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一番美味しいお米を作るサッカー選手になる コバルトーレ女川、橋本選手インタビュー

東北1部に所属する、宮城県のコバルトーレ女川でプレーする橋本光晟選手。
サッカー選手、米作り農家のほか、個人で展開するスクール事業、会社員とパラレルワークを実践中のサッカー選手です。
橋本選手が作っているお米は、世界で活躍するフットサル選手やバレーボール選手、Jリーガーの選手などが愛用しています。
地域リーグでプレーする選手としての価値をどう高めるか、そして橋本光晟として、サッカー以外でも世の中に価値を与えられる人間になるためには、ということ考え、今のような活動を始めるに至ったそうです。
橋本選手の地元である登米市は、農薬を最小限に抑え育てている米作りが盛んでした。そこで、実家の祖父母が米作りをやっていたということもあり、彼らを全面的に支え、地元の美味しいお米をより多くの人に届けようと、
お米作りと販売を開始しました。また、オフの日には、サッカースクールも開催し、平日昼間は不動産会社の会社員として汗を流します。
そんな橋本選手に、パラレルワーク、地域リーガーとしての価値の作り方、についてインタビューさせていただきました。

<プロフィール>

橋本光晟(はしもとこうせい)。1994年生まれ。宮城県登米市出身。
サッカー選手×米作り農家×スクール事業×会社員のパラレルキャリアを実践中。最近Youtubeも始め、サッカー選手のお米作りの日々を発信する。
国士舘大学を卒業し、2017年に青森県のヴァンラーレ八戸へ加入。
翌年の2018年に、東北リーグ1部に所属するコバルトーレ女川へ移籍し、現在もプレー。ポジションはサイドバック。
下部リーグになる地域リーグという場所でプレーしながらも「自分が与えられる価値」を突き詰め、お米作りを選ぶ。
平日昼間は会社員、夜はサッカー選手、朝と休みの時間でお米の手入れや販売を行い、その様子をYoutubeでも発信中。

オリジナリティを創り出す

全て自分がやってみたいことだったので、全てやってしまおうと思ったのがパラレルワークを始めたきっかけです。
お米に関しては、高齢化社会で町に若い人が少ないので、町の農業の力になりたいという思いで、まずは手伝うことから始めました。
その中で、自分で作ったお米を多くの人に食べてもらいたい、という思いが強く芽生え、お米づくりを本格的に続けることにしました。
お米を作ってみて、意外と時間を作れることを確認できたので、オフの日にサッカースクールもやってみることにしたんです。
そうやって、試行錯誤をしながら時間を見つけて取り組んでいますね。
Youtubeは、自分を発信する場になるので、前々からずっとやらなければいけないなと感じていました。地域リーグの注目度とレベルは、Jリーグと比べると劣ります。なので、より選手としてのオリジナリティを発信していく必要があると考えたんです。お米づくりをしている選手はいないと思うのですが、ただやるだけでは、誰にも自分と町を認知してもらえません。
それを発信して、こういう選手がいるんだよということを人に知ってもらわいといけないと感じていました。自分が発信することによって、こういう選手がいると興味本位でもいいので試合を見に来てくれる人が増えたり、発信を通じて、地元のお米を多くの人に届けたいという思いがあります。

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サッカー×農業で町を盛り上げる

お米は、ネットで直接販売しています。
地元でプレーしているのというのもあり、ファンの方々や消費者の方々と直接的なコミュニケーションを通してお米を楽しんでいただきたいと思いました。そのおかげもあってか、現在はチームメイトや他のチームの選手、サポーターの方など、様々な方に食べていただいています。
今では、サポーターの方々が試合を見に来てくれた際に、「美味しかったよ!」と直接声をかけてくれるので、コミュニケーションも直接取れます。
お米作りをすることによって、応援してくれているファンの方々も増えたり、ファンの方々がお米を買ってくれたりする好循環ができています。

自分の地元である登米市は農業がとても盛んなので、いろいろな農業関係者の方に「自分はサッカーやっています!」というと、とても応援してくれるんです。自分の活動は、町を盛り上げるための入口の一つとして考えています。お米をやることによって、サッカーの試合を見に来てくれたり、サッカーを見に来てくれた人が、町のお米を買ってくれるという目に見える形に繋がっているのは感じますね。
自分を知ってもらうためにどうすればいいのか?地元とチームを知ってもらうために何をするのかということを常に考えています。

【コピーライト入り】

サッカーに置き換えて考える

サッカーをプレーすることが、他の様々な分野で「ゴール」を強く意識することにつながっていることが分かりました。
例えば、サッカーでの「ゴール」は相手より多く得点をし、勝つことです。それをお米作りに置き換えて考えると、消費者の方々に届け、美味しく食べてもらうことが「ゴール」になります。
お米づくりもサッカーと同じで、ゴールにたどり着くまでの間に様々なミスも起こるし、敵もいます。そこで、ミスやイレギュラーが起きた時、その場で対応できるか、がとても大事になってくるんです。
また、サッカーもお米作りも一人ではできません。
サッカーをすることで、「全てのことは、チームメイトや周りの人の助けがあってこそ成り立つもの」という意識を持つことができていると思います。
去年のお米は、苗がとても柔らかく、田んぼに植えることができないような状況でした。しかしサッカーのように、メーカーさんや近所の農家さんなど、多くの仲間が協力してくれ、問題なく田植え、収穫と進み、消費者の方々に届けることができたんです。
分野は違えど、スタートから、様々な人と協力しながらゴールを目指すプロセスを踏むということはサッカーをプレーしているからこそより意識できることだと思います。

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別の分野からヒントを得る

いくつかの物事を同時進行することによって、自分の中の経験値が上がり、今まではできなかったことができるようになりました。
いくつかのことを同時進行するといっても、それぞれに責任を持って向き合うことはマストだと思います。何かをする時は、どうしても一つしかできないので、サッカーの時はサッカーに集中、お米の時はお米と向き合い、会社にいる時は会社の仕事に集中します。そうやって頭を切り替えることによって、何かで行き詰まった時に、別のジャンルで学んだことが、別の分野で活かせることが多くあるんです。
もちろん、苦しいことや問題もあります。
しかし、パラレルワークをしていて感じるのは、他の分野にも触れることで、「苦しいことや問題を、別の視点からみることができる」ということです。違った視点や角度から物事を見てみると、意外とあっさり解決できたりすることがあるんです。それが経験値となって様々なことに相乗効果が出ていますね。

サッカー選手で一番美味しいお米を作る。

プレーをしながら、お米を作る「食」という分野に関わって、分かったことがあります。
それは「誰にとっても食事の重要性は変わらない」ということです。
登米市では農薬の使用を従来の半分に留めています。
そして、環境保全米の発祥の地でもあるんです。
なので、僕たちのお米が体に気を使う、全ての人たちの力になれればという思いがあります。また、自分がプレーをしながら発信していくことによって、自分と同じようなアスリートの方々にも、自分の町でとれる環境保全米を伝えていきたいです。今は「サッカー選手で一番美味しいお米を作る」というところを目指しています。個人的に、本田圭佑選手と武井壮さんにお米を食べていただきたいですね。

地域リーグの選手は、J1、J2の選手とサッカーのレベルだけで勝負するのは当然難しいです。なので、別の形でオリジナリティを作り、キャリアを形成していかなくてはならないと思いました。
そういった現実を受け止め、まずは自分にできそうなことから始めましたね。サッカー以外のことでも新たな価値を作り、個人として面白く、社会にとって意味のあることをしていく必要があると感じています。

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橋本さんは、インタビュー中に何度も「やってみて出た結果を分析する」と仰っていました。それはお米作りでも、お米の売り方でも、サッカーのプレーでも、会社員としての仕事でも、Youtubeでも変わらないそうです。
しかし「とりあえずやってみる」だけではダメで「とりあえずやってみて、出た結果を分析し、修正する」ことが何よりも大切なのではないでしょうか?正解を出すことよりも、橋本選手のように選んだことを正解にしようとするあり方がとても大切な気がします。


橋本さんのお米はこちらでご購入いただけます。
今年はほぼ完売になってしまったそうですが、サッカー選手が作るお米を是非食べてみてください!

こちら、橋本選手のYoutubeになります。


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