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スピード休職 1


始まりは、両手の震えだった。
ついに、上司に対する堪忍袋の緒がブッチブッチに切れた朝だった。

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こんにちは!のがのです。
今回は、〇〇日後に休職するのがの
的な振り返りをしてみむとてするなり。

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【 ワナワナ 】

堪忍袋の緒なんて、とうの昔からプルプル震えていた。
キレまい、キレまいと堪忍していた。

しかし遂に、緒がブッチブチに、ズッタズタに切れる日がやってきた。
堪忍袋もまた、大爆発を起こして霧散してしまった。ありがとう、さようなら堪忍袋。

喉と胸の辺りから、ギッ という音がしてくるような苦しさ。
小刻みに震える手。
ああ、これが世にいう「ワナワナ」か。

ここから休職までの1年半、このワナワナは消えなかった。

【 徹夜で愚痴愚痴 】

今度は、眠れなくなった。
怒りが収まらない。胸は深海に落ちていく潜水艦のように
ギギギギとひしゃげ続け、
携帯の日記機能に怒りを書き連ねていたら空が白んでもう朝だ。
そんな日がずっとずっと続く。
しかしその日記の最後が、「あんの野郎ぉぉおおおお」から、
「こんなふうに考える私が悪いんだ」
「私がいなければみんな幸せ」
「申し訳ない」
「死にたい」
「死のう」…
に変わっていった。
心という名の潜水艦が沈み続け、遂に爆縮を起こしたのだった。

【 そうだ、カウンセリングに行こう!】

このままではヤバい。そうだ、私が変わればきっとうまくいく。他人は変えられないってよく聞くじゃない、ほら、
自己啓発とかSNSとかスピリチュアル近辺で。
よし。本なんか読む体力ないし、スピリチュアルも時間がかかりそうだ。かくなる上は、カウンセリングだカウンセリング!カウンセリングに行こう!

実は大学で人文学部心理カウンセリング学科臨床心理学専攻(早口)に所属、臨床心理士を志していた為、カウンセリングには抵抗がなかった。

海外では、カウンセリングは日常に溶け込み、心のメンテナンスとして気軽にチャチャッと通う人が多いらしい。
一方日本では「カウンセリングに行ってるの」なんて言ったらギョッとされる。距離すら置かれる。友達を失う。孤独死する。

話が逸れた。カウンセリングについてはいずれまた書こうと思う。
閑話休題。

【 ドドドドドドドド 】

レレレレミミミミジョジョジョジョとかじゃなくて。
今度はドッドッドッドッという激しい動悸が始まったのだ。
他人に聞こえるんじゃないかと思うくらいの。
朝一番の会議で座っていると、動悸のリズムで身体中の血管が大きく脈打ち、地震かな?くらいに揺れている感覚があった。幸い他人には気づかれなかったけれど。
頭の血管が千切れる。心臓は今にも破けて血をドロドロと吐き出しそうだ。これはもしかして死ぬ…?
動悸は休職まで続いたけれど、幸か不幸か死ぬことは無かった。

【 底なしアスファルト 】

 気づいたら、そこに地面はなかった。

ガツンッと、誰かに頭を殴られて、ブツッと何かが切れた。
目の前が一瞬真っ暗になる。
ぐらぁぁ
震え、不眠、動悸に加えて、めまいが誕生した瞬間だった。
地面がぐにゃぐにゃと柔らかく、転びそうになりながらふらふらふらふら歩く。
この目眩も休職まで続き、悪化の一途を辿るばかりだった。

とある朝。電車が駅に到着、降車する。
しかしなんと、そこにはホームがない!

よく、小さな下りの段差がある事に気づかず歩いて、段差に差し掛かった所で体がふわっと浮いて転びそうになる事が人類にはままあることだと思うんだけど、
電車からホームに降りる時に、まさにそれが起こった。
電車とホームの間に実際には段差がない。ないのに、私の足が着地するはずの場所に、ホームがなかったのだ。階段を一段くらい飛ばして降りた場所に足がつく感覚。ホームはこんなに低かっただろうか。
食欲がなくげっそり痩せてしまった身体中の筋肉という筋肉、ショボショボの体幹を総動員して転倒を避ける。
なんだ今のは。

そこから幾度となく、アスファルトの底が抜け、ハマった。駅はもちろん、歩いている時も予兆なく底が抜ける。
ぐったりと駅のホームの椅子に座って何となしに地面を見ていると、足元のアスファルトがぐにゃぐにゃと波打ち始め、マグマのようにポコポコしているのが見えた。これは本当に恐ろしかった。どうしてしまったんだ自分は。死ぬのか。
まぁ、幸か不幸か、死ぬことはなかった。

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続きは長くなりそうなのでまた今度!

2024年4月 のがの



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