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侠客、強きをくじき弱きを助ける、正義のためなら命をかけて戦う義侠の人・・・。時は昭和、スケバンと呼ばれるセーラー服のお姉さんが、桜の代紋のヨーヨーを振り回し悪と戦っていた頃、一人のごく普通~の若者が侠客の道へ足を踏み入れようとしていた…。 第一章 侠客鬼瓦興業 第一話 侠客誕生 桜の花びらが舞踊る四月、大きなボストンバックをかついだ僕は、期待と不安を胸に、これから始まる新しい人生に向かって歩を進めていた。 僕がこれから暮らす多摩の地は、かつて武州と呼ばれ、古くは新撰組
「あなたは、追島さん!」 「あ、すいません・・・、ちょっと野暮用で通りかかったもんで」 春菜先生に見つかってしまった追島さんは、照れくさそうに頭をかいた。 「野暮用ってユキちゃんに会いにいらしたんじゃ無いんですか?」 「ユキに?いや、だってこんな夜分にどうして?」 「どうしてって?ユキちゃんが夜間保育で中にいることをご存じだったんじゃ?」 「夜間保育?」 追島さんはいっしゅん戸惑いの顔をうかべた。 「あ、はい・・・、お母さんお店をオープンしたばかりで忙しくて、ここ数日ユキちゃ
イケメン三波が、保育園の一室で不適な笑い声を響かせていたそのころ、川崎堀之内の夜空にも 「ホーッホッホッホッホッホッホッホッホーー!」 まるで、妖怪のような甲高い笑い声が響き渡っていた。 妖怪の声の正体、それは頼みもしないのに勝手についてきた、女衒の栄二さんのものだった。 「ちょっと栄ちゃん、何よ急に大声で笑い出したりして」 「ホーホホホホ、だってさー、考えてみると喫茶慶だなんて、お慶ちゃんらしいじゃない」 「お慶さんらしい?」 「そうだわさー、ひねりも何にも無いって言うか
「ただいま戻りましたー」 イケメン三波は小声でそう言うと、保育園の教室へ入っていった。 「あら三波先生お帰りなさ・・・っ!ど、どうしたの、そのお顔は!?」 子供たちと遊んでいた園長があわてて腫れた顔の三波に近づいてきた。 「あ、いえ、ちょっと・・・」 「ちょっとじゃないでしょ、いったい何があったの?もしや、さっきの西条さんという方が?」 「いえ、違います、ちょっと転んだだけで」 「うそおっしゃい、転んでそんな怪我するわけ無いでしょう」 「本当に何でも無いんです、それよりも春菜
川崎でも有名な高級ソープランド、ハメリカンナイト、そのピンクの建物の入口で僕はめぐみちゃんの手を握ったまま固まっていた。 「やっぱりそうだわ、あなたたちよね」 ハメリカンナイトの入口から再び僕たちに向けて大きな声が響いてきた。 「・・・うぐ!」 (声の主は・・・、まさか、マ、マライアさん?はたまた昨日出会ったソープ嬢のお姉さん達?まずい昨夜のことが、めぐみちゃんに・・・) 最大のピンチを肌で感じた僕は、その声に振り返ることができなかった。 「まー、何で知らん振りしてるの、ひ
お大師さんの境内からしばらく歩くと、昨夜僕がスケート場と間違えて入ろうとした競馬場があり、その先の大きなガードのある交差点で僕は緊張と恐怖につつまれながら、めぐみちゃんと信号待ちをしていた。僕たちの目的は、お慶さんの喫茶店に行くと言う事、ただそれだけなのに、なぜ恐怖を感じているか? それは・・・ 「兄貴ー、またお慶さんのうまい料理が食えると思うと、たまらねーっすね、ゲヘヘヘ~!」 「そ、そうだね・・・、て、鉄」 ひさびさに登場、この金髪の鉄がなぜか僕とめぐみちゃんに同行してい
「ほーう、大地主の娘と入籍か」 「は、はい、それが最近喫茶店なんてのも始めましてね・・・、もう少しだけ待っていただけたら、金利とあわせてそのお店もセットで、西条さんにお返ししますよ」 「おい三波、この話しほんまか?」 「はい、まじな話っす」 「ほーう、沢村はん、あんたも悪いやっちゃのう」 西条は顎に手を当てながら、しばらく沢村の顔を見ると 「沢村はんも三波のそばにおったせいで、スケコマシに転職したんかいな、ははは」 「あ、いや、そんな・・・」 「まあええわい、そないな話しや
「三波君、ところでさっきのことだけど」 「はい?」 「ほら、さっきあのテキヤの男が言っていたマライア?だったか、君、覚えがあるのか?」 「マライアですか?ふふ・・・」 保育園に戻る道すがら、沢村の問いに、イケメン三波はさめた顔で笑った。 「覚えがあるのかって、副園長あんたもよーく知ってる女ですよ」 「私が知ってる?」 「知ってるどころか、さんざん世話になった女でしょ」 「も、もしや!?」 「横浜の保育園に勤めてた時の俺の元彼女、真里絵、覚えてるでしょ・・・、あんたと俺が知り
侠客鬼瓦興業のめぐみちゃんのスタンプできました^^ このほか、たくさんのイラストカット(40コ)をくわえてリリースされています^^ 当初は主人公の男の子で作り始めたのですが、気がついたらヒロインのスタンプになってしまいました^-^”” さっそく私の嫁さんにプレゼントしちゃいました^^ 物語の本編はこちらです^^↓
「追島さん!?」 僕は思わず叫んだ。 「何だ吉宗、急にでっけえ声だして?それに何やってんだお前ら?」 追島さんは不思議そうにあたりを見渡し、春菜先生に目をとめた。 「あれ、あんた確かユキの先生」 「あ、はい、こんばんわ・・・」 春菜先生はあわてて頭を下げた。 追島さんは照れくさそうに頭をかきながら 「いや、昨日はすいませんでした。恥ずかしいところ見せちまって」 そう言ってキョロキョロあたりを見た。 春菜先生は追島さんのようすに 「あの、ユキちゃんですか?」 「え?あ、いや」
「やっぱり、お前だなー!!」 気がつくと僕は、イケメン三波の胸ぐらをつかんでしまっていた。 「な、何をするんですか!」 「何じゃない!、よくもマライアさんをー!」 「苦しいー!た、助けてー!、助けてー!!」 三波は大声で叫んだ。 「吉宗君!!」 突然の出来事に、めぐみちゃんがあわてて僕の腕にしがみついてきた。 「どうしたの吉宗君!急にこんなことして」 「えっ?・・・あっ!?」 僕は、めぐみちゃんの言葉に我にかえり、あわてて三波の胸ぐらにあった手を放した。 「なんで・・・、
「いやあ、またお会いしましたね」 沢村は得意のさめた目で僕たちに笑った。 「副園長も、ご存知の方だったんですか?」 「ああ春菜君、実は夕べ知り合いのお店でね」 「知り合い?」 「君も知ってるだろ、私の婚約者の・・・」 沢村は意味深な笑い顔で春菜先生を見たあと、僕に振り返り 「いやあ春菜君から聞いたテキヤのお兄さんって、君だったんですか」 「はあ・・・」 「うちの園児がお世話になったそうで、とくにユキがね・・・」 「ユキちゃん!?」 「ええ、昨日いろいろあったそうですね」 「
「好きになっても、いいですか?」 イケメン三波の突然の告白にめぐみちゃんは慌てて顔を後ろに引いた。 「ちょっと、じょ、冗談はやめてください」 「冗談なんかじゃありません、僕は真剣なんです」 「真剣って・・・」 三波の言葉にめぐみちゃんは目を吊り上げると 「真剣って何をいってるんですか?あなたは春奈先生が・・・」 「彼女は関係ない!」 「関係ないって、昼に言ってたじゃないですか好きだって・・・、それに子供達の前で軽薄すぎです」 「え?」 三波はハッとした顔で振り返った、そこに
お大師さんの境内は休日とあって賑わいをまし、僕と銀二さんはたこ焼き作りに追われていた。 「吉宗、お前なかなか返しうまくなってきたじゃねーか」 「そうですか」 「おまえ、ワリと感がいいんだな」 「はは・・・」 僕は照れ笑いを浮かべながら、たこ焼きを返していた。 隣では、めぐみちゃんの金魚すくいテキヤ用語で赤丹も、お客さんでにぎわっていた。 「ありがとうございますー」 「はーい、僕、残念やぶれちゃったね、好きな子一匹選んでね」 めぐみちゃんは、いつもの明るい笑顔ででお客さんと接