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侠客鬼瓦興業 第47話「桃色楽園からの生還」

まさか、すべーるすべるがソープランドの事だったなんて・・・

しかし、そう気がついた時、僕はマライアさんと白いマットに挟まれ、ぬめぬめローションにまみれながら、見事な泡踊りとツボ洗いの洗礼をうけてしまっていたのだった。
 
「ああああ~、ああああああ~」

マライアさんのボインが背中を行ったり来たりするたびに、僕は奇妙な喘ぎ声をあげてしまっていた。
そしてその生まれて初めての快楽の喜びから、僕の意識はまたしても遠い所へ旅立とうとしていた。

(あああ、なんて気持ちの良い世界なんだ~、さすがは殿方の楽園だな~)

気がつくと僕の意識は、快楽と欲望のパラレルワールド、桃色の楽園へと向かう駅にすっぽんぽんで立っていたのだった。

「どお、こんな体験はじめてでしょー、でも、これからもっともっと最高の気分にさせてあげるからね」
僕の耳にマライアさんの生々しい声が響いてきた。
同時に僕の遠い意識の中に、大きなおっぱいの群れがぞろぞろと姿を現わしはじめた。

(さあ、さあ、お兄さん、こっちよー)
おっぱいの群れは、やわらかいお乳を、プリンプリンとふりまわしながら、僕を桃色の楽園へ向かう、列車に、導こうとしていた。

(うわー、すごい電車だなー)

すっかりエロい心に侵されきってしまった僕の意識は、鼻の下をでれーっと伸ばし、ピンクに火照った顔で、列車に向かってあるきはじめていた。

(この列車で向かう先には、最高の世界がまってるんだー、だははは~)と、その時だった・・・。
快楽の絶頂の中にいる僕の耳に、突然マライアさんの口からあるある言葉が、飛び込んできたのだ。

「どう、お兄さん、最高でしょ~、ソープランドって、中にはお風呂屋さんって言う人もいるのよ~」
「お風呂屋さん、はあ・・・」
「そうよ、お風呂屋さん、うっふ~ん 」
「あはは~、お風呂屋さん・・・、お風呂屋さん・・・」
現実の僕はマライアさんの下でそう返事をかえしていた。

そして遠い意識の中では
(そうか、お風呂屋さんとも言うんだ・・・)
そうつぶやきながら、気がついた時には、桃色の楽園行きの列車に乗り込んでいたのだった。

エロエロエロエロエロエロエロエロ・・・

奇妙な発車のベルの音があたりに鳴り響き、列車の扉が閉じようとしたその時、僕の頭の中に一人の女性のある言葉がかすかに蘇ってきた。

(・・・お風呂屋さんにだけは、行かないで・・・)

(・・・はへ?)

(お風呂屋さんにだけは、行かないで・・・)

(・・・え?、なんら~今の声は・・・)
僕はボーッとした顔であたりを見渡した。

(お願い、吉宗くん・・・、お風呂屋さんにだけは、行かないで!)

(え!そ、その声は!?)

エロい意識に占領されてしまった僕の頭の中に、突然一本の光が

(そ、その声は、めぐみちゃん!?)
そう気づいた瞬間、僕の頭の一本の光がパーっと輝きを増し、頭の中を占領していたエロい心が突如退散しはじめた。

(め、めぐみちゃん、めぐみちゃん・・・)
僕は意識の中で一生懸命、彼女の姿を探した。そしてプラットホームの柱の陰で悲しい顔をしている、天使のめぐみちゃんの姿を発見した。

(あー!め、めぐみちゃん!!)

(吉宗くん、お願い・・・、行かないで !お風呂屋さんには、行かないで!)

プラットホームに立つ天使のめぐみちゃんの目から、一筋の涙が流れ落ちた。

(あああー!?)

彼女の涙を見た瞬間、僕の脳裏に今朝の別れ際、めぐみちゃんが告げたその言葉が蘇ってきた。

「あの、今日の川崎の仕事だけど・・・、終わってから、銀二さん達にさそわれても、お風呂屋さんにだけは行かないでね・・・」

(by第31話「川崎のお風呂やさんには行かないで」より)↓^^

(あ、ああああー、あああああああああーーー!?) 
僕の顔はピンクから見る見るうちに、真っ青にかわっていった。

(そ、そうか・・・、めぐみちゃんの、あの言葉は、こう意味だったのか!!)
重大な事に気がついた僕は、思わず大声を張り上げながら、列車の出口に向かって走り始めた。

(お、降ります、僕はこの電車からおりますー!)

ところが扉の出口にさしかかった時、突如巨大な爆乳が僕の行く手を阻んできた。
(残念、あなたはもう、この電車からは、降りられないのよ!)
僕は目の前の巨大な爆乳に顔をうずめられて、身動きができなくなってしまった。

エロエロエロエロエロエロエロエロエロ・・・

奇妙なベルは、さらに大きな音を立てて鳴り響いた。
そして僕とプラットホームで涙を流すめぐみちゃんを無情にも引き裂くように、プシューーー、ガッタン!!
列車の扉は音をたてて、閉ざされてしまった。

うっふーん、あっはーん、うっふーん、あっはーん・・・
奇妙な車輪の音とともに、列車はホームから桃色の楽園へ向けて走りはじめた。
窓の外には悲しい顔で僕を見つめている天使のめぐみちゃんが・・・

(あー、めぐみちゃんが、降ります!僕、降りますー!!)
僕は巨大なおっぱいに挟まれながらも、必死になって叫び続けた。

(ばれなければ、いいじゃない・・・、ばれなければ・・・、あなた、男でしょ・・・)
僕をおさえていた巨大な爆乳が、突然そんなことを言いはじめた。

(・・・ば、ばれなければって・・・)
僕は、目の前でぷるんぷるんと弾んでいる大きなボインと、そしてはるかかなたに見える桃色の楽園で、すっぽんぽんで手をふっているマライアさんたちに目をやった。
そして、その両方を何度も見ながら、小さな声でつぶやいた。

(そ、そうか・・・、ばれなければ、いいのか・・・)

(そうよ、ばれなければ、いいんだから・・・、さあ、たっぷり快楽のひと時を楽しみましょう)
目の前の巨大なおっぱいはそう言いながら微笑んだ。

(そうか・・・、そうだよな、ばれなければ・・・)

(・・・って、ち、違うーー!!)
僕は大声で叫ぶと目の前にいたおっぱいを弾き飛ばして、列車の最後尾に向かって走り始めた。

(めぐみちゃん!めぐみちゃん!・・・めぐみちゃーん!!)

(今、そっちに戻るよー、めぐみちゃーーん!!)
叫ぶと同時に、僕は猛スピードで走る列車から飛び降りたのだった。

(うわああああああー!!)
僕の体が地面に向かって落ちていくその時、
(吉宗くーん、吉宗くーん、吉宗くーん、くーん、くーん・・・)
天使のめぐみちゃんが、美しい羽で飛びながら、僕に近づいてきた。
そしてすんでのところで僕の腕をつかむと、空に向かって舞い上がった。

(吉宗くん・・・)
(めぐみちゃん、ごめんよ、ごめんよ・・・)
天使のめぐみちゃんは目に涙をいっぱいにためながら、僕を見つめて首をふった。


「はっ!?・・・」

気がついた時、僕の体は仰向けにされた状態で、白いマットの上に、そし僕の上には、豊満なバストを揺らしながら、泡踊りに励んでいるマライアさんの姿があった。

「駄目ですーーーーーー!!」
僕はマライアさんの下で、あわててそう叫んだ。

「だめ、だめー!お風呂屋さんはダメです、絶対にダメなんですー!!」
僕はそう叫ぶと、マライアさんの体の下から、必死に抜け出そうともがきはじめた。

「あー、ちょっと、どうしたのよ急に・・・、そんなに動いたら、危ないって!」
突然の僕の行動にマライアさんも驚き、あわててバランスをとろうとがんばった。
しかしローションまみれで、ぬるぬるの体では抑えることができず、僕とマライアさんはマットの下の床に、ぬるりーんと滑り落ちてしまった。

「い、痛い・・・、ど、どうしたのよー」

「ごめんなさいマライアさん・・・、お風呂屋さんだけは、だめなんですー!!」
僕はぬるぬるの身体でそう叫びながら、マライアさんの下から、ヌルッと抜け出した。

「ごめんなんさい、マライアさん!僕、帰りますー!!」
そう叫ぶと、あわてて外に向かって走ろうとした。

「あーー危ない、そんな体で走ったら」

「うわー!」
ぬるり~んぐしゃーーー!! 
マライアさんの忠告もむなしく僕は滑って転んで、みごとタイル張りの床に向かって顔面からダイブ・・・
「だから言ったのに、どうしたのよ、そんなに慌てて」 
「だめなんです!お風呂屋さんだけはダメなんです、約束なんです!」
僕は動転した頭でそう叫びながら、ふたたび、ぬるぬるのローションまみれの身体で外に向かって走ろうとがんばった。

ずるーっ!!どてーー!!ずるー!!どててー!!

まるで正月特番でローションまみれになている芸人のように、僕は何度もこけては立ち、こけては立ちを繰り返しながら、やっとの思いで部屋の入口にさしかかった。
しかし扉の手前で、再びぬるっと足を滑らせ、すてーんと転んだ表紙に頭から扉を突き破り、ぬるぬるの身体で廊下に飛び出してしまった。

「あー、ちょっとお兄さんー!そんなかっこで外に出ちゃダメだって!ちょっと待ってー!」
慌てたマライアさんは、必死に僕を追いかけて廊下に向かった。
しかし、気がつくと彼女の体にもぬるぬるのローションがたっぷり・・・

ぬる~!

「きゃーーーー!!」
マライアさんは扉の手前ですってんと仰向けに転ぶと、そのまま大股を開きながら、それはぶざまなスタイルで廊下に向って飛び出してしまった。

「止めないで下さい、マライアさん、僕は約束したんですー」
廊下に滑り出てしまった僕はやっとの思いで、四つん這いになって振り返った。
しかしその瞬間、目に飛び込んできたのは、大股をおっぴろげ、大事なところをさらけ出しながら、僕に向かって滑り落ちてくるマライアさんの姿だった。

「あー、ちょっと、どいてどいてーー!」

「どわー、な、なんらー!!」

ぶしゅあああーーーー!!

僕の顔面に、すごい勢いでマライアさんの大事なところが!

「きゃあーーー!!」
「ぶぉあーーーーーーー!!」
つるぅーーーーーーーーーー!!!
僕とマライアさんは見事な顔面カニばさみ状態で、くるくる回りながら廊下の端まで滑って行ってしまったのだった。

「どうしたんですかー!いったい何の騒ぎですかーー!?」
僕たちの騒動にマネージャーが、片眉を思いっきりあげながら走ってきた。

さらに、奥の部屋から、バスタオルを腰に巻いた銀二さんが
「おいおい、いったい何処のどいつだ、やかましいなー!今いいところだったってのによー!」
同時に鉄とたくさんのギャラリーまでもが、廊下の騒動に顔をだしてきた。

「あー、お、お前、吉宗じゃねーかー!!」
「うわー、あ、兄貴ー!?」
銀二さんと鉄は大声をあげながら、僕たちに向かって指をさした。

そして、その先には、廊下の隅、ぬるぬるの体で顔面蟹ばさみを受けながら、マライアさんとからまりあっている僕の姿があったのだった。

「あ、あの、お客様・・・、そういったプレイは出来ましたら、お部屋の方でお願いいたします・・・」
マネージャーは額に青筋を立てながら、ひきつった顔で僕に向かって声をかけてきた。

そして僕のすさまじい光景を目の当たりにした鉄は
「す・・・、すげえ・・・、さ、さすがは兄貴だ、部屋ん中じゃおさまらねーで、豪快に廊下まで使って、すべりまくるなんて・・・、やっぱりスケールがでけえ・・・」
大きな勘違いをしながら、尊敬の目で僕を見つめていた。

「お風呂屋はんは・・・、はめなんへふ~・・・」
そんな中、僕はマライアさんのお股に挟まれながら、念仏のようにそうつぶやいていたのだった・・・。

つづく

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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※このお話はフィクションです。なかに登場する団体人物など、すべて架空のものです^^

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