そろそろ人間になりたい
母に殴られて育った。ほぼ毎日だった。母が憎かった。夜中に眠れず、ベッドを抜け出して台所に行って、包丁を握りしめてうずくまっていたことがある。寝ている母の首にこれを突き立てたら母を殺せるだろうか。私は捕まるのだろうか。ニュースになるのだろうか。あの人のために自分の人生を棒に振る価値などあるのだろうか。そう考えていたことは覚えている。
母にどう殴られたのだったか。グーで、頭だった気がする。一度殴られると、何度も連続して同じ場所を殴られた気がする。顔はあまり殴られた記憶がない。髪