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映画『ハッピーアワー』(濱口竜介)を観て

入りは『ドライブ・マイ・カー 』、次に『偶然と想像』。ドラマ映画だけど、お涙頂戴でもなく、リアルさを出しながらサスペンス以上の不安定さがある。しかもそれを会話調で表現する。そんな濱口監督の作品の雰囲気にはまった。


今作は、2015年の作品。かつ5時間半あり、通常ではもう観れなかったはずの作品であろう。アカデミー賞を取ったことで脚光を浴び、ちょこちょこと再演をしていた。目黒シネマの座先は当日券を待たずに完売。運よく観れた。
観れて、本当に良かったと思っている。ので、簡単に感想を記す。

①男女の決定的違い
主役の女性4人へのよりも男性陣への共感が圧倒的に強かった。こんなこと言ったら怒られるだろうけど。特にたくややこうへいの気持ちはわかってしまう。女性を真の意味で理解するということの難しさ。頭ではわかっていても行動に移せるかどうか。自信がなくなった。そして、男は脆い。

②映画という体験
5時間半は長い。しかし集中力が切れることはなかった。2回ある休憩で外に出てまた戻る感じなんかは、日常と映像の境目がなくなり、今まで味わったことのない不思議な感覚だった。そういえば、誰もトイレにも立たず、帰ることもなく、最後まで楽しんでいた。映画が2、3時間なんて誰が決めたのだろう。5時間、休憩あり、新鮮で大いに、アリ。

③会話を楽しみたい
『寝ても覚めても』の時にも思ったが、濱口監督の作品は日常生活にも影響を及ぼす。なぜなら、会話が面白いから。ただ話しているだけなのにハラハラする。突如出る本音、言葉遊び、質問、苛立ちや楽しみや温かみがごちゃ混ぜになってジェットコースターみたいに上下動を繰り返す時間。会話の本当の魅力、価値。普段から、会話に真摯に向き合いたいと思った。そうすれば、日常もふとしたサスペンス。

④人の本質を見たい
物語の問いかけの一つと思うが、『人の本質』はわからない。人から聞いた話は本当か、目の前に見ている人の日常はどんなか、普段は何を考えているのか、わかるはずもない。それなのにわかった気になり、あるいはわかったことが前提で話が進んでいく。これを解決するのもまた会話、なのか。観客として、神の視点から、例えば登場人物が知らない面もたくさん観てきたが、それでも女性がわからない。これなんてあからさまに本質の理解の難しさ。なんとなくは気持ちはわかる。けど、急に本音を言う、ふと誰かと寝る、途端に感情的になる、どこかにいなくなる、一度態度を決めると変わらない。情けないけどわからない。これもまた、日々に溢れているのだろう。

30分、散歩をして帰る

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