従来のソーシャルエンタープライズ論は「社会起業家」の特異な能力に偏っていた
木村隆之. (2015). 「まちづくり研究およびソーシャル・イノベーション研究の理論的課題に関する一考察」.『経営学論集』第26巻第1号を読みました。
日本でもゼロ年代から盛んになったまちづくりにおける社会的企業、ソーシャル・エンタープライズの研究だが、本論文は、まちづくりの成立プロセスの説明が社会起業家という特異な能力者の存在に依存しがちであった点を指摘する。
それゆえの限界もあったと指摘する。
その上で本論文では、ソーシャル・イノベーションの独自性とは、単なる資源の新結合による価値創出ではなく、ソーシャル性、つまり社会性、公共性の達成にこそあるのだとみなすことで、スーパーヒーロー仮説に回収されない理論化が可能であると主張する(P2)。
スーパーヒーロー仮説に頼らないソーシャル・イノベーション論