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小3不登校娘の「修了式」

「ママ。びっくりニュースがあるよ。」

数週間前、学校から帰宅した小3の娘が私の元に駆け寄りそう言った。

「ママは絶対にこの話を聞いたらびっくりします」と、もうそれを確信しているというような様子で、

楽しそうに、
どこかイタズラっぽく、
それでいて喜んでもらえるんだという期待でいっぱいの目をした娘。
あぁ、愛おしくて仕方ない。


「なに?」


「私、3学期の終業式の時の全校集会で、クラスの代表で修了証を校長先生からもらう役になったよ」


「え?!?!?!」

びっくりを予告されていたにも関わらず、私はびっくりした。
娘の想定通り。
びっくりどころか、びっくり仰天した。

娘は三年生の2学期の初めから不登校がはじまった。

一歩一歩壁を越えて、ここ数週間で普通登校が可能になったところだ。

実は、娘は今学期で夫の転勤先について行くため転校する。
今回の修了証をもらう役は、娘ともう一人の転校予定の生徒との2人のどちらかでということで声がかかったそうだ。

そして娘は「やってみたいです!」と手を挙げたそうなのだ。


びっくり仰天もする。
嘘みたいだ。


不登校がはじまってすぐ、夏休みの宿題で絵画コンテストに応募して、銅賞をいただいた。
通常全校集会で実施される賞状授与式には、当然ながら参加できなかった。
その時の娘は学校に足を踏み入れるのがやっとだったのだ。
だから、校長室で、たった一人で私も付き添って賞状をもらったのだ。

それが、数ヶ月前のこと。
それが、皆んなの代表で修了証をもらうっていうのだから、びっくり仰天もする。


娘は学校に関して
小さなホップステップを繰り返し、通常登校ができるようになった。
それが、ここにきて大きくジャンプした。

いつのまにか、大きくジャンプ出来るまでになっていたのだ。

娘は、学校に行くことだけでも人一倍色々なことを感じてしまい、パワーがいる。
だから、学校に行くだけで娘にとってすごいこと。
そう思っていたし、今もそう思う。

そんな娘が、学校の中で「やってみたいです」と手を挙げたこと。
「やります」ではなく「やってみたいです」という言葉にも、娘自らの意思で選択したことが感じられた。

娘の大きなジャンプに、大きな勇気に大拍手した日だった。

・・・・

そして、時は流れ、修了式の前夜になった。

「・・・・なんでやるって言っちゃったんだろぉ、、」

寝る寸前の布団の中で、今にも泣き出しそうな程The不安定な娘。

「修了証ってさ、もらったらみんなに見せるの??両手でもらうの??え?どうやってもらう場所までいくの??」
などなど不安は尽きない様子だった。

わかるわかる。
新しい挑戦は不安がつきものだものね。


以前の私なら、
なんとか娘の不安を解消させようと、なだめて不安がなくなるまでずーーっと声かけをしたかもしれない。

しかし今は、余計なことは言わない。

(とはいえ、「まぁなるようになるんじゃない?」とペロッと言ってしまって、娘には叱られたけど 笑)

娘は不安定ながらも、「とりあえず、明日は何もないと思って寝る」とぎゅーーっと目を瞑って、ものの数分で寝息を立てはじめた。


「大丈夫。」

今の娘を見ていると本当にそう思う。

娘なら絶対うまくやれるから大丈夫ってことじゃない。

たとえ、やってもやれなくても、うまくいってもいかなくても、この子は大丈夫。

そう思うのだ。

私は、修了証をもらうことなんてどうでもいいのだ。

ただ、娘が学校で勇気を出せるくらいになっていること、自分の意思で新しい挑戦をした時点でもう充分なのだから。

・・・・

そして、修了式を終え帰宅した娘。
この学校最後の日についてもう話が止まらない。

「修了証!修了証のこと!!口から心臓とびでると思うくらい緊張したの!!」

「お!!!!頑張ったんだねー」

「ママ!私緊張しすぎるから、おまじない考えたんだよ。今度から緊張したらこうするんだ」

そういって娘は自由帳をみせてくれた。
そこには修了証をもらう女の子。
そして、それを受け取りみんなに披露するニコニコと笑っている女の子が書かれていた。

「これね、修了式の前に書いたの!私がもらってる所と、うまくいって笑ってるところ〜。絶対こうなる!!って思いながら。これやったら気持ちが落ち着いたんだ!!」

「え?!それ自分で思いついたの?!
それって、良いセルフイメージを描いて、
しかもビジュアル化することで緊張を解すということだから、
きっと心理学的にも何かしら効果があって、きっとどっかしらにはこのやり方が書いてあるんじゃないかなぁ!!」

知らんけど。

知らんけどそう思う。

この子心理学者になれるんじゃ!!とか親バカが爆発して、知らんけどな適当なことを伝えてしまったことを若干反省しつつ、それでも気持ちが溢れた。

「娘は、自分にとって良い方法が考えられるんだね。それはすごーーい力だよ。ママも真似するね!」


私は娘を思いっきりハグした。


修了証のこともすごい、

自分で緊張を解く方法をあみ出したこともすごい。

今日という日をランドセルを背負って迎えられたこともすごい。

すごいの大渋滞なのだ。

でもそれよりなにより、

「転校してきて2年、パパと単身赴任になった2年。沢山沢山頑張ったんだよね。今日までほんとに頑張ってきたね。」

娘がどれほどで辛い思いをしてきて、それを乗り越えて、今日を迎えたんだろう。

そう思うと、頑張ったねといくらいっても尽きない。


次の学校はどうなるかな。

不安がないわけじゃない。

だけど思うのだ。

娘は大丈夫なのだ。

娘はそのままの娘で良い。

全てに対して、私はそう思えるようになったのだ。

・・・・

さて、これにて娘の小3のお話と、不登校のお話は終了。

書き終えて思うこと。

母親として、今、こんな風に思える自分になれたことが嬉しいってこと。

娘の不登校という出来事は、私を変えてくれたと実感している。

あ、白髪は3倍くらいになったけどね。笑



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