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12月前半の日記

今日も日記を綴ります。

今回も長いので、つまみ食い推奨です。

つまみ食いのおともには、この曲を。


12月のある日

お昼やすみに、久しぶりに後ろの席の人と美術館のまわりを散歩する。朝晩は寒いけど、昼間はポカポカしている。

夕方、次の日の美術館のパフォーマンスのリハーサルをしていて、美術館に不思議な音が響いていた。

夜ごはんはイワシパスタをつくる。
オリーブオイルをフライパンにたらして、ニンニクを炒めてから、玉ねぎとイワシの水煮缶を炒めて、さっとお醤油をかける。梅干しを2つ、タネをとって、潰しながら加える。茹でたパスタと和えて、シソをかけてできあがり。玉ねぎの代わりに、ズッキーニでもおいしい。

お風呂で、須賀敦子『遠い朝の本たち』を読み終える。須賀敦子さんが遠い昔に読んだ本の記憶を辿ったエッセイ集。戦前生まれの須賀さんが幼少期に読んだ本は、私の知らない本ばかりだったけれど、手伝いもせずに物語を貪っていた少女時代は私にもあったなぁと懐かしい気持ちになる。須賀さんのエッセイは、エッセイのお手本というか、これをエッセイと呼ぶのなら私の書く文章はエッセイのようなものでしかないなと思う。
須賀さんの文章の中に私の好きなワーズワースの詩が出てくる。須賀さんは水仙をそのままダフォディルとしていたけれど、水仙は日本語のほうが響きがきれいだと思う。睡蓮はwater lilyだから英語もきれいだけど。


次の日

私の上司が担当するイベントがあり、こまごまといろんなお仕事を頼まれて一日中走り回る。

夕方、片づけをしていると、パフォーマンスをしたアーティストのお子さんが片づけを手伝ってくれる。
ちびちゃんに向かって、手伝ってるのか、邪魔をしているのか?と上司はひどいことを言っていたが、私はかわいい子が手伝ってくれてついついにこにこしてしまう。

ぺこりんが休みの日だったので、ぺこりんが夜ごはんをつくってくれた。柚子胡椒味のせせり丼。せせりは、お肉のなかで一番好きな部位だ。

ごはんを食べて、フルートレッスンへ。1日中歩き回って疲れていたせいか、息がつづかなくてふらふらする。


次の日

ぺこりんが、ピザホットサンドをつくってくれる。

午前中に図書館へ行く。本と映画を借りる。

お昼は、お店でパスタを食べる。家でもおいしいパスタは食べられるが、それでもたまにお店のパスタも食べたくなる。私は、エビとアボカドのバジルクリーム、ぺこりんは豚とキノコの柚子胡椒クリームのパスタ。

午後は、買い物をする。まずは、カルディで、お気に入りのビスケット、コーヒー、あっさり鍋の素(という名前だけど、実際はこってり鍋。)、カレーペーストを買う。その後、商店街のセレクトショップで、ハーブティーを買う。最後に、無印で毛布を購入。ぺこりんが毛布を抱っこして帰る。

お昼のパスタが重たかったので、夜は鶏ハムをつくったスープで雑炊にした。


次の日

タイヤ交換をする。夏タイヤからスタッドレスタイヤに交換するために予約していたのだが、タイヤを預かってもらう場合、ホイールも買わなければいけないと言われ、少し迷ってしまう。ホイールは3万円ほどかかる。

私が悩んでいると、お店のお兄さんが、街で乗るだけなら、オールシーズンタイヤでもいいと思いますよ、と提案してくれる。

タイヤを事前にネットで購入してしまっていたため、変更できるのかおずおずと尋ねると、大丈夫ですよ!とにこにこ対応してくれた。ネットの評判もとてもよいお店だったけど、本当にきもちのよい接客だった。

タイヤを交換してもらっている間、目の前にマックがあったから入みる。グラコロを頼んだ。グラコロってこんなにおいしかったっけ。

その後、軽自動車検査場に行く。県外に越したのに、ナンバーを変えていなかったのだ。変えないと罰金を取られる可能性もあると書いてあって、あわてて変えた。

夜は、カルディで買ったカレーペーストをつかって、カレーをつくった。


次の日

美術館のおまつりが春にあるため、その内容を考える。
こどもにもおとなにも楽しんでもらえるのはどんな企画だろう。企画をもちあって打ち合わせすることになっている。
2つほど案を企画書にまとめたけれど、あまり自信が持てない。
もうすこし普段からアンテナを張っておかないといけないな、と反省する。

午後は、展覧会の広報物や、会場で配布するパンフレットの内容を考える。

夜は、ぺこりんが飲み会のためひとりごはん。
無印のイカスミパスタペーストでイカスミパスタをつくる。

まっくろくろすけ

ポトフもつくった。たっぷりつくって、次の日も食べようという算段である。父もよく、たっぷりとスープをつくっていた。具沢山のスープがあると、お野菜がとれて身体にいいし、温まってほっとする。

食後、奥田英朗さんの『家日和』を読む。noteのコメント欄で教えてもらった作家さん。ネットオークションに生きがいを見出す主婦とか、リストラされた主夫とか、妻と別居して理想の部屋づくりに燃える人とか、いろんな人の暮らし方をとりあげた短編集。
「暮らし」というとどこかほのぼのしたイメージをもつかもしれないが、結構皮肉のきいたお話も多い。
ネットオークションでのリアクションに一喜一憂している主人公には、noteでの反応を気にしている自分を重ねたり、妻と別居してからのほうが自分好みの暮らしが送れている主人公に夫を重ねて、私も夫にそんな窮屈な思いをさせているのでは、と少し不安になったりした。


次の日

午前中は、展覧会の図面を作成したり、広報印刷物の内容を考えたりする。

午後は、学芸会議。

夜は、エビたっぷりチャーハンをつくる。

前回の記事(日記)を、noteで紹介してもらう。ぽかぽかと温かい気持ちになる。こうして読んでくれる人がいること、時間を使ってくれる人がいること、言葉をかけてくれる人がいることは、奇跡みたいだな、と改めて思う。

前日飲み会だったぺこりんはとても眠そうだった。私もぺこりんが帰ってくるまで、なかなか寝られなかったため、私も眠かった。二人とも買ったばかりの毛布にくるまって、はやく寝ることにした。


次の日

私が担当する展覧会のタイトルは、私が美術館に入る前に決まっていたのだが、サブタイトルをつけてもいいのではないか、と上司に提案される。

いくつか案を出して、会議に諮ることにする。

午後からは、展覧会の章パネルや作品解説の文章を考える。

夜は、カルディで買ったあっさり鍋の素をつかって、味噌鍋をする。この鍋の素は、冬にしか売っていない。年中売ってくれてもいいのに、と毎年思っている。もつ鍋やさんのスープみたいな、濃厚な味。だから、全然あっさりではない。


食後、辻仁成『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』を読んだ。日記のような、息子さんへの手紙のような文章。私は最近noteに日記を綴りはじめたけれど、私は人の日記を読むのが好きなのかもしれない。小川糸さんとか、益田ミリさんとか。メイ・サートンさんの日記も好きだ。

辻さんの文章の中に「命への感謝があり、家族を大切に思えば自然と料理の腕は上がる」(前掲書、p.103)という一節があった。

私は、その一節を読んだとき、父を想った。

父はいつも誰よりもはやく起きて、おいしい朝ごはんとお弁当をつくってくれていた。私は、父のつくるごはんよりも、おいしいものはないと思っている。

ある日、父と二人で海辺の街の市場の食堂に昼食を食べに行った。父は、その前にちょっと連れて行きたいところがあると言って、海が見渡せる丘に連れて行ってくれた。その丘には、海難事故で亡くなった漁師さんたちのための碑があった。おいしいお魚を食べにいこうとしているときに、こんな話をするのは少し酷かもしれないけれど、と前置きをしつつ、危険と隣り合わせで魚を獲ってくれている人がいることを忘れてはいけないと思う、と父は言った。父は、小さな漁村で育った。祖父は漁師だった。

食材を余すことなくおいしい料理に変える父は、いただく食材の命だけでなく、命をかけて食材を提供してくれる人への感謝を常にもっているのだと思う。もちろん、家族への愛情もたっぷりと。


次の日

展覧会のサブタイトル案や文章を上司に見てもらって、スケジュールを相談する。

最近ようやくわかってきたが、上司に言われたペースで仕事をしていると、すごくギリギリになる。上司の「まだ大丈夫」は、普通の人の「もうそろそろやらないとヤバい」、「なんとかなる」は「どうにもならない」だ。

上司は「年明けでも大丈夫」と言うから、年内になんとしても終わらせようと決める。

この日、ぺこりんは大学に出張だったから、またひとりで夜ごはん。ツナと大根おろしとぶなしめじの和風パスタをつくって食べる。

夕食後、リチャード・ブローディガン『東京日記』を読む。日本軍による真珠湾攻撃の後遺症によって叔父を亡くしたという告白からはじまる詩集。ひとりで過ごす夜に似合う詩集だった。ブローディガンの目に映る東京は、私の知る東京とはどこかちがうような気もするし、少しもちがわないとも思う。


次の日

ひたすら作品解説の文章を書きつづける。

夜、帰ると、おやすみだったぺこりんがローストビーフを作ってくれていた。

夕食後、フルートレッスンに行く。魔女の宅急便の挿入歌「晴れた日に…」を練習する。次週で年内ラスト。なかなか最後まで息が続かない。

寝る前に、葬送のフリーレンのアニメを観る。

主人公フリーレンが勇者ヒンメルに指輪を嵌めてもらう場面がとても素敵だったので、アニメを見終えた私は、ぺこりんに指輪を渡して、再現してみてとおねだりしてみる。

「マントが足りないよ!」とぺこりんに言われ、毛布を渡す。ぺこりんは毛布を翻して、お布団の上に跪いて、私の指に指輪を嵌めてくれた。

毛布を翻すぺこりんは、ぺこりんならぬ、へんてこりんだったけれど、こんなことを嫌な顔せずにやってくれるぺこりんが愛おしいなと思った。


次の日

ぺこりんと竹久夢二の展覧会を観に行く。
竹久夢二というと、大正時代のかわいこちゃんを描いていたイメージしかなかったけれど、ここに描かれているのはただの和服美人と洋装男性ではなくて遊女と宣教師なのか、とか、油絵も描いたんだ、とか、版画風の絵をペンで描いていたんだな、とかいろいろと発見があった。ペン画を印刷すると当時の印刷技術では絵が潰れてしまうから、あえて版画風にしたのかな、と考えたりした。

夢二の手紙も展示してあったが、その内容が年下の女性に対して、おまえはいい子だがもっといい女に育ててやる的な内容の手紙で、死後にこんな手紙を晒されてしまうなんてちょっと気の毒だなと思った。
ちっとも学芸員らしからぬ下世話な感想だが、美術にはこういう下世話な話もつきものだ。というよりも、こういうものを無視して高尚なものだけを見ようとすれば見逃してしまうこともあるような気もする。夢二の描くかわいらしい女の子は、レトロとかモダンと称されるけれど、その裏には生々しい人間関係もあるわけで。それでいて、そんな生々しさを超えて、長い間愛される美しいものもそこにある。

お昼は、ぺこりんが気になっていたお店に行く。厨房で、にんじんの皮むきをするおじいちゃんの姿が見えた。
混み合っていたけれど、お客さんはみんなラフな格好で、きっと近所の人たちなんだろうな、と思う。近所の人が行きたくなるお店はいいお店にちがいない。

私はカルビラーメン、ぺこりんは酢豚を頼んだ。
また来たくなるお店だった。

午後は、小さな映画館に『アアルト』を観に行く。ひとりで見ようと思っていたが、ぺこりんも観てみようかな、というので、ふたりで行った。

おなかいっぱいで映画館のなかはぽかぽかと温かくて、少しうとうとしかけていたら、ぺこりんがツンツンと起こしてくれた。

旅するように美しい建築を眺めながら、ドラマティックなアアルトの人生を追う。こんな美しいものを人生の中でひとつでもつくれたらそれで十分ではないか、と思うものを彼はいくつもつくる。
非人間的なスケールの建築が増えていく時代のなかで、あくまでも人間のスケールを基準にし、派手さよりも居心地のよさを求めた彼の建築は、シンプルでモダンなのにどこか温もりがある。中世の街や教会のデザインから学んだことも多いとアアルトは語る。アアルトのデザインの温もりは、彼の建築デザインだけによるものではなく、照明や家具、ファブリックをコーディネートした妻の力によるものも大きいと紹介されていた。

映画の余韻に浸りながら、すっかり暗くなった夜の街を歩いて家に帰った。


次の日

ぺこりんがスプリングエイトという放射光施設に出張に行く。ぺこりんは、物理学研究者なので、実験に行ったのだ。

2泊3日ぺこりんが帰って来ない。

ぺこりんと夜に会えないとなると、仕事をして夕方になっても、家に帰る楽しみがまるでない。

でも、家に帰ってきて、とりあえず、何か食べなくてはと思い、野菜とぶた肉を蒸して、大根おろしと醤油をかけて食べる。

退屈なので、母に電話してみる。
最近妹の転職が決まり、来年には妹が実家を出ることが決まった。母は寂しくて落ち込んでいるかなと思ったけれど、最近ピアノを習いはじめたんだ、いまも練習していたところだよと楽しそうに話していた。
noteの手紙も母は読んでくれていた。でも、手紙の話は特にせず、次の記事に出てきた軽井沢のジャムの話で盛りあがる。母と春に旅行したのも軽井沢だった。帰省するときにお土産にもっていくよ、と言うと母はとても喜んでいた。


次の日

次の日もぺこりんが帰ってこないので、灰色の1日を終える。

夜ごはんは、なめたけごはん。なめたけは、えのき一袋ぶんを半分に切って鍋に入れ、みりん・しょうゆ各大さじ1.5ずつ入れてくつくつ煮るとできる。さすがにこれだけでは、と思い、豚汁もつくる。たっぷりつくって次の日も食べることにした。


次の日

ぺこりんが帰ってくる日だ!と朝からテンションが上がる。

会議が二つあって、議事録を書かなければならず、早く帰りたいのに、帰れない。

帰ったら、ぺこりんがいた。豚汁を温めて、サバを焼いてくれていたので、すぐにごはんを食べる。
ぺこりんと食べると、おいしいし、楽しい。

何回もおかえり、と言ってしまう。ぺこりんは何回もただいま、と言う。

寝る前に『花束みたいな恋をした』を観る。私は前に観たことがあって、そのときに感想も書いた。ぺこりんと観るのははじめて。

二人はあんなにもぴたりと重なっていたのに離れないといけなくなったのは悲しいねとぺこりんと話し合う。
あんなにもぴたりと重なっていた「のに」じゃなくて「から」なんじゃないかな、とぺこりんは言う。

ぺこりんと私に置き換えてみる。私とぺこりんはあらゆる面において、正反対。重なるところはほとんどなかった。それはいまも変わらない。
でも、ときどき、他の人から似ているね、と言われる。少しだけ重なるところも出てきたかな。


次の日

二人ともおやすみの日。

朝、ぺこりんが、ホットサンドをつくってくれる。鶏ハムとチーズとマヨネーズのサンド。クリームチーズ入りピザサンド。
おいしいコーヒーも淹れてくれた。

「おいしいコーヒーとホットサンドのお店が開店しましたよ〜!」と、かわいい店員さん(ぺこりん)に起こされる。

昼前に、スーパーに買い出しに行く。お惣菜の天ぷらがおいしそうだったので穴子天と海老天を買う。昼は天ぷらそばにした。

午後は、私は車の点検とオイル交換に行く予定があった。

時間までぺこりんとお昼寝する。ぺこりんは、私がお布団から出るとき、「僕はひきつづきこの作業を継続するね」と私に言う。ただお昼寝しているだけなのに。

車屋さんで待っている間に、松浦弥太郎『今日もごきげんよう』を読む。松浦弥太郎さんの本を読むと背筋が伸びるけれど、このエッセイ集はいつもよりも松浦さんを身近に感じるような話が多かった。松浦さんの持ち物の写真がいくつか載っていて、センスのよさにうっとりした。

家に帰っても、まだぺこりんは寝ていた。

夜は、昼間買った豚ホルモンを野菜と炒めるだけの簡単ごはん。
私のお気に入りのお店で買うホルモンはとてもおいしい。


次の日

午前中
印刷業者の方と打ち合わせをしたり、作品の画像を送ったりする。

午後
展覧会のプレスリリースの原稿を書く。作品解説の文章を書く。上司にスケジュールの相談をする。

夜は、トマトクリームパスタをつくる。前の日にスーパーで見つけた見切り品のトマトは、3つで100円だった。トマト大2個を皮ごとざく切りにして、にんにくとオリーブオイルと一緒に炒めて、塩を振り、トマトに火が通ったら、生クリームを100mlほど加える(2人分)。トマトクリームは、カニやエビやベーコンを入れてもおいしいけれど、何も入れないシンプルなものが特に好き。トマトクリームだけで、十分においしい。しらすとブロッコリーとトマトのアヒージョもつくる。具が多すぎて蓋が閉まらなかった。

ワインにみえるうしろのグラスは蕎麦茶です


12月前半の日記はここまで。

後半につづく(かもしれない)。



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