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民俗学漫談

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民俗学についてのお話をまとめています。
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2021年9月の記事一覧

【民俗学漫談】炭素原子

ネットワークについてですネットワークは、何かと何かを結ぶものなんですが、AとBを結ぶ。 これでは、いわゆるホットラインであって、ネットワークとは呼びません。 では、AとBとCを結んでみる。 AとB、BとC、CとA。 これでネットワークになったんでしょうか。 まあ、ネットワークと呼べないことはないんですが、なんか、遠回りしている気がします。 これに、DやEが加わると、結びつける線が無駄に増えて混線しそうです。 そこで、ふつう、ネットワークには、「ハブ」を設けます。

【民俗学漫談第28回】現代音楽

現代美術現代美術もサブカル化しているように見えます。端ばかりつついて、中心がない。 個人的に現代美術はおもしろいと思うんですよ。参加してみたいくらいで。 でも、メインカルチャーとしての美術がどうも前面に出てきませんね。 美しいもの、崇高さで人の心を揺り動かすもの。 それが、メインカルチャーとしての美術の役割なはずですよ。 うーん、すでに写真技術を意識することさえなくなってしまったんでしょうか。 現代音楽現代音楽、なんていうのもあります。 クラッシック音楽の一部で

【民俗学漫談】映画

映画と祭映画ができてから、カーニバルの昂奮がなくなりました。 映画で昂奮するわけです。カーニバルよりも安全ですからね。 映画の形式は、演劇の舞台と同じですね。同じ構造を持っています。 演劇は、祭の再現ですから、映画もその構造を継承している以上は、昂奮させるわけですよ。 ただ、だんだん、映画が産業になり、見る側が消費者になってゆくにつれ、祭の昂奮とはかけ離れてゆきます。 映画は、演劇よりも、むしろ、テレビに影響を受け始めます。 ロングショットではなく、クロースアップ

【民俗学漫談】学校の形式

学校という代わりを作り出すシステムで、そんなわけで、近代以降、国民国家の成立に合わせて学校を作りました。 その学校という場を作るのに、用いたモデルは、別に寺子屋じゃありませんよ。あれはコンテンツは参考にしたんでしょうが、形式は違います。 学校が参考にしたのは、軍隊ですよ。 面白いですよね。大半の教員やもちろん学生も戦争など口にするのも嫌だという人びとが多いと思いますが、その人々が暮らしを成り立たせている、つまり貨幣を得ているのは、軍隊を参考にしたシステムなんですよ。

【民俗学漫談】学校の成立

学校という制度の先鋭化が一つの物に集中させる学校で、同じ考え、同じ価値観を押し付けて行ったら、皆同じ考えになるでしょう。 言わずもがなで、それが第一にあります。 それよりも深いのは、「仲間外れ」を怖れる心理をあの場が植えつけているからです。 学校で、仲間外れになれば、即、不適応者として相手にされませんし、原則として学校は、「手引き」がないので、困った時に、自分で解決するしかない。 教師は、権限を持っている以上、相談相手にならない場合がありますし、教師を教師として信頼し

【民俗学漫談】売れるものの集中

便利なメディア小説が売れない。と。 全般的な話です。 小説が売れない、イコール、読まれない。と言うことにすると、まずは、今は、自分を表現する手段、自分の内面を探る手段が増えて、優秀な人たちが文学の側に入ってこなくなった、と言うのがあります。 サッカー人気で、野球をするこどもが減ったのと同じ現象です。 もう一つは、小説というメディアが、消費者から見て、「不便」なメディアになってしまった。 何が不便なのかと言うと、消費者は、貨幣を用いて、何をしたいのか。もちろん、物を手

【民俗学漫談】年神とサンタクロース

時間的なよみがえり神社に参拝することは、魂のよみがえりを意味しますが、その空間的なよみがえりの場とともに、時間的なよみがえりの時があります。 そう、正月です。 大晦日から正月に変わるときは、世界が生まれ変わる時なんですよ。 だから、みんな、ドキドキするんですね。 大晦日を境にして、別の世界が始まるという感覚です。 神社でも、夜中の12時きっかりに太鼓をならして、新年祈祷の儀を執り行います。ラジオつけておくんですよ。で、時報とともに、始めるという。 欧米でも、12時

【民俗学漫談】神饌

食事でも場でもいちいち感謝するようになってきたのは、存外としよりということでしょうか。 ご飯を頂く前に手を合わせますね。 今回の漫談は、神饌(しんせん)です。お供え物ですね。 民俗学漫談のポリシーとして、細かいことを言っても仕方がない。 お供え物のバリエーションを伝えるのが目的ではなくて、お供え物とは、何なのか、それは、どういう行いなのか。ということを漫談します。 お供え物と神饌みなさん、お供え物ってしたことありますか? 私は、大人になってからしていませんね。

【民俗学漫談】宗教の世俗化

宗教の世俗化ということがいつの時代にも言われていますが、こんなのは、「最近の若者は」という話と同じです。 宗教は、聖なるものを世俗化したものなんだから当たり前です。 そんなことはわかっているんですよ。 わかっている上で、のっていくわけだから。 だから、境内で原付バイクに乗っていた坊さんとか、ベンツに乗っている神主とか、漫画なら面白いんですが、現実は、勘弁してほしい。皆、必死で幻想を崩さないようにしているんだから。 この間、銀座のアップルストアに行ったんですよ。場所柄

【民俗学漫談】マレビト

今回は、思い出話をします。 中野新橋の駅から十分少々歩いたところに「川島商店街」という商店街があります。長さが一キロくらいですかね。端の方は、大江戸線の西新宿五丁目駅の方も近い。いったいいつごろかあるのか調べたことはありませんが、私のこどもの頃は今よりもにぎやかでした。 わたしは、そこの商店街で育ったんですけどね、昔は、商店街の「売り出し日」と言うのがあって、毎月、6のつく日でしたか。スーパーの特売日みたいなものですよね。 昔の商店街は、一つの共同体でしたから、個別の店

【民俗学漫談】蕩尽のバリエーション*ハロウィン

蕩尽とは蕩尽(とうじん)。民俗学のキーワードの一つです。むしろ民族学かもしれません。 浪費の事なんですが、浪費だと、無駄遣いという意味ですね。ほしいままに費やす。ちょっと弱い。浪費家なんていう言葉もあるくらいで、まだ、日常や人間の域を出ない。 蕩尽だと、これはもう湯水のごとく使い果たす、と言う意味で、明日の事を考えていません。動物的です。秩序を人間を飛び出す行為です。 まあ、動物は蕩尽をしませんが。 明日の事を考えないというのは、みんなあまり経験がないかもしれませんが

【民俗学漫談】バレンタインデー

バレンタインデー。ありますよね。 バレンタインデーの内気な女の子でもこの日は告白していい日と言う設定はどうなったんでしょうか 日本では、年間の二割があの日に消費されるらしいですが、もとは、聖ウァレンティヌスの日です。ちなみに、ウァレンティヌスは、実在したか微妙なので、聖人に祀られてはいません。 このウァレンティヌスさん、恋人たちの守護聖人とされていまして、で、バレンタインデー。「聖ウァレンティヌスの日」ということですね。 古代ローマでは、この日に祭りがおこなわれていた

【民俗学漫談】流行神

八百万の神がまします国 日本は八百万(やおよろず)の神がまします国、と言います。「まします」、というのはいらっしゃるということです。 で、八百万と書いて「やおよろず」と読みます。八が「や」、百が「お」、万が「よろず」です。 八百万は値ではなく、数えきれないほど多くの、という意味です。 日本では、大きいというときに八を使いました。 八咫鏡(やたのかがみ)とか、「頭八咫ある烏」とか。 神の数が人間より多い、そういう国です。日本は。 人が立つ大地に神がいる。歩く道にもい

【民俗学漫談】デザイン

デザインとは今回の漫談は、デザインです。 物には、何でもデザインがあります。お椀でもお盆でも。道具でも衣装でも建物でも。 デザインは、まず、機能性。機能を引き出すためのデザインがありますね。続いて、装飾。飾り付けですね。 見やすさ、伝わりやすさばかりではなく、デザインによって、物を使いやすくする。 これは、どう使うべきなのか。 見てわかるものが優れたデザインという事になります。 デザインはラテン語で区画して描く、印をつける。というのが語源ですが、区画して描くという