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「PUBLIC HACK: 私的に自由にまちを使う」を読みました

「PUBLIC HACK: 私的に自由にまちを使う」読みました。今まさに読みたい内容でした。面白かったです。

常々、「こんだけ豊かになった社会では、これからは、まちづくりではなく、まちつかいの方が必要だ」といってきたけど、それをパブリックハックという概念で説明されている。

セルトーは、支配的な権力に対し、従順に従う「振りをする」人たちの振る舞いに注目をするわけです。例えばまちに道路が作られるとします。道路がどう作られるかは、自分の手の届かないところでなされてしまうかもしれない。しかし、それを使う人々には「どう使うか」という裁量が残されるわけです。例えば車で走ることもできれば、落書きするキャンバスとして使うことだってできるかもしれない。そこには、つくる側が意図しなかった使い方ができる余地がある。しかもこっそりと。
 まちづくりというとき、その「つくる」という語の含む、「意図して作り上げる」というニュアンスからか、財の供給側の都合ばかりに意識が向きがちです。しかし同然ながら、まちづくりは、作った財を「使って」初めて意味を成すわけで、その「使う側」への眼差しを意識させてくれるんですよね。言い換えれば、「まちづくり」ではなく「まち”つかい”」の方の有様を意識させてくれる、とでもいうか。
(略)
作られてしまう「まち」に対し、目立って敵対するのではなく、そのまちを自分好みに「つかう」巧みさ、みたいなことへの視野は、まちづくり界隈では案外欠落しがちなんじゃないか。とりわけ、まちづくりに関して発信する層っていうのは、このまちを「つくる」側にいることが多くて、つまりは「戦略」を立てられる強者の側にいることが必然的に多くなってしまうものだとも思いますし。じゃあそうして否応なく作られてしまった「まち」を、どう「つかう」か。

ただ、この観念をわざわざ言わないといけない状況に私たちの社会はあって、本書はそのことに対する問題提起でもある。

例えば、法的には何の問題もない行為でも、それに対する不安を抱えた人々からの通報があれば警察は動かざるをえない。本書の言い方によれば「傍観者の通報者化」が起こる。

つまり「ハック」の例えを借りるなら、人々に法や行政に関する知識が乏しいので、その行為者が「ブラックハッカーかホワイトハッカーか」見分けがつかない。だから安全側に寄って通報する。そして日本の行政もそれに従う傾向がある。結果、社会は保守化し、イノベーションが阻害される。

ハッカーとは本来、コンピューターやネットワークについて高度な知識や技術を持つ人々を意味する。ハッカーの語源である「Hack(ハック)」は、「鉈や斧などで叩き切る」という意味であり、コンピューターエンジニアの世界においては、「手早くラフな作業で期待に沿った機能を実現する」という意味合いを経て「最小限の努力で最大限の効果を上げる」といった意味で用いられるようになった。
ハックという言葉を「効率化のための〇つのハック」といった記事などで見聞きしたユーザーも少なくないはずだ。この例では、ハックという言葉が「あまり知られていない達人のテクニックや工夫」のような意味で使われている。
(略)
近年、より正確性を重視し、ハッカーと一括りにするのではなく、ホワイトハッカーとブラックハッカーに分けて扱うケースも増えてきた。この場合、ホワイトハッカーは「正義のハッカー」という意味合いで用いられる。
これらはそれぞれ、ホワイトハットハッカー、ブラックハットハッカーという名称が正式なものだ。「ハット」が付いているのは、「ブラックハット」が悪役を意味するとの由来からだとされる。逆に、「ホワイトハット」は正義の味方という意味合いで、同様の意味で使われる言葉に「ホワイトナイト」などがある。海外では、ホワイトハットハッカー、ブラックハットハッカーと呼ばれることが多いが、日本国内ではハットは省略されることが多い。
すなわち、ホワイトハッカーは正義のハッカーとして、その知識や技術を善意に基づく行為のために使う人たちであり、一方、ブラックハッカーは自らの知識や技術を不正な行為のために使う人たちである。また、「ハッカー=ブラックハッカー」という認識で広まっていたところ、最近ではもともとの意味合いに近いホワイトハッカーをハッカーと呼び、ブラックハッカーをクラッカーとして区別する呼称も広がりつつある。

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