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焙煎集

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詩的焙煎の記録
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2023年5月の記事一覧

20.コロンビア サンアウグスチン

20.コロンビア サンアウグスチン

続けることで辿り着く場所もあれば、やめることで行き着く場所もある。続けたいから、続けるし、続けるから、続いていく。続けることで辿り着いた場所から見える景色を見てみたい。だから続ける。だから今日も焼く。深煎りにしたい。気温21.0℃、ちょうど良い気候、一年中これくらいの気温だったらいいのに、と思う。四季それぞれの良さは残しつつ。都合が良すぎる。中火で焼き始める。1ハゼは、9分20秒あたりから12分あ

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19.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

19.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

今日も焼く、明日も焼きたい、明後日もその次の日も焼きたい、来年も再来年もそのまた次の年も、10年後も焼いていたい、できることなら。今日は今日の豆を焼く、明日は明日の豆を焼く。明日は明日の風が吹く。イルガチェフを中深煎りに。気温29.5℃、「暑い」が思うより先に口から溢れる。暑い。ブラジル同様、中火で焼き始める。8分10秒あたりから、1ハゼが起きる。バチンという強く重い音に脇汗の気持ち悪さはどうでも

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18.ブラジル ラゴア ボイヤ

18.ブラジル ラゴア ボイヤ

春と夏の間、微風の吹く縁側で寝ていた昼下がり、強い陽射しに起こされると、夏のはじまりはもうすぐそこまで来ている。気温28.2℃、半袖短パンで豆を焼く。ブラジルを中深煎りに。ピッキング、火加減、冷却、保存、最初から最後まで丁寧に。感覚だけに頼らないで数字を見なければならないし、感じながら考えなければならない。中火で焼き始め、8分30秒あたりで1ハゼが起きる。特徴的な音はなく、一般的というか普通の音が

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17.インドネシア マンデリン トラジャ

17.インドネシア マンデリン トラジャ

雨が降る。アスファルト、屋根、雑草、サドル、土、雨水に濡れたものたちの湿ったにおいを覆い尽くすような珈琲の香りが、あのアパートの一室から漂っている。天気は雨、気温16.5℃、焙煎日和、マンデリンを深く焼く。1ハゼが終わるまでは強めの中火、1ハゼ終わりから中火に落として、焼く。ちょうど8分で1ハゼ、パキッというはっきり小気味いい音が鳴る。9分50秒あたりまで続く。ここで中火に落とす。12分10秒あた

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16.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

16.エチオピア イルガチェフ ウォッシュド

好きなことの中にも嫌いなことはあるし、楽しいことの中にも面倒くさいこともあるし、やりたいことの中にもやりたくないことはある。0か100でも、白か黒でもなく、その間のグラデーションがあるだけ。浅煎りか深煎りか、あるいは中煎り、中深煎り、極深煎り、のような点ではなく、その間があるだけ。点ではなく間。中煎りと中深煎りの間を目指して、イルガチェフを焼く。気温17.0℃、春から初夏へ季節は巡る。強めの中火で

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15.インドネシア マンデリン トラジャ

15.インドネシア マンデリン トラジャ

続ける、続けるほど続いていく。昨日と変わらないことを今日も続け、明日に続く。変わらないことが変わっていく。だから続ける。豆を焼く。マンデリンをリベンジすべく。気温18.9℃、火元に立てば汗ばむようになった。季節も当然のごとく春から夏へ続いていくんだ。強めの中火で焼き始める。台所の窓から微風が入る。7分50秒あたりから1ハゼが始まる。決して大きくないけれど、焼けているとたしかに声を上げている。小さな

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