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パブリッシャー契約書の読み方

※これはUnityゲーム開発者ギルド Advent Calendar 2022及びゲーム制作にかかわる人が自由な記事を作る Advent Calendar 2022の12/7参加の記事になります。

はじめに。
おはようございます、こんにちわ、こんばんわ、のんちゃです。
今回はパブリッシャーから名刺もらって契約書を見せてもらったけどもどうすればいいのっていう方向けの記事となります。

注意点。

・あくまで参考に。
この契約書の読み方はあくまで参考になります。
みんな契約内容は違うと思いますし、みんなの着地点が違うので自分が何をしてほしいかというので結構変わってきたりすると思います。

・契約内容はSNSで漏らしちゃ駄目
特定の方が契約内容などをリークしたりすることが多々あります。決して契約内容、契約して手に入れたものなどをSNSでアップロードしたり暴露したりしないでください!やった場合、まともなパブリッシャーから見放されたり、法的リスクを背負うことになります。

本編

ロイヤルティ
ロイヤルティはプラットフォームから差し引かれた3割の残りをパブリッシャーとデベロッパーで分け合うことになります。
これはいろんな人から酒の席で聞いたりしたので体感でざっくりにはなりますが、デベロッパーの取り分が5〜7割ぐらいだと思います。
こっからゲームジャンルだったり、資金提供だったり、著名かどうかだったりいろんな要因があって前後してきます。

・ゲームジャンルと翻訳
ゲームのジャンルによっては翻訳量が多くなったり少なくなったりするので、条件が前後したりする可能性が高いです。例えば、シナリオなしのアクションであれば1言語10万円かかるものもあればノベルとかで1言語数百万といったものも存在します。もちろん、翻訳費用は販売時に回収されますが、シナリオなしのアクションであれば翻訳費用が安いのでおまけしてくれるパブリッシャーも少なくはないです。あとはジャンルによってはパブリッシャーの負担も大きくなるので、前後する要因になったりします。

・資金提供
1000万円あげちゃうよキャンペーンとかでパブリッシャーから資金の提供があった場合、パブリッシャーの負担がその分大きくなるので、条件が前後する可能性が高いです。もちろん、パブリッシャーさんの中には条件変わらず資金提供してくれるところもありますが、作者が著名なパターンだったりすることが多いです。

・著名
デベロッパーに知名度がある場合やパブリッシャーに知名度がある場合とかでも前後してくる場合が多いです。デベロッパーに知名度がある場合、条件がデベロッパー寄りになったり、パブリッシャーに知名度がある場合はパブリッシャー寄りになったりします。

・移植
これはコンソールなどに移植をお願いする場合のお話です。コンソール移植は場合によっては負担が非常に大きく、パブリッシャー負担が大きいため、条件が悪化したりする場合が多々あります。
もちろん、これはデベロッパーがノーコストの場合のお話。
(HTML5系からコンソールは非常に金銭面での負担が大きいので、条件が非常に悪化しやすいです)

・パッケージング
パッケージングをする場合もパッケージ版を作るコストが非常に高いため、条件が悪化する可能性があります。

・契約しちゃダメなパターン
契約書の中には資金提供や著名・ゲームジャンル関係なしでデベロッパーの割合が2,3割の場合は踏みとどまって考えたほうがいいです。中にはそういったパブリッシャーもいますので、契約書は必ず確認を取ったほうがいいのと不安になったら弁護士に確認を取ってもらいましょう。

著作権・使用権の記載
著作権の持ち方はとても大事です。というのも、パブリッシャーがそのまま著作権を持ち去るケースも可能性としてあるからです。
ちなみにパブリッシャー契約に関して言うと、独占使用権・使用許諾で十分でして、著作権の譲渡や著作人格権関連のワードが書いてあったら要注意です。自分の作品なのにコントロールができなくなります。
ロイヤルティ以上に気を付けたほうが良い内容ですので、よく読みましょう。不安であれば、弁護士に査読してもらうことをおすすめします。
あと、知的財産の項目があれば、そこも読んだほうが良いです。
また、使用範囲も確認しておいたほうが良いでしょう。ソースコードの持ち去りも中にはある可能性がありますので。

有効期限及び解除条件及び罰則
有効期限は調べておいたほうが良いです。なぜかというと、誤ったパブリッシャーと契約した際に契約更新の際に断ち切るために必要だからです。また、解除するには手続き条件がありますので読んでおいたほうが良いでしょう。あと、不義理があったときの解除条件もちゃんと見ておいたほうが良いです。

解除意向を伝えても聞く耳持たないところも中にはありますので、その場合は弁護士を通しましょう。

罰則についても記載されていた場合はしっかり見ておきましょう。不可解なものが書いてあった場合は質問などをしましょう。

契約書の範囲
契約書の範囲もとても大事です。というのも場合によってはデベロッパーの作品全部を指定してくる悪質なものもありますので、確認したほうが良いでしょう。全部にかかっていて大変なことになったっていう場合も中にはありますので、しっかり確認しましょう。

秘密保持契約
契約書には必ずといっていいほど秘密保持契約があります。これはバラしたら容赦しないぞってことなので、心がけましょう。

最後に。
契約書というのは元来、お互いにメリットをもたらすために存在するものです。ですが、中には悪質なものもありますので、パブリッシャーから挨拶頂いたなどのぬか喜びせず、必ず一読し、不安であれば弁護士などに査読をしてもらったりしましょう。これが参考になれば幸いです。

追記
海外パブリッシャーは注意しましょう。日本の法律基準じゃなかったり、中国パブリッシャーだと契約書ガン無視でソースコードを持ち去ったりするケースが後を絶たないので。
あと、基本放置プレイのところは公開後も放置プレイです。
宣伝にはなりますが、わくわくゲームズは良いところなので是非。


参考文献
インディーゲームスタジオとパブリッシャーの適切な契約内容とは? 数々の契約を見てきた海外弁護士がデータとともに明かす

インディゲームサバイバルガイド

中国のインディーゲームパブリッシャーと契約してたけどお別れすることになったので、その経緯とやっていく中で得た知見を書こうと思う

パブリッシャーって何?知りたい・悩んでるインディーゲーム開発者へ向けての話

パブリッシャーのお仕事room6編

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