見出し画像

私の青春

今日、インスタを見ていたら「1st wally bouldering 閉店のお知らせ」の投稿が流れてきた。ボルダリング仲間から、つい10日ほど前に噂は聞いていたけれれど、実際に公表されると自然と涙が流れた。

1st wally boulderingとは藤沢にあるボルダリングジムの名前だ。
たかがボルダリングジムが閉店するだけで、泣くなんてと思うかもしれないけれど、私がボルダリングにハマるきっかけとなったジムであり、藤沢に住んでいた頃の「ホームジム」である。常連ということで「ホームジム」といこともあるけれど、私にとっては「心のホーム」でもあった。

ボルダリングを始めてから奈良に引っ越すまでの5年間、ほぼほぼ毎日いたジム。行けば誰かに会える場所。その日1日に、嫌なことや、悲しいこといろんな事があってもここで登ったり、誰かと話すと少し自分に戻れた。そして高校・専門学校と摂食障害で、入院や症状にほぼ埋め尽くされたいた、私の人生にとって青春がたくさん詰まった場所だ。

ただただ、ボルダリングの楽しさを教えてくれただけでなく、私にたくさんの仲間と経験と思い出をプレゼントしてくれた大切な場所だ。

私は多分このジムでボルダリングを始めてなかったらそこまでハマっていなかったかもしれない。そう思う。1st wally boulderingジムには、不思議な「場の力」がある。奈良に新たにホームジムを獲得してそう思う。

ボルダリング自体にもちろん楽しさはあって、登りきった達成感や、強い弱い関係なくみんなが「ガンバ!」と応援してくれる雰囲気。身長や体型によって同じ課題でもみんな登り方が違ったり、体の向き1つで楽に登れるようになったり、それに気づいたときの感動や、できなかった課題が少しずつ出来るようになる楽しみとか、上げたらきりがないくらい自分の性格とボルダリングの相性は抜群だった。奈良に越しても、この6年ずっと続けているのは、ボリダリング自体が楽しいからなのは確かだ。

だけど、それ以上に私は1st wally boulderingジムの「場の力」に惹かれた。私は自然と人が集まったり、その人達が繋がって新たな場ができたりすることを「場の力」と呼んでいる。

その「場の力」はそこにいる人たち、物理的な建物の構造、いろんな環境が作用して出来ると思う。

店員と常連

ジムにはよく来る、常連さんたちがいる。強くて、初めてのお客さんたちはなかなか話しかけにくいのだけれど、店員がボルダリングがうますぎてアドバイスが参考にならない時に、常連さんたちがそっと「そここうすると登れるかも」とアドバイスをくれる。そして、店員もボルダリングが大好きだから、お客さんが落ち着いている時は、一緒に登る。そんなことをしているうちに、店員、お客さんというより全員がボルダリング仲間となっていく。

藤沢という場

これはつい先日、横浜のジムで登る人と話していて気づいた。藤沢は東京にも電車1本で行け、地元を離れる人が少ない、そしてべッドタウンだ。横浜のジムに来る人は仕事帰りに来る人が多く、家の場所はバラバラだ。そこで仲良くなっても登った後に「飲みに行きましょう」となったり、休日わざわざ予定を作って会うなど、よほど仲良くならない限りないらしい。1st wally boulderingジムに来る人達は、ほぼほぼ藤沢に住んでいる人たちなので、登った後に軽く飲んでから帰る、休日もジムに来たり、他のジムに一緒に登りに行ったり、話しているうちに他の共通の趣味が見つかったら、それを一緒に休日にしたりと広がっていく。

実際に私もどんどん派生し、古着好きな人たちと古着屋めぐりをしたり、女子だけで女子会をしたり、料理好きな人たちと宅飲みをしたり、同世代のこたちとバンジージャンプやバーベキュー、プール、旅行…とボルダリング仲間というより友人、仲間となっていった。

ジム内のイベント

1st wally boulderingジムではクリスマスやハロウィン、色んな季節でジムの中で飲み会をする。普段は登りに集中して話さない人と話せたり、このおかけで私もいろんな人達と仲良くなれた。

ジムの構造

1st wally boulderingジムは他のジムに比べたらそんなに大きくない。でも、その大きさが、ちょうど良いと思っている。どこにいても、全部の壁を見渡せる。「ガンバ!」と声が聞こえたら振り向いたり横を見たら登っている仲間を応援出来る。色んなジムに行って思うこと、1st wally boulderingジムのお客さんは1番うるさい。笑。
普段から、「ガンバ!」「ナイス!」が飛び交うから遠征に行っても、そのノリで応援するとだいぶ目立つ集団になる。そんな感じだから、ジムの雰囲気は明るい。もちろん、それが嫌な人もいるとは思うけれど。
そしてジムの奥にソファとお菓子がある。疲れたらそこで休憩して話したり、たまに「今日は登らない」とそこに座ってただ話して帰る人もいる。

そして最後に店長。

今日、インスタを見て自然と涙が出て泣いていたら、まさかの店長から電話が来た。わざわざ、奈良に暮らす私に個別で閉店する理由、今後のことを電話で教えてくれた。1番辛いのは、ボルダリングが大好きで1st wally boulderingジムが大好きな店長なのに。
店長は登りが大好きすぎて、たまに周りが見えなくて、お客さんより壁独占しちゃったり、お客さんのこと好きすぎて話しかけ過ぎて、「登りたいんだけど」と言われたり、色々ツッコミどころ満載だけど私はこの店長が大好きだ。
私が奈良に引っ越すことをみんなに言えずにいた時、「なんも言わないで去っちゃうなんて寂しいよ!!」と言ってくれて私はみんなに言うことができた。コロナ禍でいろんな行事もしてなかったのにお別れ会まで開いてくれた。ボルダリングと、お客さんのことが大好きな店長、この店長がいなかったら1st wally boulderingではない。

摂食障害で高校、専門学校とほぼ「遊ぶ」ということを、できなかった私にたくさんの仲間と思い出をくれた1st wally bouldering。
あほみたいに、夜中の0時までいい大人達がのぼり自転車でそのままサイクリング行って翌日の仕事で後悔したり。宅飲みで、スマブラにハマり朝までゲームをしたり、明日もジムで会うのに登ったあと公園で語り合ったり、
バンジージャンプやラフティング…
人生初!の経験もこの仲間たちのおかげで沢山できた。私にとって、遅れた青春を味わいつくしたこの6年だった。

ありがとう。永遠に私のホームジム。
無くなってしまうのは悲しいけれど、そこで繋がった人たちの縁が切れるわけではないから、私はここでもらったものを大事に、今後に期待したい。

読んでいただいて、ありがとうございます。 自分のために書いた文章が 誰かの心にも何か残ったら嬉しいです。