好き嫌いせず何でも食べなさい、なんて時代じゃない 【腸内細菌の話とか】
僕は好き嫌いのない子供で、弟は結構好き嫌いが多い子供。アラサーを迎えてなお、玉ねぎが食べられないという。
「好き嫌いせず食べなさい」と言う母を見てきましたし、倣うかのように僕も弟に言い続けていました。
おそらく昨今の大人たちも同じように言っているのでしょう。
しかし、よく考えると、僕はいったいどんな根拠があってそんなことを言ってきたんでしょう。。
ということで、今回は食事と健康の関係について簡単なコラムです。腸内細菌を専門に研究していた経験があるので、その辺のアレな方々よりはまともなことを言う、ハズ、です、多分!
とは言え、学術的なエビデンスはまたの機会に譲り、知識ベースで書きますのでご容赦くださいませ。
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食事と健康/食事と腸内細菌/腸内細菌と健康、ってお互いに影響し合うことは明確なんですが、詳細は分かってるようで分かってないんですよね。
一昔前までは、食物繊維ってゼロカロリーだと思われてたのは有名な話です。人間には分解する酵素が無いなんて話で。
ところが、実際は腸内細菌が分解することで、人間も吸収できるようになっていることが分かったり。なので最近は2kcal/gで計算されているようです。
ちなみに、海藻の食物繊維は植物とは異なる分子構造をしていて、分解できる腸内細菌を持っているのは日本人くらいです。海藻を食すのって世界的に見ても珍しい食文化で、海苔やワカメなどを長年にわたって食べてきたことが影響されている、と説明されています。
食物繊維って腸にいいイメージですよね。間違った知識ではないものの、万人に当てはまるわけではなさそうです。
昨年くらいから話題に挙がりはじめた
「小腸内細菌増殖症(SIBO:シーボ)」
なる疾患(と言っていいか分かりませんが)が象徴的です。小腸だけに。
この症状があると、発酵食品や食物繊維で悪化します。整腸に繋がると思われている食品が悪影響を及ぼす分かりやすい例ですね。
原理や詳細は割愛しますが、過ぎたるは及ばざるが如し、とでも考えてくださいませ。
母が自身の体にこの疑いを持って、対象食品を避けてみたところ、長年の胃腸の不調がずいぶん良くなったそうです。
あれだけ「好き嫌いなく」と言っていた母が、食べ物を選んで食べているのは少し面白さすら感じますが、歳を重ねても近代的な価値観にアップデートできることは素晴らしいことです。
他にもいろいろな俗説、ありますよね。高タンパク質食は内臓に負担がかかる、とか、糖質制限は逆によくない、とか、小麦はよくない、とかね。
やれ朝食は食べないとダメだ、とか、いや断食しろだとか。
そんな単純なら苦労しませんよ、研究者も医者も体調不良の方も。
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つまるところ、万人に当てはまる健康食なんてあるワケないんです。
腸内細菌の構成は家族ですら違いますし、個々人が持っている遺伝子セットも当然違うし、個人としても年齢や環境によって体内環境はどんどん変化します。
どんな食べ物が今の自分に合うかは、試してみて身体と対話するしかないんです。
そのためには、自分の食事をしっかりコントロールして、普段と違う食事をする場合は他の要素をなるべく変動させないこと。そしてもちろん、正しい知識へとアップデートし続けることです。
最近だと、ドーナツやバームクーヘンはゼロカロリー、と言われているそうで、、おっと、誰か来たようだ。
ちなみに、アフリカなどでは妊婦さんが粘土・土・石を食べる習慣があります。食事だけでは不足しがちなカルシウムを補う目的で根付いた、と科学的には説明されているようです。
海藻を食べるのは珍しい、とかもそうですが、食文化って知らないことがたくさんありますよね、面白い。
何かご存知なら教えて下さい、ぜひ。
あ、念の為ですが、過ぎた偏食はダメですよ。それから、明確な症状が強いようなら医師・その他専門家にご相談なさってください。
ということで、偉そうにお送りしました、
好き嫌いせず何でも食べなさい、なんて時代じゃない
でした。
正しい知識を獲得する姿勢を保ちながら、次の世代にその姿勢を引き継いでいきたいものですね。
お付き合いいただき、ありがとうございました!
どなたかのお役に立てていたら幸いです。
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食事と健康に関わる話も少しずつ増やしていけたらと思っていますので、今後ともどうかお見限りなく!
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読んでいただいてありがとうございます。貴重な時間をいただいていることは自覚しつつ、窮屈にならない程度にやっていきます。