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すべての悩みは、対人関係である?

先日、あるマーケティングの専門家から、アドラー心理学をテーマにした『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健共著(ダイヤモンド社)を紹介されました。

私はもともと心理学には、軽い関心を持っていて、特に仕事柄「購買心理学」や「行動心理学」など実践向けの書物は何冊か読んではいました。
だけど、人間全般を扱う内容の心理学はあまり読んだことがありませんでした。
本書は、哲人と青年との会話形式で、とても読みやすく一気に読了してしまいました。

本書で述べている一部内容を前半部分だけ箇条書きにすると
第一夜トラウマを否定せよ
・アドラー心理学では、トラウマを明確に否定する。
・自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定する。たとえば今の自分が不幸なのかは自らの手で「不幸であること」を選んでいる。
・自分のライフスタイル(性格や気質)は、自ら選んだもの。
・自分が変わらないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているから。
・「もしも何々だったら」と可能性のなかに生きているうちは、変わることができない。
・これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生をどう生きるかについてなんの影響もない。自分は「自分」のまま、ただライフスタイル(世界や自分への意味づけ)を選びなおせばいい。

第二夜 すべての悩みは人間関係
・自分の短所ばかりが目についてしまうのは、自分が「自分を好きにならないでおこう」と決心しているから。
・人前にでると赤面症が出てしまう女性の例。赤面症が治った暁には、好きな男性に告白したい。しかし、彼女には告白できない言い訳として「赤面という症状を必要」としている。
・短所ばかり見つめ、自分を好きにならないでおこうとしているのか?
それは自分が他者から嫌われ、対人関係のなかで傷つくことを過剰に怖れているから。
つまり、人との関わりで心に深い傷を負うくらいならば、他者との関係の中で傷つかないことが目的となるので、関わりを持たない。
・孤独を感じるにも、他者を必要としている。
・個人だけで完結する悩み、いわゆる内面の悩みなどというものは存在しない。どんな種類の悩みであれ、そこには必ず他者の影が介在する。
・われわれを苦しめる劣等感は「客観的事実」でなく、「主観的解釈」である。
・劣等感は、他人の何倍も努力しようと決意することでは、望ましいが、
他方「劣等コンプレックス」は、自らの劣等感をある種の言い訳に使いはじめた状態のこと。「私は学歴が低いから、成功できない」など。
本来はなんの因果律もないところに、あたかも重大な因果関係があるかのように(「見せかけの因果律」)自らを説明し納得させてしまう。
・劣等感を補償する際、健全な姿は、努力と成長を通じていくが、
その勇気がない人は「AだからBである」に我慢できず安直な手段、
つまりあたかも自分が優れているように振る舞い、偽りの優越感に浸る
(「優越コンプレックス」)。
・不幸自慢。不幸であることによって「特別」であろうとし、不幸である一点において、人の上に立とうとする。相手を支配しようとする。

・・・・ 《肝心な箇所はまだまだ続きます。ぜひ本書を手にとって参照してみてください。》

私が身近で見聞きした一例を申しますと、
職場で若手のエースとして周りから期待されているAさんには、同じ職場にいる年上のBさんのことが嫌いで、極力接触しないよう無視をしていました。
もともとはそれほど当人同士の仲は悪くはありませんでした。
ではなぜAさんは、Bさんのことが急に嫌いになったか。

以前Aさんは一時期仕事へのモチベーションが上がらず、そのことがチームの仕事にも影響を及ぼしてしまいました。
そのことを見かねたBさんが、Aさんに対して少し偉そうに、仕事の在り方について持論を展開し、「説教」し始めたのです。
Bさんの説教の内容は、仕事への取り組む姿勢や挨拶の励行など、こちらが聞いている分には、当然と思えるものでしたが、Aさんの受け取り方は違っておりました。

「なんでBみたいに、自分では何もできない奴にこんなことを言われなくてはならないのか」

「説教」はこの1回で済みましたが、その出来事があって以来、AさんはBさんとの距離を保つようになり、日が経つにつれ、AさんはBさんのいないところで、Bさんの批判をするようになり、しまいにはアイツが嫌いだと公言するようにもなりました。

そうです。AさんはBさんから受けた「屈辱的」出来事が再度起こらぬよう、それから逃れるために、「Bさんが嫌い」を作りだしたのです。
Aさんが作り出した「Bさんが嫌い」は、しだいに強力なものになり、しまいには両者の決定的な物別れが表面化して、Bさんが退社するまでになってしまいました。

本書に照らしあわせて、この事例が適切な解釈であるかはさておき、人間行動の根源は、行動主体の本人には、あまり自覚できていないのだなぁ、と強く感じました。

第三夜の「課題の分離」はすくずく考えさせらます。
人は他者から嫌われることを回避するために、他者の期待を満たすために生きているのか。
他者の評価を気にせず生きる、他者の期待を満たすために生きることはしない。
人生には、自分には自分の「課題」があり、他者には他者の「課題」があります。
お互い他者の「課題」に踏み込まない「課題の分離」を意識する
こと。

一度、本書を手にとって、対人関係について、考えるのも良いかもしれません。

下、自分を確立していくキッカケ作りに、ぜひ参照してみてください。


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