もある。

人数が増えたことによって広報コミュニティも増えたが、だからこそ細分化してたくさんになってきていると思う。
そして上記に言ったような「その広報職の人それぞれで見ているものの違い」「それぞれにおいての成功体験」も手伝って、分断も激しく感じている。


興味を持って深めて積み重ねることが大事

ここまで振り返って、ではどうしたらいいのかということについて触れるべきなのかもしれないが、一般的な表現でまとめるとしたら「できることからやるしかない」なのかなと思っている。
というのも、先述の通り、事業によって、広報の目的や得たいものによって、事業フェーズや広報フェーズによってやれる施策やとるべき施策はそれぞれ違うから。

事業に資することを目指すなら、「事業でのサイズや優先順位によって広報に割けるリソースややることが変わる」というのはセットになるだろう。
広報職入門で学ぶような方法論だけではやることを押し切れない場合も多いはず。(方法論が状況にうまくはまってOKが出たらラッキーという感じではないか)

だからこそ、手法論の種類や選択肢、それぞれの提案文句を増やすこともそうだし、事業理解を深めてよりフィットする手法論選びをすすめることも重要そうである。

あと個人単位でやれることとしては、興味を広げることと、積み重ねること。
マインドとしてこのあたりがあれば、広報する内容を深く捉えられるし、その姿勢および発信量が積み重なって、広報の効果が増大しやすくなると考えている。


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自分自身の広報の在り方がかなりクリアになったし、当時やりたいことに近づくことができた10年間ではあった。
この気づきをふまえて、私自身が広報としてどうしていくかは、まだ答えがはっきり出ていないのでもう少し考えていきたい。


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