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いちまいの絵ができるまで

先日、いちまいの絵が完成し、注文主様の手元に渡りました。

雅樹さんの記事をご覧になった方も多いと思いますので、わざわざ私のところで報告しなくても良いかとも思いますが、絵の制作を応援してくださる方々がいらっしゃるので、こちらでもご報告します。


今回の記事では、このいちまいの絵ができるまでにどんな過程があったのかを紹介します。

そして、最後に小さなお知らせもありますので、最後までご覧いただけたらうれしいです。


雅樹さんのご家族の絵を描かせていただくことになった経緯や、この絵に込めた想いははこちらの記事に書きました。


デジタルバージョンで完成していたこの絵を、アナログで描くというのが、今回のご依頼でした。

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アナログの絵の注文を受けるというのは、私にとってはじめてのことでした。最近デジタルでばかり描いていたので、レイヤーがない!やり直しボタンがない!ということにいちいち戸惑いながら描きはじめます。

絵のイメージがふんわりとしているものだったので、はじめは水彩で描きはじめました。でも塗り重ねていっても、いっこうに自分のイメージに近づかない。私はこんな絵を描きたいんだっけ、と一旦立ち止まってみることにしました。

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全然うまくいかないとき、そのまま進めていくうちに、良くなっていく場合もあります。そのまま描き続けるか、切り替えるかを選ぶのはなかなか難しいのですが、私は思い切ってそれまでとは異なる技法で描いてみることにしました。注文主の雅樹さんから、時間はいくらかけてもいいと仰っていただいたのがこの判断の決め手になりました。焦らずに、一番いい方法を模索してみることにしたのです。

私は、アクリル絵の具で描くことにします。アクリル絵の具のいいところは、乾くと塗り重ねられるので、水彩よりもやり直しがきくところ。ところが、アクリルでもうまくいきません。

私は描きはじめたアクリルの絵も一旦塗りつぶします。塗りつぶす前の絵の写真も撮っておけばわかりやすかったですが、この絵は塗りつぶした後の状態です。

でも、こうして塗りつぶしたとき、次こそ上手くいくような予感がしました。

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その予感は、背景を描き進めていくうちに確信に変わっていきます。

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私は、もともとあまり人物を描くことは少なくて、風景を描くことが多かったので、風景を描いているとテンションが上がってきます。一瞬、このまま風景を描き続けていたいという欲望に駆られました。

アナログバージョンでは、地面は土の色でしたが、水色と白の組み合わせが気に入ったので、地面は白っぽく塗ることにします。リアルさを求めるのも一つの方法ですが、自分の好きなように変えられるのも絵のいいところだと思います。

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人物をトレースしたものを重ねてみます(トレーシングペーパーがなかったので、クッキングシートです笑)。デジタルの絵ではあまり違和感がなかったのですが、リアルな人の大きさを考えると、雅樹さんと奥様は立つと画面に収まらなくなるのでベンチに座ってもらいます。それでも、画面が窮屈になってしまうので、雅樹さんに相談したところ、雅樹さん夫婦はもっと小さくていいとご意見をもらい、小さく描いてみることに。

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画面の中にきれいにおさまるようになりました。


そこからは、細かな部分を塗り込んでいきます。

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最終的には、雅樹さんのうさぎさん・かつおくんをもっと茶色に塗っていたり、傘のあたりにピンクの差し色を加えたりしています。完成した写真を撮り忘れたので、完成したバージョンの色合いは、雅樹さんの記事をご覧いただければと思います。


絵の完成後、私は仙台市内にある額縁屋さんを訪れます。優しいおじさんが、絵に合わせて、いろんな額縁を提案してくれました。額縁は、ネットで注文することもできるのですが、雅樹さんのnoteを読んでいるとお子さんのお財布選び、奥様のプレゼント選びにもたくさんの想いを込めて、時間をかけていらっしゃるので、私も温かな買い物のできそうなお店で選ぶことにしました。

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どの額縁もステキですが、すこしかすれた絵肌とこの黄色の額縁の質感が合うような気がしたので、このクリーム色の額縁に決めました。お子さんたちの雨具の色とも重なっています。あまり重くないので、万が一落ちたとしても、お子さんたちが怪我することもないかな、と思いました。

額縁やさんで、そのまま包んでもらい、発送します。

次の日、雅樹さんから無事に着いたとご連絡がありました。


上記の記事で、この絵を描き終わったら、画家と名乗りますと宣言していた私。
でも、この作品は、はじめての絵画の注文だったので、値段は決まっていませんでした。絵を雅樹さんに受け取ってもらって、もうそれだけでわたしは幸福感でいっぱいになったので、この絵は雅樹さんへのプレゼントにしてもいいなと思っていました。でも、無料ですと言ったら雅樹さんのことだからかえって気を遣わせてしまいそうで、このくらいの値段だったら大きな負担にならないかなという金額をお伝えすることにしました。

しかし、その数日後、雅樹さんは、私が提示していた額の10倍の金額を振り込んでくださっていました。私が想像する10倍はうれしかったから、と言って。

私は、この記事を書くつもりはなく、雅樹さんが私のためにしてくださったことを私の胸のうちにしまっておこうと思っていました。
こんなにもステキなお客様に恵まれたことを披露するのは、自慢になってしまうような気もして。

けれど、少し時間が経って、雅樹さんは私の絵を評価してくれたというだけではなくて、私を画家にしてくれたんだ、と気づきました。


だから、私は画家になったんだと、きちんと宣言しておこうと思いました。



そうは言っても、私は、まだ自分の絵に自信はありません。

今回の絵を額装しているときも、こんなに立派な額縁をつけて、絵が負けちゃうんじゃないかと思いもしました。

けれど、できるかぎりの想いは込めました。

そして、その想いは伝わりました。

これからも、想いを込めて、絵を描いていこうと思います。



さて、ここからは、ちょっとしたお知らせです。

今日、私はminnneデビューしました。以前Twitterに載せていた絵を販売しています。本当は、もっとたくさんの作品を描いてから、noteで個展を開こうと思っていたのですが、いろいろとやりたいことがあって、かなり先の話になってしまいそうなので、とりあえず、完成している絵を販売してみることにしました。

というわけで、私の絵画の二人目のオーナーさん、募集しております。

くろねこさんの絵です。手のひらサイズのちいさな絵(原画)です。


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きゅるんとしたまなざしがチャームポイントです。

ちなみになぜこの絵を描いたのかというと、恩師のことばを思い出したからです。なぜ先生はこんなにたくさんの作品を制作できるのかと尋ねたら、いくつかの作品を並行させて描いているからだと教えてくださりました。気分転換になるし、冷静な目で作品を見られるようになるそうです。ということで、雅樹さんの作品と並行してこの作品を仕上げました。

また新作ができましたら、こちらでお知らせしますね!



◇絵の制作依頼について

アナログの絵の依頼は、今回がはじめて、デジタルの絵はこれまでに2回描いてきました。

まだまだひよっこですが、とても優しいお客様に恵まれたおかげで、こうして絵を描き続けることができております。

絵を描かせてくださった方々に、あらためてこの場で御礼申し上げます。


現在、修士論文の執筆、また優先して制作したい案件を抱えておりますので、新たな制作依頼は受け付けておりません。

新しい依頼を受け付けられる状態になりましたら、改めてこちらでご報告させていただきます。

絵をいつか描いてほしいというお気持ちの表明は、いつでもウエルカム!ですので、お気軽にお声がけください。できるかぎりはやく新しい依頼を受けられるように努力してまいります。