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スピード休職 5

本日はお足元の悪い中、
ご来場頂き誠にありがとうございます。
黒い感情がドロドロなので
雨は本降りに、
足元は更にぬかるみ、あまり読み進めますと
帰れなくなってしまいます。
それはちょっとなー
という方は、早めにお引き返し下さい。
何卒宜しくお願いいたします。
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【残業代ほしさにムシャクシャしてやった】

時間のやりくりをして、方向音痴なりに、最短距離の道も覚えたのに。
せっかく巻いても、上司がのろのろして、面談はいつも長引く。
時間が遅れる。運転しながら電話で謝罪する。急ぐ。謝罪する。急ぐ。患者さんが何故か外出している。その場で予定を組みなおす。謝罪する。急ぐ。苦情。急ぐ。
上司は後部座席で寝ている。私が苦情対応している時に何故か後ろで爆笑する。
おかあさぁん、とか20も違う部下に甘えてくる50歳の男。

職場に帰ったら定時をすぎている。
机の上には私宛の郵便、カルテ、国語辞典並の厚さに成長した書類の山。
自分で言うのもなんだけど、
皆が嫌がる仕事を沢山請け負っていた。沢山、なんて言葉には収まりきらない。同僚がサラッと無視する仕事も、上司がやらない仕事も。非常識な医者のお守りも。めんどくさい患者さんの対応も。誰も、誰も、やってくれない。
また、カルテが、郵便物が、書類が積もっていく。
そんな事を、上司は知らない。

明日はまた外回りだ。日中には時間を取れない。早く片付けなくては。残業だ。明日の外回りに持って行けそうなものは車で片付けよう。
こんな毎日だった。

作業を始めようとしたら、上司2人が近くの席に座って
神妙な顔をしている。
そして突然
あなたの時給はいくらか?
あなたの仕事はあなたの時給に見合っているか。
その残業は必要か、妥当か。
という趣旨の言葉を
私の喉に、胸に、腹に、ズブ、ズブ、ズブ と突き刺した。

私が外回りをわざわざ定時以降に帰るようにして、
簡単な仕事をわざわざ定時以降にノロノロこなして、
残業代をせしめている、と?
この人たちは裏でそんな事を話し合って、私に話す機会を蛇のように狙っていたのか?
上司より先に帰るのが何だか申し訳なくて、
「なにか手伝える事ありますか?」と声をかけてから帰っていた(ビジネスマナーの無駄知識)ことも、残業代をせしめるための方弁だと思われていたんだろうか。

動悸もめまいも我慢して頑張ってきたのに。
こんなに、こんなに、こんなに

山になったカルテをじっとみながら話を聞いていたけれど、
他に何を言われたか、全然覚えていない。
滅多刺しにされて、私は死んでしまった。

体調不良が始まって一年半。ずっとムシャクシャし通しだった。
でも、残業代をせしめようだなんて、そんな発想すらなかった。

あなた達のおかげで増えた仕事が山積みだよ。誰もやってくれない仕事がここに積もっているんだよ。知ってる?見えてる?
真っ黒なドロドロが、刺された無数の傷口から溢れてくる。

それも、すっと消える。心がひやっと冷たくなる。
そうか、私が悪いんだ。私が仕事できない人間だから
こんな風になってしまうんだ。私以外の人は、残業無しでこの仕事をこなすんだ。
私が悪いんだ。私が居なくなればいい。死んだ方がいい。

上司2人が帰ったあと、私はひとりで
文字通り子供みたいにわんわん泣いた。

翌日、仕事には行かなかった。

――39kg

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退職後5年がすぎたけれど、いまだに
怪文書でも送り付けてやろうか、と本気で思っています。
思っているだけですよ。

完全に愚痴でごめんなさい。
読んでくださって、
本日は誠に、ありがとうございました!

2024年4月 のがの

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