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民俗学漫談

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民俗学についてのお話をまとめています。
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#神社

【民俗学漫談】うなっぽ

鰻の特性江戸の三味、と言えば、蕎麦に鮨に天ぷらですが、鰻も江戸っ子の好物でして、今回は、鰻について漫談をいたします。 鰻もまた不思議な生き物でして、鰓も鱗もある立派な魚類なんですが、なんだかぬめぬめしていて鱗(うろこ)はどこだってことですよね。 鰻の鱗なんですが、小さな鱗が皮膚の下に隠れています。 鰻というものは大変古い生き物で、だからこそ栄養があるのですけれども、古い種は鱗が細かくなっていたり、隠れていたりします。 鰻はまた回遊する生き物でして、例えば、ニホンウナギ

【民俗学漫談】宗教とサブカルチャー

前に、 という漫談をしましたが、今回は、宗教とサブカルチャーについて、漫談をします。 サブカルチャーにおける「聖地巡礼」の現象漫画やアニメに、現実の宗教施設が登場したり、神仏が登場したりします。 虚構の世界に現実の場を登場させるわけです。 物語を構成する素材として用いるのですが、その事によってリアリティが増しますね。 ゴジラが目指すのは、東京タワーであるから見ている側に衝撃を与えるのであって、見たことのない町では、その効果が薄いという事です。 本来、漫画やアニメは

【民俗学漫談】神饌

食事でも場でもいちいち感謝するようになってきたのは、存外としよりということでしょうか。 ご飯を頂く前に手を合わせますね。 今回の漫談は、神饌(しんせん)です。お供え物ですね。 民俗学漫談のポリシーとして、細かいことを言っても仕方がない。 お供え物のバリエーションを伝えるのが目的ではなくて、お供え物とは、何なのか、それは、どういう行いなのか。ということを漫談します。 お供え物と神饌みなさん、お供え物ってしたことありますか? 私は、大人になってからしていませんね。

【民俗学漫談】デザイン

デザインとは今回の漫談は、デザインです。 物には、何でもデザインがあります。お椀でもお盆でも。道具でも衣装でも建物でも。 デザインは、まず、機能性。機能を引き出すためのデザインがありますね。続いて、装飾。飾り付けですね。 見やすさ、伝わりやすさばかりではなく、デザインによって、物を使いやすくする。 これは、どう使うべきなのか。 見てわかるものが優れたデザインという事になります。 デザインはラテン語で区画して描く、印をつける。というのが語源ですが、区画して描くという

【民俗学漫談】宗教のサブカル化

前回の漫談で神社はフレキシブルな場だと、漫談しました。 それで、フレキシブルな場である神社が時代の需要に答えようとして、サブカル化している気がしているんですよ。 神社にとどまらず、日本においては、宗教って、もはやサブカルチャーなんじゃないの、とさえ。 民俗学って、民間伝承を素材にして、人間の暮らしを見ようとするものだとされてますよね。伝承とか、暮らしぶりとか。 それを具体的なモノとしてクローズアップしたとたんに、サブカルチャー的な感覚が出てきます。 民俗学って、サブ

【民俗学漫談】構造としての神社

教会に対してキリスト教。 お寺に対して仏教。 という事で言えば、神社に対して神道(しんとう)。 という事なんですが、これほど、舞台装置と教えの名称が重ならない宗教は珍しいですよね。宗教と呼べればだけど。 神仏分離させちゃった後の神社だからね。 神社は何を信仰する場なのか 信仰の対象は? いったい、何に対して手を合わせているの? 「神様」だよね。 決して民俗学でもちいる「カミ」ではないよね。 「神様お願い」の神様だよね。 普通さ、宗教ってのは、見返りを求め

【民俗学漫談】鳥居*縁日

神社に参拝に行く。 まず、鳥居をくぐりますね。 鳥居は、通る、ではなく、くぐると言います。 表札でも、ただの門でもないんですよ。鳥居は。 ぐぐるんです。別の空間にダイブする感覚があります。 お祓いは、もともとイザナギノミコトが黄泉(よみ:あの世のこと)の国から戻ってきたときに、川に潜って禊をした。 その神話の再現だと漫談で言いました。 で、その禊のあとで、重要な神である太陽神や月の神、もう一柱、神が生まれた。ちなみに、神様は、一人二人ではなくて、一柱(ひとはしら

【民俗学漫談】内と外について

神社って、柵がありますよね。敷地を囲って。 ちなみに、神社に門はありません。本来。 明治神宮とか、大きな神社は門があって、営業時間が過ぎれば閉めてしまいますね。明治神宮はそもそも森を作ったわけですから、そうなりますね。 昔、どこの教会でしたか、「正月に休業」的な張り紙がしてあったのを見て、驚きました。いや、「正月に営業しろ」と言う話ではなく、教会って、すべての人々の家なわけでしょう? 民家じゃないでしょ。何で鍵がかかってんの。常駐していろとは言わないけれど。 それもこ

【民俗学漫談】お稲荷さんはどうして多いのか

東京の通りを歩いていると、小さな朱の鳥居を見かけることがあります。 ビルの間に挟まれているようなものもあれば、公園の一角にひっそりとたたずんでいるものもあります。 白い狐の像に赤いのぼり、稲荷社は、江戸の世に流行し、合祀などを経て多く、今に伝わっています。 稲荷社は、おいなりさんと呼ばれることの方が多いですよね。 江戸時代の流行神祀ってあるのは、稲荷神で、うかのみたま(宇迦御魂・倉稲魂・稲魂などと書く)とも呼ばれ、元は食物をつかさどる神様で、おそらく、稲の霊を神とした

【民俗学漫談】祭の発生

民族学漫談。と言うことですが、あるテーマをどのような切り口で書き上げるのか。 何事も、これが要です。 生活の現象を民俗学を通して、見てゆくのが、この漫談のテーマです。 それでは始めたいと思いますが、正確さよりもノリ重視で行きますのでご了承ください。 過去と未来の感覚がなければ祭は発生しない常に思うのは、来し方行く末と言うものです。 これ、いくらでも思い続けられます。 記憶があるので。 人間は記憶を持つようになって、いつごろでしょう、二本の脚で立ち上がったころでし