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満ちる心


丁度、一年前のこれくらいの季節、夏から秋へ移り変わり一気に風の冷たさが身に染みたり、木々の色がオレンジ色に染まりつつ外の香りも確実に秋になっていた頃、大好きだったトレーナーの仕事を辞めた。

あの日から一年が経っていることに今日気付いた。今思い出してもやはり天職で最大限に私を表現出来たり最大限に自分の魅力を引き出してくれる場所だったと思っている。もう後悔はない、懐かしい思い出の一つとして脳に刻まれている。でも一年経つと不思議と心の整理がきちんと出来ているからなのか、まだきっと何か出来たことはあったのだろうな、と思う時がたまにある。後悔とは違う、なにかまだまだ自分の秘めた力の話だ。

もう会員様の顔や声、名前が思い出せない人もいる。私が辞めたと同時にジムを辞めた人達は元気だろうか。辞める時、店長からは好きな時に来ていい。いつでも遊びに来たらいい。いつ戻ってきてもいい。そう言ってくれたが辞めてから一度足りともお店には足を踏み入れていない。踏み入れるどころか退職してから利用していた駅も使っていないし建物にすら入っていない。一年経った今ならわかる、きっとあの時は辞めた後に顔を出せば退職を選んだ自分が間違っていたのではないかと思ってしまうから、やっぱり続けていたら、辞めなければ良かった、なんて微塵も思いたくなかったのだ。何がなんでも自分で選んだこと、下した決断には責任をもって道筋を立て直し選んだ全てを正解にしてきた。

あの頃はあの頃で仕事が生き甲斐でやり甲斐に溢れ、これが私の全てだと思っていた。それは今の会社でも変わらず全身全霊で全てを賭けて、の精神でやっている。

私はどの年も一年前と比べると今の方が幸せだな、今の方が楽しいなと必ず思っている。あの頃が良かった、あの頃に戻りたい、と思うことが昔はあったのかもしれないけれど今はどの時代の自分を思い返して比べてみても今が一番素敵で楽しくて史上最高の自分だなと感じている。

過去より今の方が常にクオリティが高く成長して進化し続けているのだと思う度、明日は明後日は一週間後は来年は、未来は、もっともっと魅力的に人として伸びているのだろうと思うと働くのが学ぶのが生きるのが楽しくて仕方ないのだ。辛いことだって悲しいことだって当たり前だがある。むしろそっちの方が日々として多く、何日か前だって凹んでいたし昨日だってまた新たに仕事でひとつ悩みが増えた。泣いたりもする、順調そうに好きなように生きていると見られがちだけれど自分は繊細で弱くて、だからちょっとした虚勢を張ってしまうこともあるしかっこよく見られたくて、背伸びをして疲れてしまうことだってある。

大好きだった仕事を辞めたあの日から一年経った今日、上司から突然、連絡が来てとてもいい言葉を貰った。そこには普段滅多に私を誉めない上司からの感謝の言葉と文末に一言だけ、満足し続ける為に成長しろ、と書いてあった。

胸にストンと落ちた。

実は日々こなす全てのことは仕事も含め、やり甲斐、なんて言うかっこいい簡単に当てはまる事は少なく、殆どが自分が満足するためにやっていることなのだと、

美味しい物を食べたいから遠くても足繁く店に通う人、時には丁寧に食材の下処理をする人、中にはゼロから土を耕して育て摘み取る人もいる。

綺麗な自分でいたいからどんなに眠くても運動をしたり朝早く起きて化粧をして髪を巻き好きな服を着る。

同じように仕事に置き換えていくと上司の言う満足し続ける為という言葉は、やり甲斐は見失った時に路頭に迷うのかもしれないからなのかと感じた。人から褒められたいから、こう思われたいから、いい人でいたいから、という感情よりどうしたら自分が満足出来るか思考を凝らして考えることでより精度を上げ、効率を上げ、リスクを回避していけるのかもしれない。

満足や達成感は一度味わうともう一度その瞬間を味わいたくなる時がくる。

食べるのが好きな人が食べて美味しかったそれをもう一度食べたい、と思うのと同じよう私は仕事で得られたあの満足した瞬間、目標を達成できた時の達成感を何度も味わいたいと思う。達成出来た時、満足した時、毎回、確実に満足度も達成感も前回のものを遥かに越えてくる。

やり甲斐で生きている人もいる。それはそれで大正解だ。ただ、私はダイエットをきっかけにモチベーションを作らないようになった。それは何かにつけてモチベーションが上がらないから、を理由にやらなくなったり、やる気が起きなくなったり、モチベーションが無くなると路頭に迷ってしまうから。モチベーションがなくても常に自分でエンジンをかけたら奮い立たせて勝手に走り出して止まっても詰まっても選択して進んで正解を導き出していきたいから。

まだまだ未熟で浅はかなせいで自分の気持ちや考えが言語化出来ない時がある。大概、そういう時は誰かがくれた言葉が言いたかったそれだったりする。今日はたまたま一年前の事を思い出したのは何か理由があるのかもしれない。一年経った今日、突然普段は誉めない上司が私にそんな言葉をくれたのはきっとこんなもので満足するなという意味だろうか。


私はおそらく満足する為に毎日を生きている。

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