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初めての感情は、いつも絵本が教えてくれた

ここ数日、息子が眠る前に絵本を読むのが習慣になっています。

私は子どもの頃わりと絵本が好きで、親に読んでもらった記憶はないものの、幼稚園でも外で遊ぶよりひとりで絵本を読むのが好きなこどもだったのを覚えています。

絵本にたくさんの感動を貰ったので、息子にも是非その体験をしてほしいな、と思っていたものの、日常は親の私が仕事と家事でヘロヘロ、寝かしつけのあとにも仕事が待っていたりするので、正直毎日戦争のようで、息子が寝る前に本を読むどころではない日々が続いていました。

自粛期間中にだいぶ仕事の調整をしたこともあり、保育園も休園になって息子と過ごす時間が長くなったので、新しいチャレンジの一貫として、息子と絵本を楽しむ時間を作ることにしたのです。

まず絵本選びでは、息子が大好きな車や動物がたくさん出てくる絵本を注文し、私自身が幼少期に読んで感動した本や好きだった本を一通り揃えてみることにしました。

そうすると、自分の記憶がするすると呼び起こされ、そういえばこの本を読んで急に悲しい気持ちになって涙があふれたな、とか、あの時感じた得体の知れない思いは、切ない、という感情だったんだな、などなど、自分がいかに絵本から感情を学んだかと思い知らされました。

例えば、私が人生で一番好きな本で、これだけは大人になってからも度々読み返していた本に、「100万回生きたねこ 」という有名な絵本があります。

何度読んでも最後の章を読み終わったときの、突然突き放されたような寂しさと、辺りに吹く生温い風の感覚、ハッピーエンドともバッドエンドとも言えない曖昧さ、涙が流れるわけでもない、なんだか放心してしまう、絵本のなかにひとりだけ取り残されてしまったような、今までねこが暮らしていた世界の草や土が突然匂い立つような不思議な感覚になります。

その後、ふわっと訪れる「ああ、ねこはようやく生きたんだ、そして、死んだんだ」という妙な納得感。

「生きる」と「死ぬ」という説明のつかないものを同時に突きつけられたような、幼少期の私には理解できず、でもねこが死んだあとの誰もいない世界に自分も確かにいたこと、そこから現実になかなか戻れなかった、子ども独特の感覚を今での覚えています。

絵本に限らず、本の好きなところは、違う世界にすぐに行けてしまうことです。

それは例えば絵画や映画、コンサートやミュージカルなどでも体感できることなのですが、私個人的に、本は一人きりでその世界に行く感覚があるんですね。

そのなかでも絵本はシンプルゆえに、残酷なほどダイレクトに心を鷲掴みにされます。なので強烈な実体験として心にいつまでも残り続けるんですね。

息子も早速お気に入りの絵本を何度も読んで、と言ってきます。

それは「おやすみ、はたらくくるまたち」という絵本で、ダンプカーやショベルカーなどの働く車たちが1日の仕事を終えて眠りにつく物語です。

息子が働く車が大好きなのでチョイスしたのですが、絵柄が可愛らしく、昼と夜のメリハリがしっかり表現されているので車が眠るシーンでは私も眠くなってしまうような、車さん1日お疲れさま、と自然に思える素敵な絵本なので、寝る前の絵本タイムにぴったりです。

日中は余裕がなくてバタバタしたり、息子もあれこれ叱られたりしていても、眠る前の絵本タイムではリラックスした時間を親子で共有できるといいな、と思っています。

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